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日刊工業新聞連載記事

顧客価値創造と現場力(10)全員参加型経営の新しいかたち

この記事は日刊工業新聞社の転載許諾を受けています。

構想するのは…社内の「全員」

従来から、「経営者目線を持て」「オーナーシップをもって臨め」などという掛け声は存在しているが、それを実践できている企業がどれだけあるだろうか。従業員一人ひとりが事業の明日を“自分ゴト化”する手立てが必要である。

コマツが「ブランドマネジメント大会(BM大会)」と呼ぶ年次大会を創設して今年11年目を迎えた。日本をはじめ、北米や欧州、アジアなど世界の各拠点で部門横断型チームが「顧客からみてコマツがなくてはならない存在になるために、顧客の何の達成をサポートすべきか。そのために、自分たちコマツは何をすべきか」という命題に取り組んでいる。本連載で紹介したスマートコンストラクションの原案はBMから生まれた。その後、最終的に大橋徹二社長が決断した新たな取り組みがスマートコンストラクション事業である。

経営者の最も重要な仕事は決断すること。ただし、現代は先行きが不透明なVUCAの時代である。未来の事象をすべて予期して決断することは至極困難な時代を迎えている。

前述の「決断」は、言い換えると「選択肢から選ぶこと」であり、極論すると、選択肢をつくることは経営層の仕事である必要はない。BM大会は、世界中の各拠点から未来を見据えた選択肢が提案される場と考えることができる。このことについて、大橋社長は「BMは明日の地平を切り開く取り組み」と言う。

これからの時代、目指す姿は、所属部門を問わず、一人ひとりが顧客志向を徹底し、「自分たちの事業は、顧客のどのようなジョブに応えるべきか。どのように応えるべきか」を考え続けること。これが、全員参加型経営の新しいかたちである。今後、業種を超えてさまざまな企業がBM活動に取り組むことによって、未来を見据えた新たな競争優位を自立的に確立できるようになるよう、筆者としても産業界をサポートしていきたいと考えている。