開催概要
第120回品質管理シンポジウム
日程
テーマ |
顧客価値創造に対応する組織能力獲得に向けて『改善活動』を見直す
~環境変化、バリューチェーンの拡大、複雑化に伴う対応~ |
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日 時 | 2025年12月4日(木)~12月6日(土) |
会場 |
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主 催 | 一般財団法人 日本科学技術連盟 |
後 援 | 一般社団法人 日本品質管理学会 |
趣旨

第120回品質管理シンポジウム
主担当組織委員
早稲田大学 教授
永田 靖
改善活動はTQM活動の中核です。すなわち、TQM活動がうまく進捗するためには、改善活動が適切に実施されなければなりません。
むかしと比較して改善活動はうまく推進できているでしょうか。うまく推進できているなら、その工夫は何でしょうか。うまく推進できていないならなぜでしょうか。
改善活動がうまく進まない、ないしは継続しない理由として、次の点がこれまで何回も指摘されてきました。
- トップや上司のリーダーシップと意欲の問題、権限移譲の問題
- 組織風土の問題、変化への抵抗感、失敗を恐れる風土
- 人材不足、教育の問題
- 携わっているメンバーの知識やノウハウ不足、情報共有の問題
- リソース不足やリソース配分の問題
- コミュニケーション不足(個人間、部門間の連携不足)
- 課題の洗い出しが不十分(根本的問題の理解不足、現場の声が届かない)
- 根本原因分析が不十分、対症療法にとどまっている
- 目標が不明確(方針管理や日常管理に問題がある)
- データ分析力が不十分
また、QCサークルはむかしと同様に活性化しているでしょうか。時代の変化に対応できているでしょうか。昨今の働き方改革の影響はどうでしょうか。企業側の支援は十分でしょうか。テーマが現場の課題から乖離していたり、グローバル化・多様化の中での活動が難しくなったりしていないでしょうか。
昨今問題視されている品質不正と改善活動の実力との関係はどうでしょうか。多くの品質不正はむかしから続いてきたものです。それは、実は、改善活動の実力がなかったからなのでしょうか。それとも、品質不正は人間的な問題であって、改善活動とは関連がうすいのでしょうか。私は、改善活動の実力はあったし、それが高められてきたと信じています。一方、限界もあったのだと思います。その限界とは何でしょうか。
これらの状況を踏まえた上で、企業を取り巻く現在の環境を考慮すると、新たなキーワードとして「変化の激しい時代」「ビッグデータ」「AI」「働き方改革」「品質不正」「サステナビリティ」「改善活動の形骸化」「人材不足」などを取り上げて、改めて改善活動を議論する時期にあると考えます。
そこで、今回の品質管理シンポジウムでは、「経営における改善の位置づけとトップの役割」「方針管理と改善活動」「日常管理と改善活動」「品質不正と改善活動」「ビジネス変革の際の改善活動とTQM推進」「働き方改革と改善活動」「ビッグデータやAIを活用した改善活動」「改善活動を適切に実践できる人材育成」などに焦点を当てて議論を深めていきたいと考えます。その際、基本動作を重視すること、手段が目的化しないことも重要です。
そして、『令和大磯宣言2023』の中で述べられている3つのプロセスのレベル「事業戦略策定のためのプロセス」「事業を遂行するための機能間連携プロセス」「具体的業務指示のためのプロセス」について検討したいと思います。さらに「変えてはいけないもの」「変えなければいけないもの」は何かを追求したいと考えています。