本会議2日目 講演テーマ・講演者紹介

特別講演

セブン‐イレブンの総合情報システム
「近くて便利」を支えるシステム構築と品質

粟飯原あいはら 勝胤かつたね
株式会社セブン&アイ・ホールディングス 取締役執行役員 事業システム企画部 シニアオフィサー 兼 システム管掌

概要

全国20,000店を迎えようとしているセブン‐イレブン。
1号店は1974年にオープン、以来40年以上「単品管理」と「変化への対応と基本の徹底」で伸び続けてきました。原動力は商品開発力と店舗力ですが、それを下支えしてきたのはまさしくシステム。
日本で初めてPOSシステムを入れたのもセブン‐イレブンです。コンビニエンスビジネスをトータルで支えるシステムの一面をご紹介します。
粟飯原 勝胤 氏

経歴

1989年セブン‐イレブン・ジャパン入社。オペレーション本部(営業部門)を15年程経験し、2004年にシステム部門へ異動。システムは未経験の為「日本語を話す外国」を経験するが現場出身の強みを活かし、現場に役立つシステム開発・運用を目指す。
セブンイレブン第6次総合情報システム構築、グループ統合ネットワーク構築を経て現在第7次総合情報システムを構築中。
2014年から災害対策マップ(7View)のシステム構築を進めており、
日本防災産業会議、内閣府の災害情報ハブ推進チームに参画、災害時に役立つシステムを研究・構築中。

その他

  • 日本防災産業会議理事
  • 中央防災会議 災害情報ハブ推進チーム委員

一般発表

A3-1  経験論文

クオリティゲートの通過判断として品質特性を利用した受入テストの導入と効果

伊藤 潤平 氏 ウイングアーク1st株式会社

概要

一般的な開発プロジェクトではテスト工程終了時の工程移行判定にて品質判断しているため、品質問題が起きた場合はスケジュール遅延のリスクが発生しやすい。当社では本リスク対策を行っている。
当社の品質保証部門では最終成果物であるソフトウェアの品質要求を品質特性で定義しており、品質特性を品質指標として活用している。テストレベル毎に品質副特性ベースで定義された品質要求を達成することを念頭にテストレベル毎にクオリティゲートとなるクライテリアを定義している。
この品質保証プロセスを活用し、品質問題が起因したスケジュール遅延リスクの対策として、テストレベル毎にクオリティゲートとなる当社独自の「受入テスト」という仕組みを構築し、予定しているテストが手戻りなくスケジュール通りにテスト可能な品質が備わっていることをシミュレーションしている。 当社独自の受入テストは、網羅性のある品質特性で定義された品質要求が確保されていることを念頭に対応するテストタイプからテストケースを抽出しているため、テストレベル毎の受入テストをパスすることにより、品質確保の状況が分かりやすくなる。
本論文では、テストレベル開始前条件に品質判断する手法として当社独自の受入テスト技法を紹介し、本技法の効果であるプロダクトリスクの回避や品質の見える化実現に向けたプロセスの解説とともに説明する。
A3-2  経験論文

テスト詳細設計プロセスの手順定義によるテストケース抜けの防止

水野 昇幸 氏 Test Engineer's Forum 北海道(コミュニティ)

概要

ソフトウェア開発は規模が大きくなり、一つのプロダクト構築に向けて複数名が作業を行うことは当たり前になっている。複数名で同一の設計文書をつくる場合、テストベースにもなる設計文書にばらつきが発生してしまうことが多い。また、開発期間の短縮、必要な情報を提供する締め切りの厳格さによって、テストベースにおいて情報の散逸や、必要な情報が存在しない、という状況が発生する。
これらのテストベースにおける問題がテスト設計を困難にする。テスト設計の困難さがテストケース抜けを発生させ、最終的に不具合へとつながってしまう。市場での不具合は大きな損害をもたらすリスクとなる。
本論文では、テストベースとなる設計文書にばらつき、必要情報の散逸、情報が存在しない状況を想定し、テストケース抜けを防止する「テスト詳細設計プロセスの手順」を提案する。テストベースの各問題に対応したテストケース設計手順を定義し、テンプレートを活用して設計を行うことでテストケースの抜けを防止する。
また、提案する方法を用いてテストケースを実際に作成し、従来的なテスト設計方法と比較を行った。結果として得られたテストケース抜け防止の効果についても報告する。
なお、記載した問題は設計側での解決が理想的だが、本論文ではまずテスト側で対処を行った上で、検出した問題発生状況を活用して設計側の改善を行う想定で提案を行う。
A3-3  経験論文

業務フローのテスト設計における状態遷移の抽出による業務シナリオ補完手法

井ノ口 伸人 氏 株式会社NTTデータ

概要

業務システムの受託開発において、要件定義工程の成果物として業務フロー図が作成される。業務フロー図には、業務全体の流れに沿ってシステム化する範囲と作業概要が記述される。その記述内容に基づき、発注者と開発者とで合意形成が行われ、設計工程やテスト工程の成果物が作成される。
業務フロー図をテスト工程の入力成果物として利用するとき、実務中に実行される業務シナリオがすべて記述されておらず、十分なテストを設計できないことが多い。典型的な業務フロー図では、基本シナリオ(業務目的を達成できる代表的なシナリオ)は記述されるが、代替シナリオ(業務目的を達成できる基本シナリオ以外のシナリオ)/例外シナリオ(業務目的を達成できないシナリオ)の記述が一部に留まっている。
業務フロー図に記述されない代替/例外シナリオを表現するため、状態遷移図/表を利用する方法がある。状態遷移図/表は、複数の業務に紐づく代替/例外シナリオを簡潔に表現できる。
しかし、業務システムの受託開発においては、設計工程でもテスト工程でも状態遷移図/表が作成されず、十分なテストを設計できたか検証するのが困難になるという課題がある。
本論文では、業務フロー図および各業務を詳細化した設計書から状態遷移を抽出し、業務フロー図に記載されていない代替/例外シナリオを補完してテストするためのテスト設計手法およびその適用事例について報告する。
B3-1  経験発表

「保守業務確認会」による保守業務サービス品質の底上げ

田中 拓也 氏 株式会社インテック

概要

我々の所属部門は,エンタープライズ型システムインテグレーションを得意としお客さまに対しシステムの開発や保守をサービスとして提供している。
過去保守プロジェクトでお客さま業務の把握不足が原因の障害が多発したことがあった。
そこで、我々の所属部門はお客さま業務の全体像や現況の理解を保守業務担当者に促す目的で「保守業務確認会」を開始した。
このたびの「保守業務確認会」は、保守業務サービス品質底上げを行うことを目的に実施し、ドキュメント不備等に対して改善指導を行った。
保守業務担当者が所属するチームの改善のPDCAサイクルと所属部門の組織としてのPDCAサイクルを見直し、「保守業務確認会」のPDCAサイクルでの位置付けを明確にしたうえで「保守業務確認会」を実施した。
所属部門の組織特性に合った保守業務サービス品質の定義、「保守業務確認会」の事前処理と事後処理の手順整理,対面評価シートによる可視化といった実施上の工夫をした。
PDCAサイクルの明確化と実施上の工夫により保守業務担当者自身が改善すべき課題と所属部門として改善すべき課題が確実に解決できるようになった。
本発表は、保守業務サービス品質の向上を課題とする組織にとって参考となる取り組みの事例紹介といえる。
B3-2  経験論文

TSPの俊敏性向上に関する取り組みと評価

片峯 恵一 氏 九州工業大学

概要

ソフトウェア開発では、大規模かつ短納期という非常に厳しい状況が続いており、さらに、顧客満足度を高めるため、要求変更への柔軟な対応と品質の確保が望まれている。著者らは、このような状況に対応できるソフトウェア開発手法としてWatts Humphrey氏の提唱するパーソナルソフトウェアプロセス(PSP)とチームソフトウェアプロセス(TSP)に着目している。PSPは、高品質なソフトウェアを開発するための自己改善プロセスであり、TSPは、チームの構築とマネジメントのための枠組みである。また、TSPは、ソフトウェアプロセスに基づく循環的な開発プロセスを用いており、高品質なソフトウェアを計画通りに実現するための多くのベストプラクティスを組み込んでいる。しかし、Capers JonesによるとPSP/TSPは、中規模以上のソフトウェア開発において最も優れた成果をあげているが、小規模開発においてはアジャイル手法が優れているとされている。九州工業大学では大学院科目として、PSP/TSPを導入しているが、プロジェクトの立ち上げや計画立案に多くの時間がかかり、短い期間に多くのサイクルを回すことは困難である。そこで、TSPの俊敏性を向上させるために、開発戦略やアーキテクチャ設計等に関する新たな指針を導入した。 本稿では、これらの施策を学生プロジェクトに適用した結果について報告する。また、プロジェクトサイクルを短くした際の品質への影響や、教育的な観点からの効果について議論する。
B3-3  経験発表

大規模/多拠点ソフトウェア開発プロジェクトにおける品質改善への取り組み事例

岩崎 幸弘 氏 日本電気株式会社

概要

新規ソフトウェア開発プロジェクトにおいて、仕様や設計段階での漏れ/誤りの多発、あるいはコーディングやテストでバグが収束しない等の品質問題を起こすことは、比較的よくあるケースである。
今回の経験事例における対象プロジェクトについても同様の品質問題を抱えたプロジェクトであり、フェーズ1開発完了時点で品質問題が顕在化した状態であり、フェーズ2開発以降において開発品質をどうやって改善/向上させるかが重要課題となっていた。
当プロジェクトの品質改善の為に自身がPMOおよび品質管理の役割で参画し、品質悪化要因について分析した結果、当プロジェクトはオフショアを含む多拠点で編成されたプロジェクト、且つ新規メンバ中心で構成された体制であり、開発プロセスやコミュニケーションの観点などにおいて改善すべき点が多々あることが判明した。特に
  • 開発プロセス理解/周知不足で成果物の品質が一定でない
  • 仕様/設計における拠点間の認識齟齬の多発
  • 仕様/設計/コーディングでのレビュー不足多発
  • テスト項目網羅不足
などの弱点が顕著であった事から、これらの観点に着目した改善施策を立案/実行した。
その結果、当プロジェクトのフェーズ2開発以降において、大幅な品質改善が見られたことから、当経験を事例として発表する。
A4-1  経験論文

ソフトウェア品質技術が品質特性に与える効果の見える化と活用の一考察

小島 嘉津江 氏 富士通株式会社

概要

Internet of Things(IoT)や人工知能(AI)など、社会にイノベーションを起こす技術の急速な進展に伴い、これらを具現化するソフトウェアの重要性がますます高まっている。特にその品質は、社会基盤やビジネスに大きな影響を与えており、ソフトウェア製品・サービスそのものに対する要求はもちろん、利用時の視点での要求、そして、市場競争力強化への要求など、多面的に捉えられてきている。本稿では、「多面化するソフトウェア品質要求をどのように実現できるか」をテーマに、『ソフトウェア品質要求』を『品質特性』に読み替えることに着眼し、品質確保するアプローチを考案・検証した。本品質確保のアプローチは、『品質特性』を実現するために採用する『品質技術』の選択手法、そして、『品質特性』の達成度を評価できる『メトリクス』の活用手法から構成した。品質特性とその達成度を評価するメトリクスは、国際規格ISO/IEC 25000シリーズ(SQuaRE)をベースに、品質技術は、網羅・体系化が必要となるため、「ソフトウェア品質知識体系ガイド(SQuBOKガイド)」をベースとして研究を行った。最後に「IPA 2015年度ソフトウェア工学分野の先導的研究支援事業(RISE)」(早稲田大学)が調査結果として報告した「異なる品質間の関係を総合的に実証した世界初のベンチマーク(WSQB2017)」との検証も行い、ひとつの実践結果を示すとともに、今後広く展開するための深掘りの観点と考察を発表する。
A4-2  経験論文

ソフトウェア欠陥の共起性を利用した欠陥推定手法の提案
~ 共起欠陥推定アプローチによる潜在欠陥の捕捉 ~

澁谷 将行 氏 株式会社トーセーシステムズ

概要

多くの企業では、ソフトウェア開発の過程で欠陥が混入しないように予防策を講じている。しかし、欠陥は人間の誤りにより発生するため混入をなくすことは容易ではない。そのため、市場に欠陥が流出しているのが実情である。
そこで我々は、欠陥は混入するという前提の上で、以下の問題の解決を目標とした。
  • 同じような欠陥を取り逃さない。
  • 後工程に欠陥を流出させない。
この問題を解決するために、欠陥混入のメカニズムに着目し、欠陥検出時に得られる情報を用いて他の潜在欠陥を検出する手法の確立を目指した。
本研究ではまず、「Aという欠陥が発生すれば、Bという欠陥も発生するという性質」を欠陥の共起性として定義する。
そして欠陥混入のメカニズムを表現する手法である「欠陥モデリング」と、要素の関連を解析するのに適した「グラフ理論」を用いて、欠陥には共起性があることを示す。
そのうえで、欠陥の共起性と推定アルゴリズムを用いて潜在欠陥の推定を行う「共起欠陥推定アプローチ」を提案する。
「共起欠陥推定アプローチ」の有用性を検証した結果、欠陥混入の要因と欠陥の関連の強さを考慮することで、より潜在している可能性の高い欠陥を推定できることを確認した。
本発表では、欠陥の共起性と共起欠陥推定アプローチによる推定手法について、具体例を交えて紹介する。
A4-3  経験論文

ヒューマンエラーによる失敗・事故の分析手法の提案

海老澤 竜 氏 株式会社日立製作所

概要

SI事業において、システム構築や稼動維持の作業はSEの手によって支えられており、手作業であるがゆえにヒューマンエラーに起因する事故が発生している。事故は全く新しい要因によって発生しているとは考えづらく、事故の正しい原因分析に基づく再発防止策の立案を積み重ねることで大部分の事故は未然に防げると考えられる。従来の事故分析では「個人・部署間で検討方法・品質が不統一」「分析工数が足りず、分析品質が低い」「対策対象が人に集中しがちになる」などの問題がみられる。
このような問題を解決するために、本報告では医療分野の分析手法を基に開発したSE事故分析手法を提案する。本手法は、原因分析から再発防止策の立案まで一貫した事故分析プロセスである。本手法には、分析工数低減のための原因絞込み手順追加と、再発防止策の発想支援の枠組み追加という工夫を加えている。
実際のSE事故に対して提案手法を適用し評価したところ、「発想が広がって再発防止策案の質が向上する」、「チームで議論しながら分析に取り組むことができ分析実施後の満足度が従来よりも高まる」などのメリットが確認できた。
現在、一つの事業部門においては、月次会議での報告に本手法が採用されている。またある部署では、本手法で導出した再発防止策により適用後約3年間の問題事象を、(従来頻度では10件程発生していたところを)0件に押さえることができている。
B4-1  経験論文

大規模で短期間のソフトウェア開発における品質進捗へのアプローチ

羽田 達哉 氏 株式会社日立製作所

概要

ソフトウェア開発において、開発作業の進捗は評価できるが、プロダクト品質(コードにバグがどれだけ存在するか)はテストが完了するまで分かり難い。そのため、ソフトウェアのバグが計画より多く存在し、バグ修正に掛かる時間と労力が計画より増えること、今後について再計画が必要であるということに気付くには、多くの時間が必要である。特に大規模で短期間のソフトウェア開発は、バグが多いリスク、納期が遅延するリスク、コストが増えるリスクが高いため、早期に品質の悪い部分を検出し改善させるサイクル(よいプロセスに改善する)が重要である。
よいプロセスの習慣化には各工程で活用するセルフチェック(標準的なチェック観点)やレビューを愚直に実施させることが有効である。実施状況を数値化することで作業品質を評価できる。この作業品質の尺度を用いることで、"異常値"(=作業品質が悪いモジュール)は開発要員の理解不足、手抜き(嘘)を客観的に検出できスキル向上の指導を施すことができる。
私たちは本施策をQM3S”Quality Mind and Skill Scoring System”と呼び、開発作業における作業品質を定量的に評価する手法がソフトウェアの品質確保に有効であることを確かめた。本発表ではQM3Sの特徴説明を行うとともに適用効果の報告を実施する。
B4-2  経験論文

第三者検証活動からの開発プロジェクトマネジメントに対する改善提案

内藤 拓 氏 富士通クオリティ・ラボ株式会社

概要

本発表では開発プロジェクトマネジメントに対する改善提案として、富士通のプロダクト開発部門における第三者検証活動を通して判明して来た一課題から考察し提案するものである。
筆者の所属する組織では富士通で製品を開発する事業部門から独立した第三者の立場として、製品開発のプロセスおよびマネジメントに着目した第三者検証活動(以降、開発プロジェクト審査)を2004年から実施し、富士通のソフトウェア製品の品質向上に貢献してきた。
近年の開発プロジェクト審査の指摘傾向としてプロジェクトマネジメントの問題が散見されてきた。これらの問題指摘について分析を進めた結果、原因の一つに開発計画策定時の品質施策立案に問題があるのではないかと考察した。この検証としてその後の開発プロジェクト審査で品質施策の運用状況を確認したところプロジェクトマネージャーの独自判断によるものが多いと分かった。
各プロジェクトがプロセスを整備する際に部門のQMSに準じているが、品質施策の粒度に関しては定義されていない。そのため今後の開発プロジェクト審査の中で、開発計画段階で品質施策の内容の妥当性を確認し、プロジェクトマネジメントの問題を是正していく。この活動を進めることでプロジェクトマネージャーが円滑にマネジメントできるよう支援し、プロジェクトマネジメントに貢献していく。
B4-3  経験発表

WHYに重点を置いた人材育成:やりがいのあるプロセスへ

片山 泰司 氏 オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社

概要

本発表では、弊社の鉄道ソリューション事業のシステム開発部門における改善活動について報告する。
改善したいことは「プロセスに対する納得不足」→「プロセス不遵守の増加」→「市場不具合の増加」のサイクル。この負のサイクルの歯止めとして、まずはプロセスに対する現場の納得感を高めることに取り組んだ。新人からベテランまで、プロセスの目的・必要性に納得してもらえるよう、WHYに重点を置いた新たなプロセストレーニングを実施した。トレーニング対象は、エンジニアリング領域のプロセス。
過去のトレーニングでは手薄だったプロセスの目的や意義「何のために必要なのか」「何が嬉しいのか」といった話や、プロセスに関する社内外の取り組み、やりがいを感じてもらうための話を新たに取り入れ強化した。
プロセス自体の説明も、WHAT・HOWが中心だった過去トレーニング内容を、WHY・WHAT・HOWの説明へ再構築した。またベテランが新鮮味を感じるよう、標準プロセスだけでなく、現場ノウハウも紹介するよう工夫した。
トレーニングの有効性はアンケートで評価した。過去トレーニングと比べ、全評価項目が上昇。また任意記入の感想・要望も改善がみられた。感想・要望の前向きなコメント内容や、テキストマイニング結果からも、プロセスへの納得や関心に効果があったと評価できるため、トレーニングの工夫やトレーニング内容について紹介する。

招待講演

招待講演 D1-1  ★2016年度 SQiP Best Paper Future Award 受賞

GSNを活用した技術者能力計測手法の適用とその後

梅田 浩貴 氏国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

概要

JAXAでは第三者の技術者がソフトウェアの評価を行う独立検証及び妥当性確認の活動(以下、IV&V活動という)を行っている。IV&V活動とは、ソフトウェア開発成果物(設計書やソースコード等)に対し、不具合の要因となるようなリスクを評価する業務である。そのため、IV&V活動で必要とする能力は、業務の実績から判断されていた。
近年、宇宙産業ではIV&V活動が広がり、業務に従事する前にその適性を計測する手段が必要になってきた。しかし、短時間で技術者の能力を計測する方法として、一般的である選択式等の筆記試験では、「リスクを抽出する能力」等を計測することは困難であった。一方、本提案では、技術者の思考過程をGSN(Goal Structuring Notation)形式で可視化し、その能力を計測できるか試みた結果を報告する。
梅田 浩貴 氏

経歴

  • 2005年 独立行政法人宇宙航空研究開発機構に入社。情報システム部門で、コミュニケーションシステム、ネットワークシステム等のシステム企画及びプロジェクトマネジメントに従事
  • 2010年 情報技術研究部門で、ソフトウェア独立検証及び妥当性確認(IV&V)の技術研究および、各種宇宙機ソフトウェアの検証活動に従事。
招待講演 D1-2  ★2016年度 SQiP Best Presentation Award 受賞

ソフトウェア開発におけるFMEA適用の課題と効果的な実施方法

余宮 尚志 氏株式会社東芝 ソフトウェア&AIテクノロジーセンター プロセス・品質技術開発部 主務

概要

近年、セーフティ&セキュリティ技術に対する注目が高まっており、それにともなってソフトウェア開発で不具合の再発防止と未然防止をFMEAなどのリスクアセスメント手法を用いて実施することがより重要となってきている。ソフトウェア品質シンポジウム2016では、東芝の開発した観点を用いたリスクアセスメント手法「ソフトウェアFMEA」について、製品分野に特化した観点リストを用意する方法とその実施効果について発表した。今回の発表では、昨年の発表を含め、ソフトウェア開発プロセスの中で観点リスト活用を効果的にする方法や、FMEA以外の他のリスクアセスメント手法での観点リスト活用の取組みについて紹介する。
余宮 尚志 氏

経歴

東京工業大学大学院理工学研究科数学専攻 修士課程修了。 東京工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科 技術経営専攻 専門職学位課程修了。 株式会社東芝にて、電気・電子・プログラマブル電子の機能安全(国際安全規格IEC 61508)、自動車向けの機能安全(国際安全規格ISO 26262)に対応した設計技術及び開発プロセスの研究開発、プロジェクト管理・開発体制の構築に関する支援と技術教育、開発プロセス監査と製品アセスメントに従事。

研究論文や著書

  • 余宮尚志 他: ソフトウェアを中心とした安全設計技術, 東芝レビュー Vol.65 No.7 p37-p40, 2010
  • 山内信之 他: 自動車向け機能安全国際規格ISO 26262に対応した東芝の取組み, 東芝レビュー Vol.67 No.12, p47-p50, 2012
  • 余宮尚志 他: 組込みソフトウェアに対するソフトウェアFMEAの試行実験とその考察, 情報科学技術フォーラム講演論文集, 12th巻 第1分冊, p.283-284, 2013
  • 余宮尚志 他: 不具合リスク発想のための観点の抽出方法とその効果, ソフトウェア品質シンポジウム2016(経験論文), 2016
  • 余宮尚志: 観点を用いたソフトウェアにおけるFMEAの効率的・効果的な実施方法とその効果, 先進的な設計・検証技術の適用事例報告書 2016年版, 独立行政法人情報処理推進機構(IPA), 2016

その他

  • 情報処理学会会員。
  • 情報処理推進機構IPA/SEC ソフトウェア高信頼化推進委員会(IoTシステム安全性向上技術WG)委員。
  • 組込みシステム技術協会 安全性向上委員会委員。
  • SQiP2016 Best Presentation Award受賞。
招待講演 D2-1  ★2016年度 SQiP Best Report Effective Award 受賞

顧客の運用観点を取り入れたシナリオテスト実施改善効果

森中 秀明 氏アンリツネットワークス株式会社 品質保証部課長

概要

弊社では開発部門と独立した組織として品質保証部があり,開発部門の検証完了後,品質保証部による妥当性確認を実施しています。ソフトウェア品質シンポジウム2016ではその妥当性確認の改善事例として,製品のライフサイクルに沿った顧客の運用条件を抽出してユーザ観点のテストシナリオをベースとしたテスト手法へ変更した結果と実施効果を紹介しました。今回の講演では,昨年の発表内容からの更なる改善内容やその効果などを含めて,実際の製品妥当性確認プロセスの改善事例を紹介いたします。
森中 秀明 氏

経歴

1991年アンリツ株式会社入社。ネットワーク製品のソフトウェア開発に携わる。情報通信事業の分社化により2006年からアンリツネットワークス株式会社に所属。ネットワーク製品の保守サポート部門を経て,現在は品質保証部にて設計の妥当性確認業務やソフトウェア開発プロセス改善活動に従事。

研究論文や著書

「顧客の運用観点を取り入れたシナリオテスト抽出方法とその適用効果」,独立行政法人情報処理推進機構『先進的な設計・検証技術の適用事例 2016年度版』

その他

  • 日科技連 ソフトウェア品質保証部長の会メンバー
  • SQiP2016 Best Report Effective Award「妥当性確認におけるユーザ観点のシナリオテスト適用の実施事例」
招待講演 D2-2  ★2016年度 SQiP Best Paper Effective Award 受賞

ISVアプリケーションの受入テストにおける探索的テストの導入効果

森 一郎 氏NECパーソナルコンピュータ株式会社 SW Development, SW Design Engineering マネージャー

概要

当社のパソコン製品には50本のISV(独立系ソフトウェアベンダー)製アプリケーションをプリインストールしている。これらは当社の受入テスト、システムテストを経て、QAによる出荷監査を受け、重大な不具合がないことが保証され、出荷される。筆者の任務は、受入テストですべての不具合を検出することにある。しかし、実際には出荷監査で不具合が検出されている。受入テストでいかにして効率的に多くの不具合を検出できるかが課題である。
この課題に対し、「探索的テスト」を導入し、受入テストにおける不具合検出効率向上を図った。本発表では、当社の探索的テストプロセスの定義、テストチームの編成、テスト観点の洗い出し、テスト工数の確保方法、および、実際の製品に適用した効果を報告する。
森 一郎 氏

経歴

1993年NECに入社。パソコン用OSパッケージの製品化、音声認識・合成ソフトウェアの企画と製品化に従事。2004年よりNECパーソナルプロダクツにて、パソコン用ソフトウェアの品質改善、プロセス改善、ユーザビリティ改善を推進。2007年よりソフトウェア生産革新活動リーダーとして、同社のソフトウェア開発における生産性向上、品質向上を推進。2013年よりNECパーソナルコンピュータにて、パソコン製品に搭載するISV製アプリケーションの受入テスト、品質管理に従事。

研究論文や著書

SQiP2016 Best Paper Effective Award「ISVアプリケーションの受入テストにおける探索的テストの導入効果」

その他

神戸大学大学院工学研究科修士課程修了
JSTQB認定テスト技術者資格Foundation Level
JCSQE初級ソフトウェア品質技術者

SQiP特別セッション

ソフトウェア品質保証部長の会からの情報発信!

特別セッション F3-1

自社の品質力をひっぱり上げる!品質保証部門での人財育成

牟田 香奈 氏日本ATM株式会社

概要

ソフトウェアの品質は開発手法や技術力、倫理観の影響も受けることから、人材育成といえば個人に対する技術研修や啓蒙を思い浮かべるかもしれません。
私たちは品質力が組織学習の源泉であり、“高品質力人財”が現場の品質意識や技術力をひっぱりあげるという仮説を立て、これを「品質のハンカチモデル」と名付けました。本提案は、①ソフトウェア開発における品質力とは何か、②なぜ品質力に着目するのか、③品質力の高い人材はどうすれば育つかという疑問に答えるものと考えています。
この発表が、人材育成環境としての品質保証部門の魅力を多くの人に知ってもらうきっかけとなり、皆さまの会社の人材育成計画立案の参考になれば幸いです。
特別セッション F3-2

品質戦略の実際とこれから~戦略策定と実施のポイント~

菅原 広行 氏ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社

概要

品質戦略は、会社や組織が成長していくために重要であり、品質保証部長の会でも、第4期に「経営視点から品質向上を考える」で、品質戦略の立て方や重要性を発表しました。
しかし現状は、「品質戦略が策定できていない」、「品質戦略を策定はしているものの中々成果を生み出せていない」組織も多々あります。
我々は、品質保証部長の会に参加されている各社にアンケートを行い、品質戦略の策定や実行における悩みなどをお聞きするとともに、
  • 品質戦略の策定のためにはどうすれば良いのか?
  • そして、成果を生み出すためにはどうすれば良いのか?
について、討論しました。この発表が、皆さまの活動の一助になれば幸いです。
特別セッション F3-3

進化論・組織論 -品質保証能力成熟度モデルの構築- PartⅡ
QMMi:Quality assurance capability Maturity Model Integration

上符 仁司 氏ピー・シー・エー株式会社

概要

品質保証の組織・人財はどのように進化すべきなのでしょうか?品質保証部長の会では、第2期と第6期にわたって組織規模の違いや取り巻く環境変化を踏まえ、組織や役割をどのように進化させるべきかを議論してきました。また、第7期では品質保証組織を進化させるための人財育成に焦点を当ててCCSF(Common Career Skill Framework:共通キャリア・スキルフレームワーク)を参考にしながらキャリアパス的なものとしてQMMiマップを作成しました。
今期の活動では組織の進化論に立ち戻り、第7期で作成したQMMiマップのプロセスエリアに対して、CMMI、TMMiを参考に品質保証機能で必要となるプロセスをより具体的、実践的にレベル毎に描いたものをQMMiとして作成することとしました。
本発表が、さまざまなドメインでの品質保証機能進化の参考になれば幸いです。
特別セッション F4-1

ITサービス時代の品質保証 PartⅡ
~モノづくりとコトづくり、ビジネス視点の品質保証に備える~

梯 雅人 氏株式会社日立製作所

概要

「モノづくり」と「コトづくり」、ビジネスを取り巻く環境は常に変化し続けています。モノづくりではコモディティ化が進み、ビジネスで成功するためには「モノ+コト」の観点で顧客価値を高める必要があります。昨年より、これを実現するための要になる”サービス”の品質保証について検討してまいりました。
今年は、お客様を含めたエコシステムによりサービスを継続させることや、サービスの品質=価値と捉えて品質保証部門がかかわっていくことについて議論を進めてきており、この内容を皆さんと共有し、今後の品質保証の有り方を考えていきたいと思います。
特別セッション F4-2

IoT時代の品質保証
~つながる世界の中で品質保証はどうなっていけばいいのか~

江口 達夫 氏エプソンアヴァシス株式会社

概要

IoT時代の品質保証について、何から手をつければいいかお困りではありませんか?
特に困っているメンバーが集まり、このテーマで検討を進めて参りました。
その結果として、IoT時代での現在の日本の状況とさらされているリスクが分かってきました。その内容や、我々が感じた危機感を皆様にも感じていただきたく、品質保証として解決すべき課題とその取り組み方法を提言致します。
この発表を期に、時代にあった品質保証で、「安心、安全な日本」を一緒に目指しましょう。
特別セッション F4-3

セキュリティ品質を考慮したSDLにおけるQAの役割(上流工程編)

日下 宏 氏キヤノン株式会社

概要

あらゆるシステムがネットワークに繋がることでセキュリティ上の脅威が格段に増大したためにシステムのセキュリティ品質の確保が必須になってきました。ソフトウェア品質保証部門(QA)として、ビジネスドメインに応じてセキュリティリスクを軽減した「安全・安心なシステム」をセキュリティデベロップメントライフサイクル(SDL)として保証できる仕組みを考えます。
今期の活動はSDLの上流工程にフォーカスを当てて、ソフトウェア品質を上流工程から作り込むのと同様に、セキュリティ品質を作り込む具体的な方策について検討を重ねてきました。

企画セッション

企画セッション E3

FinTechトレンドをリードするサービス開発のポイント
「品質」「スピード」「セキュリティ」

市川 貴志 氏株式会社マネーフォワード 取締役執行役員 CISO

概要

FinTechやサービス開発など新たなトレンドに注目が高まっています。マネーフォワードでは個人向けの自動家計簿・資産管理サービスや、ビジネス向けのクラウドサービスなどの提供を通じて、FinTechトレンドをリードしています。本セッションでは、これらを実現するサービス開発を、マネーフォワードが実践する『DevSecOps』を通じて、サービス開発のポイントを「品質」「スピード」「セキュリティ」に分類して解説いたします。
市川 貴志 氏

経歴

辻調グループ・フランス校卒業。西洋料理の本場でフランス料理を学び、
Lyon郊外の二つ星レストランにて研修を受ける。

2000年マネックス証券株式会社入社、調理業界での知識を活かし、株式取引システムインフラの開発・運用・PM業務を担当。
2008年マネックスグループに転籍。子会社のシステム統合などを担当。
2010年大手金融システム開発会社にて、オンライン為替証拠金取引サイトの新規構築にインフラ担当の責任者として参画。
2012年株式会社マネーフォワードでシステムインフラ・セキュリティ部門を担当(CISO)現在に至る。
企画セッション E4

トヨタが進める自工程完結 ~ホワイトカラーの生産性向上~

佐々木 眞一 氏トヨタ自動車株式会社 顧問・技監

概要

物造りから事造りと言われるように、お客様価値の創出がお客様一人一人の価値観のへのカスタマイズの力で決まり、企業競争力の根源になって来た。
今、その主役は製造現場からホワイトカラーと言われる頭脳労働者に移行して来ている。日本のホワイトカラーの生産性は国際的に見て決して優位とは言えない為、これを改善、改革する事が緊急の課題である。
自動車業界の大変革の中、トヨタが全社で取り組んでいるホワイトカラー業務改革「自工程完結」活動を紹介する。
佐々木 眞一 氏

経歴

1970年北海道大学機械工学科卒業、トヨタ自動車工業(現・トヨタ自動車)入社。
品質管理畑に長らく従事。
2001年取締役、2003年常務役員、2005年専務取締役、トヨタモーターヨーロッパ社長、2009年取締役副社長、2013年相談役・技監、2016年顧問・技監。
著書に『トヨタの自工程完結』がある。

ポスターセッション

欠陥モデル作成ノウハウとその普及に向けた取り組み

安樂 啓之 氏インフォテック株式会社

概要

ソフトウェア欠陥混入の再発防止のためには、その原因を分析し、的確な対策を立てる必要がある。欠陥の標本とそれに付帯する情報をノウハウとして蓄積し 、分析や対策の立案に役立てることができれば非常に有用である。
SQiP研究会欠陥エンジニアリングの分科会活動では欠陥発生のメカニズムを欠陥モデルとして表現し、原因分析をする研究を行ってきた。
この欠陥モデルについて、分科会参加者以外にもわかるよう手引書を作成している。
本手引書では、実際の社内事例を用いて分析を行い、原因を突き止めることが出来るようブラッシュアップを進めている。
本ポスターセッションでは、これらの取り組みとそこで得られたノウハウについて紹介する。
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