本会議2日目 講演テーマ・講演者紹介

特別講演

「物流の改革」を実現
宅急便の進化を支える最重要システム・IT 戦略

田中 従雅 氏
ヤマトホールディングス株式会社 執行役員 IT 戦略担当、ヤマト運輸株式会社 常務執行役員

概要

「宅急便」は、個人から個人への荷物を翌日配達するビジネスモデルとして始まり、「サービスが先、利益は後」の理念のもと、新サービスを次々に発売、2017年度には年間18億個を越える荷物を取り扱うまでに成長してきました。2019年の創業100周年を迎えるヤマトグループは、2013年に発表したバリューネットワーキング構想の更なる進化に向け、高付加価値モデルの創出に取組んでいます。その中で、宅急便をこれまで支えてきた情報システム基盤をさらに進化させた「第8次NEKOシステム」構想に関して、その一部をご紹介します。

経歴

田中 従雅 氏 1985年より、ヤマト運輸株式会社の年間20億個を取り扱う宅配便を支えるシステムである「NEKOシステム」の開発と運用に従事。我が国経済社会の情報化・サービス化にかかる基盤整備「攻めのIT投資評価指標」策定WC、ものづくり競争力研究会、IoT技術等を活用した次世代住宅懇談会委員等。

企画セッション

E1  講演

機械学習工学とソフトウェア品質

丸山 宏 氏 株式会社Preferred Networks PFNフェロー

概要

深層学習が急速に進化していて、深層学習を用いた応用システムが普及し始めている。それに伴い、深層学習応用システムの安全性や説明可能性に対する懸念も聞かれるようになった。深層学習は品質保証が難しいという一般の認識があるようだが、必ずしもそうとは言えない。むしろ、深層学習ならではの品質保証の考え方があるはずである。この講演では深層学習の可能性と限界を明確にした上で、今までとは異なる観点での品質保証の可能性についてもふれたい。

経歴

丸山 宏 氏 2018年5月 - 現在
Preferred Networks, Inc. PFN Fellow
2016年4月 - 2018年4月
Preferred Networks, Inc. Chief Strategy Officer
2011年4月 - 2016年3月
The Institute of Statistical Mathematics Professor
2009年11月 - 2010年9月
Canon, Inc. Digital Platform Development HQ Deputy Group Executive
1983年4月 - 2009年4月
IBM Research, Tokyo Research Laboratory

研究論文、著書

  1. 機械学習工学に向けて、日本ソフトウェア科学会第 34 回大会講演論文集、2017
  2. 『データサイエンティスト・ハンドブック』 (共著),近代科学社、2015
  3. エッジ・ヘビー・データとそのアーキテクチャ, 情報管理 Vol. 56, No. 5, 2013
  4. 『企業の研究者をめざす皆さんへ―Research That Matters』, 近代科学社, 2009
  5. 『XMLとJavaによるWebアプリケーション開発』(共著・訳), Addison-Wesley, 1999

その他

学位:博士(工学)、1995年、京都大学

所属学会:ACM, 情報処理学会(フェロー), 日本ソフトウェア科学会(理事長), 人工知能学会, 日本統計学会

表彰:
  1. 情報処理学会学術奨励賞(「制約依存文法とその弱生成力」に対して), 1998年5月
  2. 米IBM社 Corporate Award ("Contributions to XML Standardization and Early Implementations"に対して) , 2006年5月
  3. 情報処理学会喜安記念業績賞 (Webサービス技術の基盤確立と標準化、並びに普及への貢献に対して), 2008年5月
E2  パネルディスカッション

機械学習システムにおけるソフトウェア品質保証の課題

【パネリスト】
 丸山 宏 氏
 株式会社Preferred Networks PFNフェロー
 小川 秀人 氏
 株式会社日立製作所 研究開発グループ システムイノベーションセンタ 主管研究員
 兼 ソフトウェアモダナイゼーションラボ長
 藪 記行 氏
 富士通株式会社
 共通ソフトウェア開発技術本部 ソフトウェア検証統括部 第二ソフトウェア品質検証部
【モデレータ】
 野中 誠 氏 東洋大学 経営学部経営学科 教授

概要

ここ数年、機械学習の技術を取り入れたシステムやサービスが急速に増えています。中でも統計的機械学習は、「AならばB」といったモデルを示さなくても、入力データから出力を得る仕組みを実現することができるため、モデルがブラックボックスになります。このことは、「正しいモデルに基づいたシステムである」ことを評価する品質保証活動を難しくし、これまでの品質保証の考え方、技術、スキル、方法論、組織体制などを見直す必要が生じます。
このパネルディスカッションでは、機械学習を取り入れたシステムの品質保証やその支援に携わっている実務者の方々と、企画セッション講演の丸山宏様をお迎えして、次のようなことについて議論します:機械学習はこれまでのソフトウェア品質保証をどのように変えたのか、どのような難しさをもたらしたのか、その難しさにどのように対処しているのか、今後必要な取り組みは何か、など。
会場の皆様のご意見やご質問も取り入れながら、AI時代におけるソフトウェア品質保証のあり方を大いに議論したいと考えております。
■ 小川 秀人 氏

経歴

小川 秀人 氏 1996年 株式会社日立製作所入社。一貫して、ソフトウェア工学に関する研究と、日立グループ内の多種多様なソフトウェア開発への技術適用およびプロセス改善に従事。主に、ソフトウェアテスティング、形式手法などの検証技術を中心に、モデルベース開発、ソフトウェアプロダクトライン、開発プロセスなどの研究を推進。

研究論文、著書

[1] H. Ogawa, M. Ichii, T. Myojin, M. Chikahisa, and Y. Nakagawa, “A Model-checking Approach for Fault Analysis based on Configurable Model Extraction,” IEICE Trans. Inf. Syst., vol. E98D, no. 6, 2015, pp. 1150–1160.
[2] Y. Nishi, S. Masuda, H. Ogawa and K. Uetsuki, "A Test Architecture for Machine Learning Product," IEEE Int. Conf. on Software Testing, Verification and Validation Workshops (ICSTW), Vasteras, 2018, pp. 273-278. (共著)
[3] T. S. Hoang, N. Sato, T. Myojin, M. Butler, Y. Nakagawa and H.Ogawa, “Policing Functions for Machine Learning Systems,” Workshop on Verification and Validation of Autonomous Systems: Satellite Workshop of Floc 2018, Oxford. (共著)

その他

博士(情報科学)
AIプロダクト品質保証コンソーシアム 運営委員
所属学会:電子情報通信学会、情報処理学会、ソフトウェア科学会
JaSSTベストスピーカー賞(2007)、JaSST善吾賞(2012)、FOSE貢献賞(2013)
■ 藪 記行 氏

経歴

藪 記行 氏 基幹系ミドルウェアの開発を10年ほど経験。その後、品質検証部に異動し9年従事。
現在はアジャイル開発の現場にて品質保証業務に取り組んでいる。
■ 野中 誠 氏

経歴

野中 誠 氏 日本科学技術連盟 SQiP運営委員会 委員長
ソフトウェア品質マネジメント、とくにメトリクスに関する研究に従事。

研究論文、著書

共訳「演習で学ぶ ソフトウェアメトリクスの基礎」(日経BP、2009)
共著:「ソフトウェア品質知識体系ガイド(第2版)-SQuBOK Guide V2-」(オーム社、2014)
「データ指向のソフトウェア品質マネジメント」 (日科技連出版社、共著、2012)2013年度日経品質管理文献賞 受賞

その他

2017年SEC journal論文賞 所長賞(2017)
日経品質管理文献賞受賞(データ指向のソフトウェア品質マネジメント)(2013)
情報処理学会 平成21年度山下記念研究賞(2010)
E3  パネルディスカッション

デジタルトランスフォーメーション(DX)にむけ
組織とマインドはどうあるべきか?

【パネリスト】
 成迫 剛志 氏 株式会社デンソー MaaS開発部 部長 兼 デジタルイノベーション室 室長
 平鍋 健児 氏 株式会社永和システムマネジメント 代表取締役
 藤井 彰人 氏 KDDI株式会社 理事 ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部長
 横塚 裕志 氏 デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC) 代表

【モデレータ】
 森崎 修司 氏 名古屋大学 大学院情報科学研究科 准教授

概要

ビジネスにおいてソフトウェアが果たす役割が大きくなっています。既存業務や作業を情報技術(IT)で置き換えて効率化を目指す動きが一巡し、ITが新たな価値を生み出したり、ビジネスがIT中心に変わっていったりすることが求められています。最近では、こうした動きをデジタルトランスフォーメーション(DX)と呼び、その動きが活発になってきています。ここでのデジタルはアナログと対になる概念ではなくフィジカル(現実世界)と対になる概念です。本パネルディスカッションでは、DXの推進に関わる方々をパネリストとして迎え、DXをどう捉えているかを質問します。また、どのような価値が見込まれるか、推進のための組織論とマインドについて技術とビジネスの両面から議論します。
■ 成迫 剛志 氏

経歴

成迫 剛志 氏 明治大学経営学部を卒業後、日本IBM、伊藤忠商事、香港のIT事業会社社長、SAPジャパン、中国方正集団、ビットアイル・エクイニクスなどを経て、2016年8月デンソーに入社。コネクティッドカー時代のIoT推進を担当し、2017年4月にはデジタルイノベーション室を新設、同室長に就任。2018年4月からMaaS開発部 部長。
■ 平鍋 健児 氏

経歴

平鍋 健児 氏 株式会社永和システムマネジメント代表取締役社長、株式会社チェンジビジョンCTO。
1989年、大学卒業後、NKK日本鋼管(現JFE)に就職、エクサにて3次元CAD, Design Spinnaker開発に携わる。
1995年、福井にUターンを決意、永和システムマネジメントに入社、田舎での受託開発を続けながら、オブジェクト指向設計、アジャイル開発を推進し、UMLエディタastah*(旧JUDE)を開発。
2006年、astah*を世界マーケットに展開すべく、株式会社チェンジビジョン設立。
2015年、株式会社永和システムマネジメント社長就任、現在に至る。現在、国内、国外で、モチベーション中心チームづくり、アジャイル開発の普及に努める一方、astah* を世界で一番愛されるツールに成長させている。ソフトウェアづくりの現場をより生産的に、協調的に、創造的に、そしてなにより、楽しく変えたいと考えている。
初代アジャイルジャパン実行委員長、要求開発アライアンス理事。
著書『アジャイル開発とスクラム〜顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント』、『ソフトウェア開発に役立つマインドマップ』、共著『要求開発』、翻訳『XPエクストリームプログラミング導入編』、『リーン開発の本質』、『アジャイルプロジェクトマネジメント』、監訳『アート・オブ・アジャイルデベロップメント』など多数。
■ 藤井 彰人 氏

経歴

藤井 彰人 氏 大学卒業後、富士通,Sun Microsystems,Googleを経て、2018年3月より現職。Sun Microsystemsでは、Solaris/Java関連ソフトウェアを担当、プロダクトマーケティング本部長や新規ビジネス開発を担当。Googleでは、企業向け製品サービスのプロダクトマーケティングを統括。過去にMashup Award 1-4を主宰し各種開発者向けイベントの支援。2009年より情報処理推進機構(IPA)の未踏IT人材発掘・育成事業のプロジェクトマネージャーも勤め、若者の新たなチャレンジを支援している。
■ 横塚 裕志 氏

経歴

横塚 裕志 氏 元東京海上日動CIO。デザイン思考をベースに大企業の垣根を超えた、 オープンイノベーションを推進。
■ 森崎 修司 氏

経歴

森崎 修司 氏 2001年より情報通信企業にてソフトウェア技術者としてソフトウェア開発、開発管理に従事、2005年より文部科学省リーディングプロジェクトe-Society 基盤ソフトウェアの総合開発/奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科研究員、静岡大学 情報学部助教などを経て、2013年より現職。実証的ソフトウェア工学を中心に、ソフトウェアの高品質化、ソフトウェア開発の高効率化の研究に従事。

一般発表

A3-1  経験発表

開発現場のプロセス改善~自工程完結によるアプローチ~

芳沢 圭一 氏 株式会社オージス総研

概要

当社において、ソフトウェア品質に関する分析を行ったところ、そこで見つかった問題の多くは、その背後にある「慢性的な高負荷状態」や「スキル・ノウハウの伝承不足」といった根本原因によるものであることが分かった。そして、それを引き起こしている最も大きな要因として「特定の作業が特定の人にしか出来ない」といった過度な属人化があり、この状態を解消することなくして継続的な品質向上活動を行うことは困難であるとの結論に至った。

品質向上活動では、ベストプラクティスを手順化するといった標準化の方法が一般的である。しかし、属人化してしまう知識やノウハウは、ユーザ業務やアプリケーションが異なれば、まったく別のものとなる。そのため、この属人化の問題は、標準化アプローチによって解消できるものではなかった。では、どのように取り組めばよいのか。さんざん悩んだ末、トヨタ自動車の「自工程完結」に問題解決のヒントを見出すこととなった。

このようにして、当社では昨年度から「自工程完結」の考え方をソフトウェア開発に応用した「開発現場のプロセス改善」を、属人化解消の切り口で開始することとなった。本発表では、その活動の概要と進め方、またそのために工夫した点について、事例を交えながら紹介する。
A3-2  経験論文

振り返りを力強く推進する「FOPA 振り返りプロセス Ver.2」の提案
- 効率的で納得感の高い振り返り分析と、TRY実行支援活動の具体化 -

田中 桂三 氏 オムロン株式会社

概要

開発プロジェクトの終了時に「振り返り」を行い、次の開発プロジェクトへの教訓として「KPT(KEEP:良い点、PROBLEM:問題点、TRY:改善点)」を挙げている。
しかし、次の開発プロジェクトでKPTが十分実践されていないという問題がある。
本問題に対し、以下2つの原因があると考えた。
  • 振り返りが不十分で、KPTの内容に納得感がない。
  • 次の開発プロジェクトでの実践を、プロジェクト内メンバに任せている。

そこで、我々は「FOPA(*)振り返りプロセス」を作成し、「十分な振り返り実現による納得性向上」と「KPTの実践支援方法確立」を実現することで、これらの原因を対処した。

さらに、開発現場での実践を通じて「より手軽に振り返りを行い、かつKPTの実践支援を強化したい。」という意見を受け、「FOPA振り返りプロセス Ver.2」として改善し、プロセスの軽量化と支 援体制の強化を行った。

本発表では、「FOPA振り返りプロセス Ver.2」における、狙い、プロセス体系と内容、開発現場での効果検証結果、および今後のさらなる活用に向けた展望について述べる。


*FOPA: Full persuasive and Organized Process of retrospective with Aggressiveness の略
 (十分な納得性をもって 組織的な振り返りプロセスを 意思をもって積極的に行動する)
A4-1  経験発表

アジャイル開発における利用者価値が高いソフトウェアのリリーススピード向上に向けた取組み

酒井 響平 氏 富士通株式会社

概要

ソフトウェアを短サイクルでリリースしフィードバックを受け改良を加えていくアジャイル開発プロセスを適用した開発では、スプリントで作り込んだ機能の利用者視点での評価は次のスプリントの期間に並行して行われ、そこで不具合が検出された場合にはさらに後続のスプリントで修正が行われている。このことにより、利用者にとって価値が高いソフトウェアのリリーススピードが期待したほど上がらないという問題があった。今回、ソフトウェアの利用時品質を定量的に表現した指標であるUXメトリクスという考え方を導入し、開発スプリントの開始時にUX評価シナリオを作成するとともに、シナリオに対してUXメトリクスの目標値を設定し、開発スプリント内で作り込んだ機能のUXを同一スプリント内で評価・フィードバックする技法を考案した。

本報告では、UXメトリクスを用いた開発スプリント内でのUXの作り込みの概要と、それを実際のソフトウェア開発プロジェクトの現場で適用した際の成果と知見を報告する。
A4-2  経験発表

アジャイルプラクティスを導入した開発における品質メトリクスの提案

松田 元輝 氏 株式会社日立製作所

概要

我々の部門では昨年度より、開発プロジェクトの一部に、アジャイルプラクティスの導入を推進している。しかし、いくつかのプロジェクトは品質が安定せず、市場不具合が発生していた。そこで、市場不具合を起こしているプロジェクトの傾向を分析すると、バグの摘出がリリース直前に偏っていることが分かった。本発表では、従来ウォーターフォール開発で使われていた「欠陥摘出前倒し率」を、アジャイル開発のようなイテレーティブな開発にも適用可能に改良し、その有用性を検証したため、その取り組みを紹介する。
本取り組みの成果は以下の2点である。

  1. 「前倒し率」と市場不具合には有意な相関があり、メトリクスの有用性が確認できた。ただし、事例数が少なく、リリース後の経過時間も短いため、継続的な検証が必要である。
  2. 「前倒し率」は、欠陥をバグトラッキングシステムで管理していれば計算可能であり、メトリクス収集のための追加工数がほとんど必要ない。
A5-1  経験発表

UIテストの所要時間を10分の1に短縮する取り組み
~ラズベリーパイのクラスターで並列実行~

折田 武己 氏 レバテック株式会社

概要

Selenium等のミドルウェアが整備されたこともあり、WebアプリケーションのUIテストを自動化する事例も増えてきた。しかし、自動テストの開発資産が拡充されるのに比例し、その実行に要する 時間は増大する一方である。
主要なWebブラウザーはヘッドレスモードを搭載しているが、膨大なテストケースの前では「焼け石に水」。UIテストの所要時間を大幅に短縮するには、複数のPCにテストケースを分散するのが最 も効果的である。

そこで注目されるのがラズベリーパイである。インテルのプロセッサを搭載したPCに比べると、スペック的にはだいぶ見劣りするものの、テストクライアントとしての性能は十分である。足りていないのは、(CPUパワーではなく)クライアントの数だからである。
ラズベリーパイは、Ubuntuなどのディストリビューションが利用できるLinux PCである。Linuxのソフトウェア資産をそのまま継承できるため、Dockerコンテナを稼働させることも可能である。ラ ズベリーパイを8台、16台、32台とクラスタリングすることで、数世代前のスパコンに匹敵する計算能力を手にすることができる。

ラズベリーパイのクラスターでUIテストを並列実行するには、自動テストの開発資産についても根本的な見直しが必要になる。本発表では、クラスター構築のノウハウやUIテストを並列実行するための実践的なテクニックを紹介する。
A5-2  経験論文

ソフトウェアコードレビューのAI技術を応用した自動化の試み

西田 啓一 氏 テクマトリックス株式会社

概要

レビューの必要性と重要性については、既に、多くの論文や報告で指摘されている。しかし、納期との兼ね合い、人的リソースの逼迫などが障害となり、必ずしも実施されていない。本論文では、多岐にわたるレビュー項目の内でソフトウェア構造の問題点の発見を、AIを応用することで自動化が可能かどうかを試みた。具体的には、ソフトウェアの構造上の問題でバグが発生しそうなコードを機械学習により特定、そのコードに対する修正方法のヒントを、Fuzzy推論で開発に提示するシステムを構築した。このシステムの有効性等について報告する。
B3-1  経験論文

メンテナンスフェーズにおける欠陥周期性分析手法の提案

澁谷 将行 氏 株式会社トーセーシステムズ

概要

ソフトウェアのメンテナンスフェーズを対象とした欠陥の分析や予測は、新規開発と並んで重要である。また、現状のメンテナンスフェーズにおける品質関連の研究の多くは、残存欠陥の「数」に着目したものである。

我々は、残存欠陥の検知数には何らかの周期的な変動があり、その変動要因を知ることができればソフトウェア欠陥の発生傾向の分析や予測につなげることが出来るのではないかと考えた。しかし、それを裏付けるような研究は行われていなかった。

そこで我々は、実際のプロジェクトにおける欠陥検知数の特徴的な変動から周期を検出し、それに基づく要因分析を行うことによって、ソフトウェア欠陥の発生傾向の分析や予測を可能にする手法である「CDAM(Cyclic Defect Analysis Method)」を考えた。

本発表では、CDAMの詳細について実例を交えながら報告する。その上で、欠陥検知の周期性と変動要因を認知することで可能になる、ソフトウェアの品質向上のためのアプローチを提案する。
B3-2  経験論文

ソフトウェア開発プロジェクトにおける工数の構成分析
- 適切な管理工数とは -

齊藤 拓也 氏 日本電気株式会社

概要

ソフトウェア開発において、工数は関心が高い事項の一つである。工数と規模の関係においては、相関があることがわかっている。また、弊社では工数を開発工数、管理工数、顧客対応工数と工数の用途に応じて、分離して収集を行っている。これらの工数はすべて規模と相関があるのであろうか。

弊社の先行事例では、工数から管理工数、顧客対応工数を除いた開発工数と品質の関係を明らかにしている。これから、管理工数、顧客対応工数が、開発工数とは違った特徴を持つことが示唆される。しかしながら、管理工数や顧客対応工数に関しては、適切に分離できているデータが少なく、十分な分析ができていなかった。

本論文では、管理工数や顧客対応工数が適切に分離できているデータを拡充し、ソフトウェア開発プロジェクトにおける工数の構成について明らかにする。またソフトウェア開発プロジェクトにおいて、開発工数はもとより、管理工数も必要不可欠な工数である。そこで、工数の構成分析を通じて、管理工数はどの程度が適切なのかの考察を行う。
B4-1  経験発表

「利用時の品質」観点に基づくドキュメントレビューのための教育カリキュラムの提案

伊藤 浩子 氏 キヤノンITソリューションズ株式会社

概要

ものづくりの観点である「製品品質」は、開発者にとっては当たり前の観点となっているため、SQuaREの品質モデルを知らなくてもレビュー時に使われていることが多い。
しかし、「製品品質」だけでは顧客の要求など顧客視点をカバーできず、ドキュメントレビューにおいて見落としが生じてしまう。
そこで、品質モデルの一つである「利用時の品質」をドキュメントレビューの観点に取り入れることでレビュー時の顧客視点の不足による見落としが減ると考え、「利用時の品質」観点に基づくドキュメントレビューのための教育カリキュラムを作成した。
カリキュラムは、「利用時の品質」を考慮し「利用時の品質」「製品品質」の関係性を理解してもらい、さらに、レビューの演習を実施し現場で活用できるレベルまで落とし込める内容とした。
我々の狙いは、「利用時の品質」「製品品質」をそれぞれ別の観点にするのではなく、「利用時の品質」の品質特性と関連の強い「製品品質」の品質特性を絞り込んで、顧客の利用目的に即したレビューを行うことである。
教育カリキュラムと演習用教材作成に取り組んだ内容を報告する。
B4-2  経験発表

テスティングロールに基づく人財マネジメントの取り組み

小林 元樹 氏 株式会社ディー・エヌ・エー

概要

弊社では、大小さまざまな種類のサービスが急激な拡大や変化を繰り返しており、またその運用フェーズでは恒常的なエンハンスが発生し、それに対しての品質保証(QA)業務が発生している。そのようなサービスの急激な拡大・変化に伴い、QA業務を担う我々の部門の人員も急速に増加している。
そして、それら人員の多くは、テストベンダから派遣されたメンバで構成されており、またプロパーのメンバはそのようなQAメンバのマネジメントが業務の一定の割合を占めている。そのようなテストベンダからの急速な人員増加に伴い、技術・マネジメント領域を問わず様々な問題が発生するようになった。

本取り組みではマネジメント領域に焦点を当て、QA業務とQAメンバのスキルがマッチしない問題やQAメンバのモチベーションに関する問題を取り上げ、その解決のためにまずQAメンバのスキルレベルをテスティングロールとして定義した。この定義において、テスト業務を遂行する上で必要な業務要素をテスト技術・マネジメント技術の両面から洗出し、4つの技術領域の枠組みを定め、その枠組で業務要素を整理した。次に、テスティングロールに基づきQAメンバのアサイン・QAメンバのモチベーションという観点で活用法を検討し、実際に2年以上の運用を行った。

本発表では、以上の取り組みに加えて、2年以上の運用を経たテスティングロールの有効性を評価するために実施したアンケートの結果についても報告する。

招待講演

D1-1  ★ 2017年度SQiP Best Report Effective Award

探索的テストの更なる活用に向けた検討について

熊川 一平 氏
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 技術革新統括本部 システム技術本部 生産技術部 プロジェクトマネジメント・ソリューションセンタ 課長代理 

概要

昨年のシンポジウムでは、Session-Based Test Managementを活用することで、受託開発でも探索的テストが活用できることをご報告させていただきました。
本年度は、上記の振り返りに加え、システム開発のライフサイクルの中で、探索的テストをどう位置づけるのか、どんな目的で活用すべきなのか検討している内容について、状況をご報告させていただきます。

経歴

熊川 一平 氏 大規模金融機関向けシステムにて数年間システム開発を経験。その後、現組織にてテストプロセス改善やテスト自動化の研究開発に従事。社外講演、記事執筆なども行う。近年は探索的テストなどのテスト手法を中心として活動を行う。

研究論文や著書

その他

  • JaSST'14 Tokyo(ソフトウエアテストシンポジウム2014東京) ベストスピーカー賞
  • SQiP2017 Best Report Effective Award 受賞
D1-2  ★ 2017年度SQiP Best Report Future Award

要因組み合わせによる大量のテスト項目実施における障害の早期検出および工数削減の取り組み

百足 勇人 氏 富士通株式会社

概要

ソフトウェアテストにおいて、要因を分析し組合せて項目を作成するが、要因表が巨大になると項目数も膨大になり、実施可能な項目数に限界があった。そこで我々は、要因をランダムに組合せ、大量のテスト項目を自動生成する手法により多くの障害を検出した。
しかし、この手法には活用の実績から下記の問題がある。

  • 問題1:品質リスクに応じた順番でテストできず、早期の品質確保ができない
  • 問題2:NGも大量に検出されるが、同一原因か否かの確認は人手で、工数がかかる

これらの問題を解決するため、テスト要因に着目してテスト実行順の優先度付けやNG原因の分類を実施する手法を提案し、適用した効果について報告する。
今回の講演では、昨年の報告における残課題の解決など、更なる改善についても紹介する。

経歴

百足 勇人 氏 2015年富士通株式会社入社。スーパーコンピュータなどHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)関連製品のソフトウェア検証に従事。

研究論文や著書

百足勇人,「要因組み合わせによる大量のテスト項目実施における障害の早期検出および工数削減の取り組み」, 先進的な設計・検証技術の適用事例報告書 2017年度版, 独立行政法人情報処理推進機構, 2018

その他

  • 国立情報学研究所トップエスイープロジェクト2017年度プロフェッショナルスタディ最優秀賞受賞。(テーマ:コンパイラのランダムテストにおけるエラープログラム原因特定補助ツール:PRUTEの開発)
  • SQiP2017 Best Report Future Award受賞
D2-1  ★ 2017年度SQiP Best Presentation Award

レビュー会議の可視化により目的の曖昧さを明確にする手法の提案とその後

西澤 賢一 氏 GEヘルスケア・ジャパン株式会社 技術本部CT技術部

概要

レビュー会議において、会議が時間通りに終わらない、軽微欠陥の検出に終始するなど、効率よくレビューが行われていないと感じていませんか。ソフトウェア品質シンポジウム2017では、レビュー会議の目的が曖昧になっており、レビュー会議の実態を参加者が正確に把握していないことをあげ、レビュー会議改善の手法としてTMBRI(Time Measure Based Review Improvement)法を提案し、実際のレビュー会議で試行したところ、レビュー会議の目的が曖昧になっていることを参加者が認識することができ、レビュー会議の改善策を導出できる結果を報告しました。今回の発表では、昨年の発表を含め、その後を紹介します。

経歴

1999年GE横河メディカルシステム株式会社(現在: GEヘルスケア・ジャパン株式会社)に入社。技術本部CT技術部にてCT Scannerのソフトウェア開発に従事。

研究論文や著書

その他

SQiP2017 Best Presentation Award受賞
D2-2  ★ 2017年度SQiP Best Paper Future Award

ヒューマンエラーによる失敗・事故の分析手法の提案

海老澤 竜 氏 株式会社日立製作所 研究開発グループ 研究員

概要

システム構築や稼動維持等のSE作業でヒューマンエラーに起因する事故が発生している。従来の事故分析でみられる問題を解決するために、本報告では医療分野の分析手法を基に開発したSE事故分析手法を提案する。本手法には、分析工数低減のための原因絞込み手順追加と、再発防止策の発想支援の枠組み追加という工夫を加えている。
実際のSE事故に対して提案手法を適用し評価したところ、分析品質やモチベーションの向上などのメリットが確認できた。また社内のある事業部においての月次報告に採用されたり、本手法適用後の問題事象を0件に押さえる部署があったりと、成果が出てきている。

経歴

海老澤 竜 氏 2005年 株式会社日立製作所入社。セキュリティシステムの研究開発に携わる。2010年より作業品質改善、事故防止に関する研究開発に従事。

研究論文や著書

  • 海老澤竜 他: ヒューマンエラーによる失敗・事故の分析手法の提案, ソフトウェア品質シンポジウム2017(経験論文), 2017
  • Ryu Ebisawa et al.: Development and Application of a Planning Method for Preventive Measures against System Engineering Incidents, ProMAC2014, 2014

その他

SQiP2017 Best Paper Future Award受賞
情報処理学会会員
プロジェクトマネジメント学会会員