登壇者インタビュー

株式会社キャタラー
代表取締役社長 石田 雅資 氏 に聞く
代表取締役社長 石田 雅資 氏 に聞く
品質を経営の中心に据え、未来を切り拓く
~「広義の品質経営」と組織変革で挑む
キャタラーの次なる成長戦略~
聞き手:安隨 正巳(日本科学技術連盟 品質経営創造センター 部長)
石田 雅資 氏
株式会社キャタラー
代表取締役社長
代表取締役社長
| 1986年 4月 | トヨタ自動車株式会社 入社 |
|---|---|
| 1995年 1月 | オーストラリアトヨタ 出向 |
| 2001年 1月 | タイトヨタ 出向 |
| 2010年 1月 | 元町工場 品質管理部 部長 |
| 2015年 1月 | 車両品質生技部 部長 |
| 2017年 5月 | ロシアトヨタ出向 製造担当EVP |
| 2022年 6月 | 株式会社キャタラー 代表取締役副社長 |
| 2023年 6月 | 代表取締役社長 (現任) |
1.品質問題の経験が教えてくれた「品質は経営そのもの」
――まずは石田社長のご経歴についてお聞かせください。トヨタ自動車で長年、品質管理に携わってこられました。
石田: 学生時代は機械工学科で内燃機関や熱力学などエンジン関連の専門分野を研究していました。もともと自動車業界に進みたいと考えていました。地元が愛知県ということもあり、最終的にトヨタ自動車へ入社しました。
――トヨタ自動車入社後は、どのようなご経歴だったのでしょうか。
入社後は、国内外の工場で約30年間、完成車両の品質管理業務に携わってきました。その過程で自工程完結、再発防止、TPSなどを実践し現場で徹底的に鍛えられました。品質というと検査や品質保証をイメージされるかもしれませんが、私自身は品質とは単なる結果ではなく仕事そのものの進め方であることを叩き込まれました。
――品質管理一筋ともいえるキャリアですね。
石田: そうかもしれません。比較的珍しい部類だと思います。 ただ、私の考え方が大きく変わったのは、在職中に経験した北米での品質問題でした。当時はまさに品質管理の責任者の一人として対応に当たりましたが、その時に強く感じたのが、品質は単なる製品品質ではないということです。 品質問題が発生すると、お客様への対応、会社の信用、収益、人材配置、経営判断など、あらゆることに影響します。品質が経営そのものに直結していることを身をもって経験しました。 それ以降、私の中では「品質管理」から「品質経営」へと視点が変わった気がします。
2.キャタラーの社長に就任
――2023年にキャタラーの社長に就任されました。
石田:正直、全く想定していませんでした(笑)。
当時私がトヨタで所属していた時の本部長がキャタラーの社外取締役を務めていたことや、前社長とのご縁などがあり、お話をいただいたのだと思います。
もともと、私はトヨタでは車両側の人間でしたし、触媒メーカーとの接点はそれほど多くありませんでした。ただ、昔から先輩方に「人事には絶対にNOと言うな」と言われてきたことが頭にあり、「ありがとうございます」とお受けしました(笑)。
当時私がトヨタで所属していた時の本部長がキャタラーの社外取締役を務めていたことや、前社長とのご縁などがあり、お話をいただいたのだと思います。
もともと、私はトヨタでは車両側の人間でしたし、触媒メーカーとの接点はそれほど多くありませんでした。ただ、昔から先輩方に「人事には絶対にNOと言うな」と言われてきたことが頭にあり、「ありがとうございます」とお受けしました(笑)。
――実際に着任してみて、どのような印象を持たれましたか。

キャタラーは2015年にデミング賞、2018年にデミング賞大賞を受賞していますが、私はトヨタでは品質管理畑でしたので、デミング賞を受賞することがどれほど大変なことかをよく理解していました。だからこそ、「品質を軸にした経営基盤がしっかりしている会社だ」と感じました。
――組織や人材についてはどうでしたか。
石田:社長就任後、品質月間の講演会で従業員に「個々のポテンシャルは他社と比べても大きく変わらない」と伝えました。国内従業員数1,100名程度の規模なので、人材の層の厚さに違いはあるものの、「ポテンシャルそのものに差はないので、自信を持って取り組んでほしい」と呼びかけました。
その背景には、触媒の専門メーカーとして培ってきた独自の強みへの確信があり、キャタラーが持つ技術力やものづくりの力は、他社にはない固有の価値であり、「我々にしかない強み」として誇るべきものだと考えたわけです。
このメッセージは社内で大きな反響を呼び、ネットワークを通じて海外拠点にも広がりました。「新しい社長がそんな話をしていた」と話題になり、多くの社員から「自信を持てた」という声が寄せられました。
その背景には、触媒の専門メーカーとして培ってきた独自の強みへの確信があり、キャタラーが持つ技術力やものづくりの力は、他社にはない固有の価値であり、「我々にしかない強み」として誇るべきものだと考えたわけです。
このメッセージは社内で大きな反響を呼び、ネットワークを通じて海外拠点にも広がりました。「新しい社長がそんな話をしていた」と話題になり、多くの社員から「自信を持てた」という声が寄せられました。
――一方で“伸びしろ”と考えた部分はどのあたりにあったのでしょうか。
キャタラーの社員の強みとして、「真面目」「愚直」「ぶれない」という印象を受けました。これは武器です。しかしながら、その真面目さが変化への慎重さにつながることもあります。これから電動化や事業環境の変化が進む中では、新たな挑戦や変革が求められます。その部分はさらに強化していかなければならないと感じました。
3.デミング賞挑戦が生んだ未然防止型経営
――キャタラーのTQMについてお聞かせください。
石田: デミング賞への挑戦は、単に賞を獲得することが目的ではありませんでした。
キャタラーが扱う触媒は法規認証部品です。品質問題が発生すれば社会への影響も大きい。そのため品質を軸に会社全体のレベルアップを図る必要がありました。 製品品質そのものは高いレベルにありましたが、仕事の進め方や事務業務の中には手戻りや非効率もありました。そうした課題を改善し、仕事の質そのものを高めることが挑戦の狙いだったと思います。
キャタラーが扱う触媒は法規認証部品です。品質問題が発生すれば社会への影響も大きい。そのため品質を軸に会社全体のレベルアップを図る必要がありました。 製品品質そのものは高いレベルにありましたが、仕事の進め方や事務業務の中には手戻りや非効率もありました。そうした課題を改善し、仕事の質そのものを高めることが挑戦の狙いだったと思います。
――実際にどのような成果がありましたか。
石田: まず仕事の質が大きく向上しました。そして私が最も大きな成果だと思っているのは、問題発生後の再発防止型から未然防止型へ経営の軸足が移ったことです。問題が起きてから対応するのではなく、問題が起きないように先回りして考える。いわゆるプロアクティブな経営です。これは現在のキャタラーの経営の大きな強みになっています。
――海外現地法人にもTQM活動を着実に浸透されています。
石田:はい。このTQMの考え方、しくみが海外拠点にも展開されています。
海外と日本で同じ品質思想、同じ経営軸を共有できるというのは非常に大きな価値です。グローバル企業にとって共通言語を持つことは大きな競争力になると思っています。
海外と日本で同じ品質思想、同じ経営軸を共有できるというのは非常に大きな価値です。グローバル企業にとって共通言語を持つことは大きな競争力になると思っています。
――成功要因は何だったのでしょうか。
石田: 私は三つあったと思っています。
①トップのリーダーシップ。
②現場の粘り強さ。
③そして事務局機能です。
トップだけでもダメですし、現場だけでもうまくいきません。その両者をつなぎ、進むべき方向を整える事務局の役割が非常に重要でした。大きな変革には、必ず強い事務局が必要だと思います。
①トップのリーダーシップ。
②現場の粘り強さ。
③そして事務局機能です。
トップだけでもダメですし、現場だけでもうまくいきません。その両者をつなぎ、進むべき方向を整える事務局の役割が非常に重要でした。大きな変革には、必ず強い事務局が必要だと思います。
――石田社長にとっての「品質経営」とは何でしょうか。
石田: 一言で言えば、「良い会社をつくるための会社のあり方そのもの」です。
経営の質、仕事の質、人の質を高め続けることが、会社全体をより良くしていく。その総和が品質経営だと考えています。品質という言葉は製品品質だけを連想しがちですが、本質的には会社そのものの質を高める活動だと考えています。
経営の質、仕事の質、人の質を高め続けることが、会社全体をより良くしていく。その総和が品質経営だと考えています。品質という言葉は製品品質だけを連想しがちですが、本質的には会社そのものの質を高める活動だと考えています。
4.全員参加を支えるQCサークル文化
――QCサークル活動についてもお聞かせください。

――活動を支えているのは何でしょうか。
石田: 私は事務局の力が非常に大きいと思います。「やれ」と押し付けるのではなく、寄り添いながら支援する。管理・監督者とも連携し、活動しやすい環境を整えている。この積み重ねが文化として定着しているのだと思います。
私自身、QCサークル活動は成果だけが目的ではないと思っています。もちろん成果は重要です。しかしそれ以上に、チームで考え、議論し、挑戦することに意味があります。私は大会でよく「チームビルディングの積み重ねがカンパニービルディングにつながる」と話しています。一つひとつのサークル活動が、結果として会社全体の組織能力向上につながると考えています。
私自身、QCサークル活動は成果だけが目的ではないと思っています。もちろん成果は重要です。しかしそれ以上に、チームで考え、議論し、挑戦することに意味があります。私は大会でよく「チームビルディングの積み重ねがカンパニービルディングにつながる」と話しています。一つひとつのサークル活動が、結果として会社全体の組織能力向上につながると考えています。
5.心理的安全性が変革を生む
――社長就任後、心理的安全性にも力を入れてこられました。
石田: 着任して最初に危機感を持ったテーマの一つです。会議をしても発言が少ない。社員がなかなか本音を言わない。この状態でグローバルの競争を勝ち抜き、新しい挑戦ができるだろうか、という危機感がありました。 新しい挑戦をするためには、自由に意見を言える環境が必要です。失敗を恐れ、犯人探しをする文化では挑戦は生まれません。だから私は講演などを通じて、「本音で話そう」「失敗から学ぼう」と繰り返し発信しました。そして役員室にも遠慮なく来てほしいと伝えました。
――実際に変化はありましたか。
石田: ありました。心理的安全性について社内で講演した直後に社員が訪ねてきてくれたのです。
普段あまり接点のなかった社員が「今日は良かったです」と直接話しに来てくれました。
正直、私の方が驚きました(笑)。小さな変化かもしれませんが、組織文化が変わる第一歩だったと思っています。
普段あまり接点のなかった社員が「今日は良かったです」と直接話しに来てくれました。
正直、私の方が驚きました(笑)。小さな変化かもしれませんが、組織文化が変わる第一歩だったと思っています。
6.「魅力ある会社」をつくる
――現在、人財面ではどのようなことを重視されていますか。
石田:私は「魅力ある会社をつくろう」と繰り返し言っています。魅力ある会社には三つの条件があると考えています。
・一つ目は「キャタラーに入りたいと思ってもらえる会社」であること。
・二つ目は「一度入社したら、ここで長く働きたいと思ってもらえる会社」であること。
・三つ目は「こんな先輩、こんな上司になりたいと思われる人がいる会社」であることです。
言うのは簡単ですが、実現するのは決して容易ではありません。それでも社員一人ひとりが誇りを持ち、成長を実感できる会社を目指して、さまざまな取り組みを進めています。
・一つ目は「キャタラーに入りたいと思ってもらえる会社」であること。
・二つ目は「一度入社したら、ここで長く働きたいと思ってもらえる会社」であること。
・三つ目は「こんな先輩、こんな上司になりたいと思われる人がいる会社」であることです。
言うのは簡単ですが、実現するのは決して容易ではありません。それでも社員一人ひとりが誇りを持ち、成長を実感できる会社を目指して、さまざまな取り組みを進めています。
――「長く働きたい会社」を実現するために、具体的にはどのような取り組みをされていますか。
石田:その一つがアルムナイ(元社員)採用です。実際に退職した社員が4~5人ほど戻ってきてくれています。一度外に出て他社を経験したうえで、「やはりキャタラーで働きたい」と戻ってきてくれるのは非常にうれしいことですし、それだけ当社に魅力を感じてもらえた証でもあります。
現在は、人事部門を中心に、アルムナイ採用で戻ってきた方や中途採用で入社した方に、キャタラーの良い点や改善すべき点を聞き取り、分析しています。外から見た評価を学びながら、さらに魅力ある会社へ進化させていきたいと考えています。
現在は、人事部門を中心に、アルムナイ採用で戻ってきた方や中途採用で入社した方に、キャタラーの良い点や改善すべき点を聞き取り、分析しています。外から見た評価を学びながら、さらに魅力ある会社へ進化させていきたいと考えています。
――組織風土づくりでは、「感謝宣言」も注目されています。
石田:「感謝宣言」は私が始めたものではなく、研究開発センターの現場から自然に生まれた活動です。
管理者は日頃、感謝の気持ちを伝えているつもりでも、言葉にして伝える機会は意外と少ないものです。そこで職場のメンバーが顔写真付きで「いつもありがとう」というメッセージを掲示したところ、大きな反響がありました。
その活動が全社へと広がっていったのです。最初は照れくささもあったと思いますが、一度言葉にすると、その言葉に責任を持とうとする意識も生まれます。トップダウンではなく、現場から自発的に始まった活動だったからこそ、大きな意味があったと思っています。
管理者は日頃、感謝の気持ちを伝えているつもりでも、言葉にして伝える機会は意外と少ないものです。そこで職場のメンバーが顔写真付きで「いつもありがとう」というメッセージを掲示したところ、大きな反響がありました。
その活動が全社へと広がっていったのです。最初は照れくささもあったと思いますが、一度言葉にすると、その言葉に責任を持とうとする意識も生まれます。トップダウンではなく、現場から自発的に始まった活動だったからこそ、大きな意味があったと思っています。
――働きやすい環境づくりにも力を入れているそうですね。
石田:はい。その象徴的な取り組みが「祝日の会議禁止」です。
自動車業界では祝日勤務が一般的で、私自身も30年以上その働き方を続けてきました。しかし改めて考えると、子どもが休みの日に親が仕事をしているのはおかしな面もあります。そこでまずは祝日に会議を入れないルールを設け、年次有給休暇を取得しやすい環境づくりを進めました。
結果として、年休取得日数は平均17日まで向上しています。今後は20日を目標にしています。働きやすさと働きがいの両方を高めながら、「明日も会社に来たい」と思える職場をつくっていきたいと考えています。
自動車業界では祝日勤務が一般的で、私自身も30年以上その働き方を続けてきました。しかし改めて考えると、子どもが休みの日に親が仕事をしているのはおかしな面もあります。そこでまずは祝日に会議を入れないルールを設け、年次有給休暇を取得しやすい環境づくりを進めました。
結果として、年休取得日数は平均17日まで向上しています。今後は20日を目標にしています。働きやすさと働きがいの両方を高めながら、「明日も会社に来たい」と思える職場をつくっていきたいと考えています。
7.電動化時代を見据えた経営戦略
――自動車業界は「100年に一度の大変革期」と言われています。その中で貴社にとっても新たなトランスフォーメーションが求められます。
石田: その通りです。その考えを深める上で大きな学びになったのが、日科技連の「JUSE-エグゼクティブセミナー」という7か月間の経営層向け研修への出席でした。名古屋工業大学の加藤雄一郎教授から、「企業はものづくりだけでなく、その先にある顧客価値の創造まで考えなければならない」と繰り返し指摘を受けました。私自身も製造現場を歩んできた人間ですので、どうしても製品や製造の視点に偏りがちでしたが、顧客が製品を使った後の価値やサービスまで含めて考えることの重要性を改めて認識しました。
私はTQM(総合的品質管理)を、顧客価値創造と組織能力向上を実現するための経営ツールだと捉えています。変革の時代だからこそ、品質を製品だけでなく経営全体の根幹に据え、顧客価値を創造し続ける企業へと進化していきたいと考えています。
私は、品質経営というのは広義で捉えれば「会社のあり方そのもの」だと思っています。目指すべきは“いい会社”をつくることであり、そのためには経営の質、仕事の質、人の質など、あらゆる質を高め続けなければなりません。
私はTQM(総合的品質管理)を、顧客価値創造と組織能力向上を実現するための経営ツールだと捉えています。変革の時代だからこそ、品質を製品だけでなく経営全体の根幹に据え、顧客価値を創造し続ける企業へと進化していきたいと考えています。
私は、品質経営というのは広義で捉えれば「会社のあり方そのもの」だと思っています。目指すべきは“いい会社”をつくることであり、そのためには経営の質、仕事の質、人の質など、あらゆる質を高め続けなければなりません。
――その中で、今後の最大の経営課題は何でしょうか。

もちろん電動化のスピードには変化がありますが、長期的に見ればその流れは変わりません。
一方で、インドをはじめとする成長市場では触媒需要が引き続き拡大しています。規制強化も進み、より高い性能も求められています。
つまり既存事業を伸ばしながら、同時に新規事業も育てなければなりません。
――新規事業創出の難しさも感じておられますか。
石田: 非常に難しいですね。
私たちは長年、自動車業界の中でビジネスをしてきました。
どうしても技術やモノづくりを起点に考えてしまう。
しかし本当に重要なのは、お客様がどんな価値を求めているかということです。これは「JUSE-エグゼクティブセミナー」で学んだことです。
現在は外部の専門家や異業種の知見も取り入れながら、顧客価値創造という視点で事業を考える取り組みを進めています。まだ道半ばですが、今、体力があるうちに将来の種をまかなければなりません。
私たちは長年、自動車業界の中でビジネスをしてきました。
どうしても技術やモノづくりを起点に考えてしまう。
しかし本当に重要なのは、お客様がどんな価値を求めているかということです。これは「JUSE-エグゼクティブセミナー」で学んだことです。
現在は外部の専門家や異業種の知見も取り入れながら、顧客価値創造という視点で事業を考える取り組みを進めています。まだ道半ばですが、今、体力があるうちに将来の種をまかなければなりません。
8.AI活用と終わりなき改善
――「グローバルビジョン2035」では、将来に向けた変革の必要性を訴えられています。
石田:2035年に向けたビジョンを策定した際、私は全従業員に「健全な危機意識」を持ってほしいと伝えました。電動化が進む中で、「自分たちの仕事がなくなるのではないか」と不安に感じる社員もいます。しかし私は、既存事業がなくなることを心配するのではなく、それに代わる新しい事業を生み出し、事業化していくことが大切だと考えています。その思いを伝えるため、昼夜勤を含めて全従業員に8回に分けて直接説明しました。私たちは変化を恐れるのではなく、新しい価値づくりに挑戦していかなければなりません。
――その挑戦を支える取り組みの一つがAI活用なのでしょうか。
石田:その通りです。今年から生成AIの全社展開を進めています。現在は生成AIの有料版を全社員へ順次展開しており、全員がAIを使いこなせる環境づくりも進めています。目的は単なる効率化ではありません。AIによって生み出した時間を、新規事業や高付加価値業務に振り向けることが狙いです。現在は排ガス浄化触媒事業を強化しながら、将来の「飯の種」となる新規事業も同時に育てなければなりません。だからといって人員を増やし続ければ、労務費は大きく膨らみます。そこでAIを活用し、一人ひとりの生産性を高めることで、既存事業と新規事業の両立を実現したいと考えています。AIへの投資は、将来への成長投資そのものです。
――これからの改善活動においてAIはどのような役割を果たしますか。
石田:改善に終わりはありません。TPSには「改善の後は改善の前」という言葉がありますが、一度改善しても、それは次の改善のスタート地点に過ぎないという意味です。TQMも同じで、仕組みや標準をつくって終わりではなく、常に進化させ続けることが重要です。最近では原因分析などにもAIが活用されるようになってきましたが、私はAIを人に代わるものではなく、人の知恵や挑戦を後押しするツールだと考えています。テクノロジーを活用しながら、より良い仕事、より良い会社づくりに向けて改善を続けていく。それがこれからのキャタラーの姿だと思っています。
――最後に、クオリティフォーラム参加者へメッセージをお願いします。

だから学び続けなければならない。そして挑戦し続けなければならない。
私はリーダーも同じだと思っています。社長だから何でも知っているわけではありません。
若手や現場から学び、本音で対話し、挑戦できる場をつくる。それがリーダーの役割ではないでしょうか。 変化の激しい時代だからこそ、「終わりなき改善」の精神がますます重要になると思います。
――貴重なお話をありがとうございました。クオリティフォーラム2026でのご講演を楽しみにしております。
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