市場の熱ストレスを予測する手法についての発表です。自社製品に使用しているはんだ材に着目し、そのEBSD分析結果からベンチ試験における熱疲労ストレスの定式化を行いました。さらに、実車搭載品を回収し、熱疲労ストレスの予測式にあてはめることで市場とベンチ試験との相関性を検証し、評価指標を用いて市場における熱疲労ストレスの定量化を行いました。これにより、はんだ材の状態から市場の熱ストレスを予測する手法を示します。
研究報文・事例報告
Session1
信頼性予測
1-1
EBSD分析を用いたはんだ結晶粒からの市場熱ストレス予測
佐藤 航 氏
富士電機株式会社
1-2
SiC MOSFETのAC-BTI試験におけるVth変動ばらつきの調査
武井 康平 氏
沖エンジニアリング株式会社
SiC MOSFETには、スイッチングに伴うACストレスによりしきい値電圧(Vth)が変動する、従来のSiデバイスには見られない固有の劣化モード(AC-BTI)があります。AC-BTIに関する報告は多数ある一方で、AC-BTI試験におけるVth変動のばらつきに関する報告は少ない状況です。そこで本研究では、複数の市販SiC MOSFETを用いて、AC-BTI試験によるVth変動のばらつきおよび分布を調査しました。
Session2
信頼性試験・故障解析
2-1
市場流通品のリスクと信頼性評価への取り組み
徳永 大輝 氏
ユーロフィンFQL株式会社
サプライチェーン変動により常態化する市場流通品の使用は、偽造品や再利用品混入など新たな品質リスクを顕在化させています。本発表では、単なるリスク指摘に留まらず、実サンプルを用いた品質リスク検証および信頼性評価の具体事例を紹介し、市場流通品をやむなく使う状況下でも製品信頼性を確保するための実践的な評価指針と考え方を提示します。
2-2
HALT試験事例紹介(トルクセンサー不具合再現試験)
福田 貴之 氏
エスペック株式会社
HALT (Highly Accelerated Limit Test)は、厳しいストレスを与えて短時間で製品の潜在的な弱点を検出する定性的な加速試験であり、設計段階での脆弱性抽出や既存製品とのベンチマーク、不具合再現試験などに用いられる。今回は社外の方の協力を得て、電動アシスト自転車用ドライブユニットのトルクセンサー不具合の再現試験を実施したので、HALTの使用事例として報告を行う。
2-3
HHリテーナー溶着工法の最適条件の明確化
林 勝久 氏
トヨタ自動車株式会社
樹脂部品の回収率向上と循環型社会の実現に向け、解体性を改善すべくバンパー部品の組付け方式を両面テープから溶着方式へ変更した。しかし、量産開始後に溶着機先端のピン折れが多発してしまう。そこで、SQC手法を用いて、影響因子の絞り込みと最適条件の明確化を実施。さらに、サイクルタイムを考慮しつつ導出した条件をモデル化し、実機での再現性を確認することで有効性を立証した。
Session3
信頼性最適化
3-1
インクジェット装置に使用する圧力制御装置の改良
石田 雄二 氏
西日本工業大学
インクジェット装置は、インクを記録対象に向けて吐出描画する装置である。 微細なインクを安定的に吐出できれば,半導体デバイスなどへの応用に拡大される。インク圧力は、吐出描画に大きな影響を与える制御因子である。今までは、市販の圧力制御装置を使用していたが、制御精度が100 Pa程度で、かつ安定的に吐出描画できなった。そこで、マノメータの原理を利用した圧力制御装置を自作して、精度10 Paで安定的に吐出描画を制御できることを実現した。
3-2
旋盤加工の評価方法の検討
藤﨑 智大 氏
株式会社ワイ・デー・ケー九州
旋盤加工により加工工具が劣化しづらく、かつ加工物に付加される切削抵抗が増加しない条件を求める方法を検討した。基本機能は、切込み深さを入力、切削抵抗を出力と考えて、工具の摩耗を誤差因子と考えた。送り量、回転数等を制御因子として、直交配列表L18に割り付けて評価した。最適条件で旋盤加工すれば最悪条件よりも、チップの劣化の程度を約0.05倍(SN比の利得は13.1 db)にして、切削抵抗を約0.7倍(感度の利得は-2.9 db)にすることができることが分かった。
3-3
3DワイブルプロットとRFIDタグを用いた
モバイルバッテリーのフィールド稼働分析
横川 慎二 氏
電気通信大学
大学図書館のモバイルバッテリー貸出を対象に、貸出時間×SOC差分を3Dワイブルで同時可視化し、RFID温度ログで利用形態(スマホ/PC/安心保持等)を定量分離した点が核である。返却時SOC60%以上が約半数、スマホ充電必要量が使用したバッテリー容量の約30%という実データから、充電開始に関する単純閾値が寿命延伸と利便性を両立し得ることを示す。さらにSDGs表示と組み合わせ、係員負担を増やさない運用実装まで提案する。
Session4
品質保証の進化
4-1
これからのソフトウェア品質保証活動の提案
(アジャイルやAI駆動開発時代のソフトウェア品質保証活動とは?)
佐藤 孝司 氏
文教大学
ソフトウェアの品質保証組織の価値が失われつつある兆候の中、現代のアジャイル開発やAI駆動開発などに適合した品質保証組織の活動とは何であるかについて提言する。その提言の導出には、ソフトウェア開発周辺における多くの観点のパラダイムシフトを俯瞰して、現代に必要な品質とは何かを根本から問いただし、新たな品質保証のフレームワークを構築する。そして、新たな品質保証の活動の6つの原則と、それぞれの原則の適用事例を紹介する。
4-2
品質は判断の中でつくられる、リスクの“判断軸”を変えるTQM啓蒙の実践
酒井 兼義 氏
株式会社アイシン
お客様目線で、全員が全ての業務の品質にこだわる職場の方針をうけ社員が品質に対して自覚を持ち、品質不具合の未然防止を積極的に行える様に品質の3大要素の1つである、信頼性をターゲットに社員の信頼性に対しての意識向上(底上げ)に努めてきた。その内容について、報告する。
Session5
安全性の取り組み
5-1
歩行者の認知・判断モデルの高度化のための実験方法に関する一考察
遠藤 駿 氏
日本自動車研究所
自動運転開発に用いられるマルチエージェントシミュレーションの高度化にあたり歩行者の行動に関するモデル緻密にする必要がある。特に歩行者の判断モデルを作り上げるにあたり,知覚・認識・判断・行動を計測してモデル化するための方法案を提示する。
5-2
航空安全の進化する取り組み:
ボウタイ・モデルによる未然防止に重点に置いた『リスクの可視化』と
データ駆動型意思決定(セーフティ・インテリジェンス)への転換
久下 友也 氏
全日本空輸株式会社
- 「図解」によるリスク管理の可視化
文章では整理しにくい複雑な因果関係を、ボウタイ図を用いて視覚化するメリットを解説します。視覚化することで、検討の漏れを防ぎ、関係者間での的確な共通認識の形成が可能になります。 - 効果的なKPI/SPI設定の指針
「適切な指標が分からない」という課題に対し、バリア(リスク低減策)の有効性に基づいた具体的かつプロアクティブな指標設定(Barrier Based SPI)の手法を提示します。 - 異業種への応用可能性
航空業界における「プロアクティブなアプローチ」の論理は、医療や化学プラントなど、高度な安全性が求められる他分野のリスク管理においても、十分に応用可能な知見です。
5-3
航空機被雷危険性予測技術の研究開発―
アルゴリズムおよび実用に向けた評価指標について
吉川 栄一 氏
大阪大学
航空機運航における気象安全性向上のための技術開発における、技術的特徴、性能評価方法について、共有したい。具体的には、航空機被雷危険性予測技術を例として、危険を検出するために、正例が負例に対して極めて少ない場合に対する対処方法や、運航現場での活用を促すために考案された評価指標など、技術を実用化するためにおこなわれたさまざまな工夫が、特にききどころといえる。
Session6
保全性の向上
6-1
予知保全システムによるプレス設備のドカ停未然防止への貢献
加藤 友浩 氏
コマツ産機株式会社
製造現場における機械の突発故障による長時間停止を防止するためには定期的に保守点検・部品交換をする「予防保全」が主流だが、機械の状態を監視・計測して劣化状態を把握する「予知保全」を開発した。予知保全用の専用センサを不要としたシステムで導入コストを抑えつつ、劣化の見逃しによる長時間停止のリスクや寿命が残っている部品の過剰な交換によるコストの低減に寄与する。
6-2
延長保証期間の設定を伴う時間計画保全方策
田村 信幸 氏
法政大学
基本保証期間が取り替え(故障時に新品へ交換)と修理が行われる期間に分割されるという2段階保証の下、延長保証期間とその後の使用期間(新品へ交換するまで使用する時間)の両方を最適化するための確率モデルを先行研究に基づいて構築し、数値実験を通して定量的な評価を行っている。これにより延長保証の設定というサービス提供の有用性に関連する知見を与える。
Session7
既製部品(COTS)の宇宙適用
7-1
宇宙機へのCOTSの適用と信頼性に関する考察
小川 文輔 氏
小川 文輔 技術士事務所
New Spaceの台頭により、宇宙環境利用が活性化してきた。このようなビジネス環境下では、今まで以上にCOST削減、生産リードタイム短縮が必須命題となっている。したがって、COTS部品の利用が必然的となってきているが、宇宙環境を意図していないCOTSの使用に当たり、信頼性上の着目点を考察する。
7-2
宇宙環境に適応したダイナミックトレラント設計
矢島 雄三 氏
三菱電機株式会社
衛星高性能化のためにCOTS部品の適用が進んでいる。民生部品を適用した場合においては、放射線起因の不具合が支配的となる。衛星の軌道上における不具合傾向を分析すると、3年以上の比較的長期運用の領域で不具合が増加している。部品の寿命は3年以上ある状態であるが、ベンチャー向け衛星を除く高信頼性実用衛星においても不具合が増加する傾向性がある。非宇宙用民生部品を適用し、衛星の高性能化を実現するための衛星システムレベルでの環境に適応した設計手法について報告する。