チュートリアル

建物のレジリエンス性能とBCPレベルの指標

建物の耐震安全性だけでなく、企業の事業継続計画(BCP)や建物の機能維持・回復(レジリエンス)性能に対する社会の認識や関心が高まりつつある。こうした社会ニーズに応えるべく、本チュートリアルセッションでは、事業継続計画策定のための地震災害等に対する建物維持・回復性能評価指標の提案に向けた、日本建築学会「建物のレジリエンスとBCPレベル指標検討特別調査委員会」(2017年4月~2020年3月)及び「レジリエント建築タスクフォース」(2019年10月~)の活動成果を紹介するものである。
登壇1

レジリエンスの概念の既存の評価指標

増田 幸宏 氏
芝浦工業大学 システム理工学部 教授
社会が切実に求める災害に負けないレジリエントな組織・地域・都市とは、被災から立ち直ることのできる回復力を備えた組織・建築・都市である。本報告では、レジリエンスという言葉の概念、様々な使われ方や評価の枠組みの紹介を行った上で、組織の事業継続計画(BCP)の中で重要リソースである建物のレジリエンス性能が明示・共有されることが不可欠であり、日本建築学会特別調査委員会で提案を行っている性能評価指標が今後重要な役割を果たすことについて説明を行う。
登壇2

レジリエンス指標とBCPレベル指標の策定

牧 紀男 氏
京都大学防災研究所 教授
日本建築学会建物のレジリエンスとBCPレベル指標検討委員会において検討を行った、時間ファクターを考慮した建物リジリエンス性能の定義、ならびに構造体や設備の耐震性能といったハードな抵抗力と、モニタリング・BCP訓練といったソフト要素の性能をもとに簡易に建物のレジリエンス性能を評価するBCPレベル指標の考え方について説明する。
登壇3

建物レジリエンス指標の付与例

西本 篤史 氏
株式会社日建設計
エンジニアリング部門構造設計グループ構造設計部
「建物のレジリエンスとBCP レベル指標検討特別調査委員会」では、これからの建築物に求められるであろう発災前のみならず発災後の性能をも併せて評価可能な、建物レジリエンス性能指標について検討を行ってきた。本講演では、これまで提案されてきた指標との本質的な違い、および提案性能指標の特性について、モデル建物(中層~高層オフィス)に対し付与検討を試みた事例を通して、その特徴を分析・紹介する。また、今後の展開として、様々なビルディングタイプと外乱に対しても適用可能な指標のまとめ方の方針についても紹介する。
登壇4

BCP活動の普及に向けて

堀江 啓 氏
MS&ADインターリスク総研株式会社
 総合企画部 リスク計量評価グループ フェロー
BCP活動とは災害や事故等の発生時に、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために平時および緊急時に行うべき活動を指している。本報では、企業・組織におけるBCP活動の基盤となる建物に着目し、建物のレジリエンス性能の全体のレベルを表したBCPレベル指標を普及させるための方策に関する検討結果を報告する。具体的には、BCP活動の普及や建物の耐震性向上へのインセンティブとして期待される既存制度事例、およびBCPレベル指標に対する利用者の理解を促すことを目的に作成したパンフレットなどを紹介する。