開催概要
第121回品質管理シンポジウム
日程
| テーマ |
日本の産業競争力向上を実現するこれからの品質経営
~品質経営のパラダイムシフトの加速と新たな山脈づくり~ |
|---|---|
| 日 時 | 2026年6月4日(木)14:00~6月6日(土)12:00 |
| 会場 |
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| 主 催 | 一般財団法人 日本科学技術連盟 |
| 後 援 | 一般社団法人 日本品質管理学会 |
趣旨

第121回品質管理シンポジウム
主担当
(一財)日本科学技術連盟
理事長
佐々木 眞一
日本の製造業を支えてきた品質経営は、TQC(後のTQM)という全社を挙げた経営改革として展開され、経営トップから現場担当者に至るまで「全員参加」で、社会や顧客のニーズを満たすために取り組まれてきました。その成功は、1980年代に『JAPAN as No.1』と評されるなど世界的な評価を得ました。
しかし、この成功体験が逆に品質保証力を「経営努力を必要としない既得の組織能力」と捉える風潮を生み、品質経営が経営の主要テーマから遠ざけられてしまいました。品質保証は単なる製品やサービスの「出来栄えの保証」となり、経営のKPIの一部として機能部門に任されるにとどまり、経営者自身が社会や顧客の変化するニーズを捉えきれずにいたことが、現在の産業競争力の低下の一因ともなっています。
近年では、顧客のニーズは “Have Needs” から “Do Needs”、さらには “Be Needs” へと進化しているとされており、企業の役割も「モノを提供する」ことから、「顧客が実現したいことや、ありたい姿を支援する」ことへと変化しています。このような価値の共創こそが、現代の品質経営の核であるべきです。
1964年に創設されたQCSは、「品質管理の今後の発展を希求して、組織的・計画的な総合研究の場」として長年機能してきました。2013年の第97回QCSでは「ものコトづくり時代の品質と人材育成」をテーマに据え、2016年には「品質経営懇話会」および「品質経営研究会」を設置し、価値創出に資する新たなTQM手法の構築に取り組んできました。さらに2019年の第109回QCSでは「令和大磯宣言」、2023年の第116回QCSでは「令和大磯宣言2023」を発出し、企業の存在価値最大化に向けて「顧客(社会)価値を創造し、それを実現するための組織能力を獲得・向上する」必要性を明確にしています。
今回のQCSは、これまでの価値創出とTQMの関係性に一定の区切りをつけると同時に、新たなTQMの構築に向けた議論のスタートと位置づけています。
特に、以下の観点での深掘りを目指します:
- 製造業の成功体験がサービス業や情報産業への転換を阻害してきた現実
- 生産性向上が原価低減に偏重し、価値創出の発想が欠落してきた反省
- 第3次産業の業績改善におけるばらつきと、中小企業の苦戦
- 多様な価値創出に応じた個別最適な組織能力構築の必要性(“富士山型”から“ヒマラヤ山脈型”へ)
このような背景のもと、第121回QCSでは以下のような議論を行っていきたいと考えています:
- 第3次産業の活性化に貢献できる「稼げるTQM」のあり方とは
- 業種・規模を問わず普遍的に適用可能なTQM手法と、サービス業・中小企業に合わせた手法の開発
- 「令和大磯宣言2023」の事業戦略策定・機能間連携調整・業務実施という3つのプロセスに基づく価値創出と組織能力獲得の再検討
- 第3次産業や中小企業に対する実践的な展開方策と意欲喚起
今後、日本の産業の再成長には「品質」という言葉にとらわれない柔軟な発想と、新たな価値創出を志向する経営への転換が求められます。あえて「品質経営」の枠を超え、「エクセレント経営」――社会や顧客に卓越した価値(経験)を提供する企業――という新たな概念をも視野に入れるべきかもしれません。
QCSの開催趣旨である「品質管理の山を高くする」だけでなく、「新たに山脈をつくる」。今回のシンポジウムがそのスタートとなることを願い、多くの皆様と共に新たな品質経営の未来を切り拓いて参ります。「令和大磯宣言2023」の実現がもたらす「企業価値の最大化」についても業種ごとに目指すものを具体的にイメージ出来るための議論も進めていきたいと考えております。