特別企画セッション

特別企画セッション1

2050年に向けた社会インフラの長寿命化

~物理的な側面より~

 欧米諸国においては都市の下に昔の都市が埋まっており、さらに第二次大戦後に建てられた最上層の建物・設備の老朽化が目立ち、建て替えの時期に来ている。日本も同様に高度経済成長期の建物および橋梁さらには下水道においても、同じく老朽化が迫っている。また火山・地震さらには酸性地質によりインフラに対するストレスがより大きいため、耐用寿命が短くなると言われている。
 上記より、これから50年の社会を考えたとき、インフラおよびそれに関連する設備の長寿命化ならびに保全の革新が世界的に必要となってきている。また、建物・インフラの構成材料として,コンクリートや木材といった材料に加えて高分子材料が積極的に使われるようになり、且つ近年では多くの電子デバイス・機器が実装され建物・インフラという側面より、様々な材料で構成された巨大なシステムに変貌している。このような材料の変革や、電子システム化への動きは自動車でも顕著であることは言うまでもない。
 そこで今回の特別企画セッションでは、これまでご参画いただくことが非常に少なかった建築分野と高分子分野から登壇者を招き、「構造物・建築物の信頼性」「高分子材料の信頼性」といった技術軸を取り上げ、以下の観点から議論を深めたい。
  • 夫々の分野における現在の技術課題
  • その技術課題を解決するため、自分野の戦略や他分野に期待すること
  • 現在考えている寿命限界および保守で延命化できる戦略
解説

50年に亘るエレクトロニクスの信頼性の取り組みと
それを支え続ける信頼性技術

コーディネーター
門田 靖 氏
株式会社リコー 先端技術研究所 HDT研究センター 設計基盤開発室 シニアエキスパート
信頼性・保全性・安全性シンポジウムおよび同シンポジウムを主催してきた日本科学技術連盟ならびに協賛の日本信頼性学会で議論されてきた内容を通じて、信頼性の歴史と今後の展望を解説する。1957年にAGREEレポートが発表された後の70年余りは、特にエレクトロニクスの爆発的進歩の時代であり、それを実現するために様々な信頼性技術が駆使されてきた。その流れについて信頼性技術、電子デバイス・機器の信頼性物理や故障解析技術を中心に解説する。
登壇1

「レジリエント建築」で実現する持続可能な都市と社会

小檜山 雅之 氏
慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 教授

ききどころ


小檜山 雅之 氏 日本は地震の活動期に入り、地球温暖化の影響で台風、豪雨の激しさが増すとも言われている。構造物の長寿命化のためには、災害に負けない「レジリエンス」(防災力)が不可欠である。本講演では、まず復旧曲線に基づくレジリエンスの概念を説明する。そして、日本建築学会が普及に取り組む「レジリエント建築」について紹介する。これまで構造物は、被害を抑止する「抵抗力」に主眼が置かれていた。レジリエント建築は、構造ヘルスモニタリングシステムなどにより被災直後に素早く状況を把握し、被害が拡大しないよう的確に資源を配分し、迅速に修復を行って機能を回復する「復旧力」を兼ね備えている。
登壇2

次世代自動車に向けた革新的ポリマー材料の開発

伊藤 耕三 氏
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授

ききどころ


伊藤 耕三 氏 2014年、内閣府 革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)がスタートし、「超薄膜化・強靭化『しなやかなタフポリマー』の実現」が採択された。本プログラムでは、次世代自動車の開発のために必要とされる、燃料電池やLiイオン電池のセパレータの超薄膜化、車体構造用樹脂の強靭化、タイヤの薄ゲージ化などを実現するために、日本を代表する化学企業とアカデミアの緊密な産学連携によって「しなやかなタフポリマー」を新たに開発し、その成果を集めてコンセプトカーを製作した。本講演では、ImPACTの成果をわかりやすく解説する。
特別企画セッション1

3者によるパネルディスカッション

コーディネーター
門田 靖 氏
株式会社リコー

モデレーター
宮本 秀範 氏
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
特別企画セッション2

将来社会に向けた自動化の設計の展望

 センシング技術が進み、人工知能技術の採用などにより多様な作業・操作の自動化が可能になってきた現代社会において、設計での高信頼性や安全性の確保は、ますます重要な課題となっている。常に想定外の事象が発生する可能性を考え、機器のみによる完璧な自動化を目指すだけではなく、人の能力を活用する仕組み、安心感を生み出す仕掛けなど、関わる人に価値向上をもたらす人-機械全体系としての高信頼性と 安全性を有するシステムの実現が望まれる。
 将来社会に向け、どのような自動化が望まれどのような設計が必要となるのか、そのための課題は何か、人と機械とが協調した将来社会に向けた自動化のあり方について、現在の最先端の技術を基に考えたい。
登壇1

高度技術を背景とする将来社会において求められる自動化設計とは

稲垣 敏之 氏
筑波大学 学長特別補佐

ききどころ


稲垣 敏之 氏  人にも機械にも能力の限界があることから、従来の人間‐機械系では、たがいの能力の補完に焦点を置いた協調が図られてきた。それに対し、機械が人を凌ぐ能力を備えるようになった現在、すべてを機械に任せることすら現実味を帯びるようになっている。そこでは、人間‐機械系における決定・実行の権限をどのように考えるかが、かつてないほど重い課題となる。
 本講演では、機械が人を凌ぐ能力を持つからといって決定・実行の権限を機械に与えてよいとは限らないこと、一方で、機械が常に人の指示・許可を仰がねばならないものでもないことを、航空機と自動車の自動化の事例を示しつつ、数理工学的、信頼性・安全工学的、心理学的、ヒューマンファクター的観点から明らかにする。
登壇2

未来のモビリティ社会に向けた自動運転技術開発

- すべての人に移動の自由を -

鯉渕 健 氏
トヨタ自動車株式会社 クルマ開発センター フェロー
Woven Planet Holdings, Inc. CTO
Woven Core, Inc. Chairman

ききどころ


鯉渕 健 氏 未来のモビリティ社会を支える技術として期待が高まる自動運転。
近年、実現に近づいていると同時に、グローバルな開発競争は更に激化している。
本講演ではトヨタの自動運転技術開発の取り組みを示し、技術の実用化に向けた課題や社会へのインパクトについて語る。

登壇3

自動運転社会における「SOMPO(損害保険会社)」、
新たな役割への挑戦

新海 正史 氏
損害保険ジャパン株式会社 リテール商品業務部 自動運転タスクフォース リーダー

ききどころ


新海 正史 氏  自動運転技術の向上は、交通に関する様々な社会課題の解決につながると期待されている。一方で自動運転車に関する意識調査では「事故が生じた際の責任所在があいまいになる」などの不安の声も大きく、人々に利用してもらうモビリティとして、より一層の社会受容性向上が必要である。
 また、自動運転社会の到来を見据え、「自動車保険はどうなっていくのか?」「保険会社はどうするのか?」といった疑問も多く寄せられている。SOMPOの企業理念として掲げる「安心・安全・健康のテーマパーク」を、モビリティ領域で実現するための取り組みを、最新動向を交えて紹介する。
特別企画セッション2

3者によるパネルディスカッション

コーディネーター
田中 健次 氏
電気通信大学大学院 情報理工学研究科 情報学専攻 教授

モデレーター
久保 秀之 氏
富士通クオリティ・ラボ株式会社