開催概要

第117回品質管理シンポジウム

日程

〔確認ください〕117QCS 討論にあたる前提事項:用語の定義と考え方

テーマ
原点回帰!品質経営を改めて考える
~品質不祥事の防止と真の顧客価値創造、必要な組織能力~
日 時 2024年5月30日(木)~6月1日(土)
会場
  • 大磯プリンスホテル
    (神奈川県中郡大磯町国府本郷546 TEL:0463-61-1111)
  • ライブ配信
主 催 一般財団法人 日本科学技術連盟
後 援 一般社団法人 日本品質管理学会

趣旨

棟近 雅彦
第117回品質管理シンポジウム
主担当組織委員
早稲田大学
理工学術院 教授
棟近 雅彦

日本は、「品質=要求との合致」という考え方のもとに、品質を中心とする経営を実践し、品質世界一の座を獲得したこともありました。近年は、バブル崩壊後の失われた30年を取り戻すべく、顧客価値創造の実現を目指し、そのための組織能力をいかに獲得すべきかについて、各組織は努力し、このQCSでもその方法論について議論を重ねてきました。

しかし、その一方で、品質不祥事が継続的に発生しています。大半の組織、そしてほとんどの従業員は、顧客満足をめざして真摯にものづくりやサービス提供に取り組んでいます。しかし、たとえ全体に占める割合としてはごくわずかであっても、また、たった1件の不祥事であっても、顧客や社会の信頼を失ってしまいます。問題が発生した組織は、それぞれに深く反省し、策を講じてきたと思われます。品質不祥事を確実に防止するためには、問題の発生の有無に関わらず、あらゆる組織がこれまでの事例や対策を業界全体、さらには社会全体で共有しながら、もう一歩踏み込んだ議論が必要と思われます。

品質不祥事に関連して、業界をあげて改革を行ってきた先駆例としては、医療分野があります。医療界では、1999年から2000年にかけて、重大な医療事故が多発し、大きな社会問題となっていました。そこから官民一体となって、質・安全を重視した医療を実現すべく、様々な改革を行ってきました。品質マネジメントの考え方も広く認知されるようになり、安全性の向上とともに、医療の質向上にも貢献しました。ただし、医療事故が皆無になったわけではありません。元々医療は侵襲行為をともなう業態ですから、事故のリスクは常にあります。したがって、事故を隠蔽しないことも含む安全重視の文化を醸成しながら、質・安全を向上させる取り組みと、事故が起きた場合の適切な対処方法を取り入れた、品質マネジメントシステムの構築を進めてきました。

産業界は、利潤を追求する活動を競争環境の中で行っており、人のプレッシャーに対する弱さもあり、品質不祥事が起こるリスクが常に存在します。したがって、一度策を講じればそれで終わりということはあり得ず、発生防止策、起きた場合の対処策を、品質マネジメントシステムの中に組み込み、継続的に改善していく必要があります。また、1組織の品質マネジメントシステムにおける改善だけでなく、制度や規制の改革、商慣習の見直し、ビジネスモデルのあり方など、業界や社会全体としての改革も必要になると考えられます。

本シンポジウムは、品質経営を議論するための日本での最高峰の場です。品質立国日本を再生するためには、一度この問題をこの場できちんと議論しておく必要があるのではないでしょうか。特に、品質を中心とする経営を実践するためのツールであるTQMは、品質不祥事を防止するために有効な品質マネジメントシステムと考えられます。品質不祥事を防止するためにTQMのどういった点が有効で強化すべきなのか、必要な組織能力は何なのか、TQMを実践していても品質不祥事が発生する原因・背景は何かを、本シンポジウムで明らかにしたいと思います。

日本企業の強みは、品質重視の経営であると確信しています。原点に再度立ち返って、真に顧客満足を達成するために何をしなければならないか、真っ向から議論したいと思います。テーマ名にある「原点回帰!」は、この思いを表現したものです。品質経営を実践している皆様、一緒に議論しませんか。

組織委員

小笠原 浩
小笠原 浩
㈱安川電機 代表取締役会長
永田 靖
永田 靖
早稲田大学 教授
宮本 眞志
宮本 眞志
トヨタ自動車㈱
カスタマーファースト推進本部 本部長
棟近 雅彦
棟近 雅彦
早稲田大学 教授
棟近 雅彦
森 雅彦
DMG森精機㈱
代表取締役社長
山田 秀
山田 秀
慶應義塾大学 教授