講演概要

第106回品質管理シンポジウム

特別講演

「素材には社会を本質的に変える力がある」~東レの研究・技術開発と実践事例~

日覺 昭廣 氏 東レ株式会社 代表取締役社長

【講演要旨】
あらゆる製品のもとになる素材には、社会を本質的に変える力があります。
東レグループは、「私たちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」という経営理念に基づき、私たちにしか成し得ない、これまで世に無かった価値を持つ素材を提供することで、当社の社会的責任を果たしていきます。
「時流に迎合せず、本質を把握して、長期ビジョンをもって、時代に適合する」という考え方で、企業は社会の公器であるという考えのもと、長期視点での研究・技術開発、人を基本とする経営、現場主義を徹底し、日本的経営の良さを強みとしてグローバルに展開してきました。
今回はこれら東レグループの取り組みと実践事例についてご紹介します。

基調講演

メガトレンドと日本 日本の強みを活かした新価値創造

川口 盛之助 氏 株式会社盛之助 代表取締役社長

【講演要旨】
かつてない速さでビジネスを取り巻く環境が変化している。IoTやAIなど情報技術の進歩はとどまる所を知らず、第4次産業革命やフィンテック金融革命などを巻き起こすと言われる。これらの変化は政治体制や社会構造にまで波及し、シェアリングエコノミーやベーシックインカム、リキッドデモクラシーやデータ資本主義などと様々な領域で変革が生じるとされる。
いつの時代にも環境は変化しており、若者はそれをエキサイティングに感じ、老人は脅威と捉えるが、ダグラス・アダムズの法則によればその分水嶺は35歳にあるとされる。巷をにぎわすバズワードにいちいち慄くことなく、大きなメガトレンドを見通すことが肝要だ。
本講演では、技術と産業の視点での最も重要な二つの潮流について考える。
技術はその生来の宿命として人間の心身に対しての更なる肉薄を挑み続ける。産業もその成熟の必然としてメタサービス化の道を究めることになる。それらの様子を解説する。
もう一点、本講では日本らしさと商品機能について解説を加える。グローバル化や情報化が進むほどに、商品の仕様は最大公約数的に似通うこととなり、往々にしてコスパを競うレッドオーシャンにはまり込む。重要なことは、自分らしさに対する理解であろう。日本らしさから、自社らしさ、ひいては自分らしさを明示化し価値に変えるための手順を紹介したい。

講演1

お客様の視点に立った“トヨタのアフターサービス”の挑戦

佐藤 和弘 氏 トヨタ自動車株式会社 専務役員

【講演要旨】
トヨタ自動車は創業以来、お客様を第一に“高品質なクルマづくり”を通じてお客様や社会に貢献することを目指しています。そして、もっといいクルマの提供に留まらず、世界中の代理店、販売店と共に、クルマの使用期間で不可欠な整備、修理等、“質の高いアフターサービスをライフステージ全体で提供”するために、同じ価値観として3S精神(正確、親切、信頼)を共有し、常にお客様の視点に立ち、サービスの質向上や、サービスエンジニア育成等に継続的に取り組んでいます。
今回は、トヨタの強みとして長年大切に培い進化を続けるトヨタのアフターサービスの取組み事例を共有し、今後の大きな変化の中で、もっといいクルマとサービスの強みを最大に活かした“お客様第一を追求する新価値創造”へのトヨタの挑戦について紹介します。

講演2

食を通じて社会問題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる

寺田 直行 氏 カゴメ株式会社 代表取締役社長

【講演要旨】
カゴメのはじまりは農家であり、1899年にトマトの発芽とともに創業しました。以来、トマトなど自然の恵みがもつ価値を活かした商品の開発と提供を通じて、人々の健康的な食生活の実現に貢献してきました。その過程においては、「畑は第一の工場」といったものづくりの哲学をもって安全・安心な商品を提供できるよう取り組んでまいりました。
2016年にスタートした中期経営計画では、持続的に成長できる強い企業になるために、「収益構造の改革」と「働き方の改革」に取り組み、同時に社会問題の解決に貢献するための「トマトの会社から野菜の会社に」等の長期ビジョンを掲げ、「ニッポンの野菜不足をゼロにする」ことを目指して活動しています。その実現を支えるため、昨年新たに策定した「品質・環境方針」も含めてお話しいたします。

講演3

お客さまとの協創によるイノベーション

東原 敏昭 氏 株式会社日立製作所 取締役 代表執行役 執行役社長兼CEO

【講演要旨】
鉱山の機械修理部門から創業した日立は、2020年のオリンピックイヤーに創業110年を迎えようとしています。私たちは、創業以来「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念の下、社会課題の解決に向け、質の高い製品、サービスの提供に努めてきました。
現在、都市化や資源不足、少子高齢化など、世界の国や地域が抱える課題はますます複雑化しています。このような中、急速に進展するデジタル技術により、新たな価値を生み、未来の社会に役立てようという動きが世界各地で始まっています。
日立は、お客さまと一緒に新たな価値を創出するために、最先端のデジタル技術を用いてお客さまの課題やビジョンを共有、見える化し、ビジネスモデルをデザイン、そして検証することを通じて具現化するプロセスを体系化し、お客さまとともに活用しています。
本講演では、お客さまとの協創により新たな価値を生み出す日立の取り組みを、具体的事例を含めてご紹介します。

講演4

「真のグローバル企業」に向けて

津谷 正明 氏 株式会社ブリヂストン
取締役 代表執行役CEO兼取締役会長

【講演要旨】
今年は社是「最高の品質で社会に貢献」の制定とデミング賞受賞から丁度50年の節目に当たり、グローバル化に大きな一歩を踏み出したファイアストン買収から30年の節目の年です。事業環境はあらゆる面で大転換期にあり、真に激動の時代にありますが、原点に戻り、企業理念を事業活動の基盤とし、経営の最終目標である「真のグローバル企業」、「業界において全てに『断トツ』」に向け、経営改革を継続しております。
本公演では、重点課題として取り組んでいる以下の3点を含めて、当社の取り組みをご紹介します。

1)グローバル企業文化の育成 2)グローバル経営人材の育成 3)グローバル経営体制の整備