研究・事例発表

研究・事例発表 ①

劣化量の予測

1-1

Fe-C材の腐食電流密度の予測式の決定方法について

松崎 匠朗 氏
西日本工業大学
腐食は、橋などに用いられる鉄鋼材の劣化に繋がり、事故を起こす恐れがある。腐食速度の予測式を立てることができれば、事前に対策等をとることができるため、事故等を防ぐことができる。そこで、腐食密度の予測式の決定法について検討を行った。腐食速度の尺度である腐食電流密度を測定し、予測式を立てることができれば、今後、データサイエンスを活用することで、実際に実験しなくても腐食電流密度の予測ができるようになると考える。実験を行わないということは、時間や材料費の削減などに繋がり、QCDを満足することのできる材料作成につながっていくと考える。
1-2

利用調査データに基づくユーザーペルソナの抽出とバッテリー劣化量との相関分析

浅野 実 氏
電気通信大学
モバイル端末の普及により、多種多様な蓄電池が使用されており、これらの蓄電池を利用した自律分散型電力システムが提案されています。この電力システムは、従来の電力システムと比較して災害時に強い等の利点があり、今後の発展が期待されます。また、この電力システムには、接続端末の情報が不可欠であり、接続する端末の詳細な情報をセキュアに取得、管理する必要があります。そこで、本研究では、接続機器の受給電波形のみを用いて、間接的に情報を取得する手法を提案します。提案は、接続機器の製品を判別する手法と同一製品の特定の機体を判別する手法の提案を行います。提案には、複数の機械学習アルゴリズムを用い、それぞれの特性や性質を比較、検討を行い、実用的な判別アルゴリズムを提案します。
研究・事例発表 ②

信頼性試験の物理

2-1

Cuワイヤ-Alパッド接続の耐湿信頼性におけるボンディング位置影響

小林 達也 氏
ルネサスエレクトロニクス㈱
近年、パッケージに対するCuワイヤの適用範囲が拡大し、高信頼性が要求される車載分野でも適用が進んでいる。高信頼性の信頼性検証では従来確認されていなかった故障モードが発生するケースが見られ、設計上考慮すべき項目も増加している。本発表ではCuワイヤ適用品の車載信頼性要求に対する耐湿信頼性の故障事例として、ワイヤボンディング位置に依存するCu-Al接合部の腐食不良とパッケージ設計による対策内容、信頼性の改善効果を報告する。
2-2

熱衝撃試験/温度サイクル試験の比較検証

齋藤 結莉 氏
エスペック㈱
実装基板はんだ接合部等の信頼性評価に用いる熱衝撃試験、温度サイクル試験は温度変化率の違いによって温度急変試験(温度変化率:30℃/分~)と定速温度変化試験(温度変化率:1℃/分~15℃/分)があり、日本国内では外部環境の急激な温度変化を目的とした温度急変試験(30℃/分~)が主流であるが、欧州では、市場に近い状況を模擬した定速温度変化試験(5℃/分~20℃/分)が主流である。最近の動向として自動車部品を中心に日系企業も欧州との取引が多く、取引先からの定速温度変化試験の要求が増している。そこで本評価では、二つの試験方法の違いである温度変化率に着目し、寿命評価に与える影響と、その相関関係を検証した。
研究・事例発表 ③

材料の信頼性と評価方法

3-1

ケミカルアタック(ESC)の動画観察実験と考察

田辺 一彦 氏
エレクトロニクス実装学会
電子機器の小型、軽量化が進んでおり、筐体にはプラスチックが用いられている。プラスチックは熱だけでなく、水分、光、放射線、微生物などでも劣化する。特に特定の薬品類が付着すると応力(ひずみ)が生じている部分が割れるケミカルアタック(ソルベントクラック)という不具合が多く報告されている。このケミカルアタックは製造後かなりの時間が経過してから発生する「遅れ破壊」である。そこで、代表的なプラスチックであるPC/ABSが割れていく様子を動画撮影する実験を行い、動画とOM、X線透過装置、SEMなどの解析結果からケミカルアタックの発生メカニズムを明らかにし、未然防止策を提案する。
3-2

SEMやSIMによる電位コントラスト法を用いた絶縁劣化個所の故障解析

斎藤 彰 氏
㈱村田製作所
走査型電子顕微鏡(SEM)の二次電子はエネルギーが低く、表面電位によってコントラストが生じる。これを電位コントラストという。KFMでは材質の影響を受けずに電位を測定できるが、SEMの電位コントラストは、材質の影響を受ける点で注意を要する。一方、分解能は、KFMの50nm程度に対し、5nm程度と一桁優れるため、ショットキー障壁を観察することもできる。電位コントラスト法の原理と共に、故障解析に適用した事例を紹介する。
3-3

レーザ焼結によるAM造形物の絶縁破壊試験と断面観察事例

新井 宏章 氏
(地独)東京都立産業技術研究センター
Additive Manufacturing(3Dプリンタと同義、以下AMと記す)は、簡易的に設計・試作できることから様々な分野で活用されている。近年は、試作物としてだけでなく実用部品としての検討も進んでいる。その一つとして絶縁目的での用途も考えられており、AM造形物に対する電気性能評価の必要性が増している。そこで今回、実用性の高いAM造形方式であるレーザ焼結法による絶縁造形物について、絶縁性能の評価・検証を行った。その際の電気的絶縁試験方法、断面観察手法等を紹介し、AM造形物の製品応用に向けての安全性・信頼性について言及する。
研究・事例発表 ④

モノづくりのソリューション

4-1

富士フイルムビジネスイノベーションにおける
メカニズムベース開発の取り組み

伊藤 朋之 氏
富士フイルムビジネスイノベーション㈱
いずれの製造業においても、競争激化に伴って技術者が深い洞察の機会を得にくくなったり、技術伝承が不十分になると、技術の空洞化が始まり、信頼性・ロバスト性を保証するのが困難になる。富士フイルムビジネスイノベーションで推進されているメカニズムベース開発はそのような課題に対処するための科学的思考に基づく開発の進め方である。その主軸となっている、設計と品質の因果関係を漏れダブりなく可視化するメカニズム展開ロジックツリー(MDLT)、複数の品質間の相互作用や二次障害を俯瞰する4軸QFD、管理が難しいメカニズムに関わる非定型情報を蓄積・活用する技術ドキュメントアーカイバー(TDAS)を紹介する。
4-2

ダントツ商品からダントツソリューションへの挑戦

土井下 健治 氏
コマツ
コマツでは「品質と信頼性」の追求をコマツウェイという経営の基本方針とし、ダントツといわれる商品づくりに取り組んできた。この活動の重要性は変わることが無いが、近年のIoT技術の発達により「モノからコト」へのデジタルトランスフォーメーションの重要性が増してきており、コマツでもダントツソリューション、ダントツバリューという言葉でデジタルトランスフォーメーションの実現に向けて努力している。本発表では、KOMTRAXといったテレマティクス技術による業務改善の事例から、顧客のビジネスプロセスまで踏み込んだ改善提案に至るダントツソリューション実現の取り組みを紹介する。
研究・事例発表 ⑤

安全・安心とヒューマンファクターズ

5-1

地域交通自動化での事故0に資する自動車旅客輸送業の事故情報定量解析(第2報)

関田 隆一 氏
福山大学
自動車旅客輸送業にとって交通事故撲滅は経営課題でもある。しかしヒューマンファクターズが絡む交通事故は、最新技術でも対策が十分とは言えない。更に将来の地域交通自動化では、現状技術の延長に加え事故要因を網羅した発生防止策も必要となる。本研究は、将来の地域交通自動化まで視野に入れて、自動車旅客輸送企業で蓄積した紙文書の事故情報から潜在する事故要因を定量的に明らかにし、機能する安全マネジメント構築が目的である。本発表は、第48回信頼性・保全性シンポジウム発表に続く第2報として,事故報告書の対象を首都圏タクシー会社へ拡大し、多変量解析を行うことで運転操作,運転経験,疲労,交通環境等と事故の要因を抽出し、更に安全マネジメント構築の基礎を討議する。
5-2

サービスとして環境を提供することに伴うリスクのR-Map手法による可視化

柳川 直久 氏
アズビル㈱
サービスを提供する時に利用者や周囲にいる人に危害を加えることがある。提供するサービスが安全であるか判断するためにはリスクアセスメントを行わなければならない。さらに、提供するサービスを安全なものにするためには、危害が許容できる程度にそのリスクを減らさなければならない。ハードウエアでは、JIS B9700 などによって安全にする方法がある程度標準化されている。しかし、サービスを安全にすることを目的とした規格をJISに見つけることができない。そこで、安全なサービスを提供する時に必要となるリスクアセスメントについて、考慮する点と評価手法を提案する。
5-3

信頼・安心への哲学・倫理

―未然防止の観点から―

加藤 進弘 氏
電気通信大学
IoT・ロボット・自動運転車・AIをはじめとする第4次産業革命の時代におけるユーザーの信頼・安心は、未然防止活動による品質と信頼性の高い製品やシステムを提供することによってはじめて実現される。本研究では先行研究の「未然防止7つの視点」、「目的設定の7つの視点」をベースに、①信頼・安心のプラットフォームと、②行為選択問題のシーソーモデルを提案する。
① 信頼・安心のプラットフォームは、価値創造と未然防止の「信念」保持→「欲求」形成→「行為」が、文化や規範への共感・同調から生まれるものとして、7つの視点と共に位置づけられる。②シーソーモデルは、未然防止活動という欲求→行為段階における選択問題として、古代ギリシャ・中国から近世までの東西哲学倫理思想への共感・懐疑・寛容の中で捉えられる。
併せて、「信頼・安心のプラットフォーム」や「シーソーモデル」を、科学技術の進展の中でくすぶる不信や不安を縮小し、人間の特徴の再確認へ向けた鍵として位置付ける。
研究・事例発表 ⑥

保全モデルとデータの活用

6-1

パブリックスペースにおけるCO2濃度センシングを用いたリスク解析

川内 雄登 氏
電気通信大学
世界的なCOVID-19の感染拡大により求められる新たな行動様式は、不特定多数の人々が出入りする学校、公的施設、劇場などのパブリックスペースにおいては、その移行が難しい。一方で、パブリックスペースで得られる他者との交流機会は知的生産や教育などにおいて重要である。そのため、それらの場所における空気質を把握し、利用者の安心・安全を確保する環境の構築が必要となる。本研究では、パブリックスペースのうち、空間の状態変化や人の出入りの少ないクローズドスペースと、複雑な形状をもち不特定多数の人が常に出入りするオープンスペースについて、感染リスクの代替え特性としてのCO2濃度の変動のモニタリング結果によって空気質や換気の特性を比較分析し、その場のリスク特性について議論する。
6-2

修理系データへのワイブル回帰プロセスの提案と建築設備への応用

久保井 大輔 氏
東京電力ホールディングス㈱
修理系のモデルとして、ポアソン過程・非斉次ポアソン過程(NHPP)・再生過程などが知られているが、本研究ではNHPPを取り上げワイブル回帰プロセスモデルを提案する。本モデルの有効性を建築設備の定期保全データにより示す。
保全データはレベル1:異常なし、レベル2:劣化の進行により機能喪失の恐れあり、レベル3:機能喪失/近い将来その可能性大、と区分された定期点検データであり、モデルへの当て嵌まり良さにより、故障の発生予測と予防保全に有効であることを示す。
6-3

二種類の故障を考慮したセミマルコフ的劣化システムに対する状態と
年齢に基づいた最適保全方策

田村 信幸 氏
法政大学
劣化状態がセミマルコフ過程に従い、大小二種類の故障が発生するシステムを考える。小規模故障が発生した場合は小修理が行われ、この場合はシステムの劣化状態とその状態での経過時間(年齢)は変化しない。一方、セミマルコフ過程の吸収状態への推移を大規模故障と見なし、この際は事後取り替えが行われるため新品と同じ状態に回復する。このようなシステムについて、単位時間当たりの期待コスト率を最小とする最適な保全方策について考察する。保全方策の導出は各状態で予防取り替えを行う時期を決定することを意味する。特に最適保全方策の持つ構造的な性質を理論的及び数値的に明らかにしたため、その結果を報告する。
研究・事例発表 ⑦

品質工学を活用した信頼性評価

7-1

塗装工程条件の最適化による塗膜特性の安定化

竹下 雄一朗 氏
㈱アイシン
製品規格、工程管理も問題のなかったアウトサイドルハンドルについて市場で塗装がはがれてしまう問題が発生した。
そこで、市場環境を再現する試験の見直しをして、塗装条件の最適化が急務となった。
まず、市場を再現する試験を確立した上で、3つの要求品質(機能品質、外観品質、色調品質)を満足する為、塗装工程条件の洗い出しを行い、品質工学の標準SN比を用い応答曲面解析により最適化する事で塗装の耐久性を大幅に改善できたので、これを報告する。
7-2

3Dプリンターで作製する引張試験片の最適設計法

石田 雄二 氏
西日本工業大学
3Dプリンタは、設計の自由度が高く、かつ短時間低コストで部品を作製できる利点を有する。一方、作製した部品を使用して製品を設計する場合には, 部品の機械特性が必要である。しかし、現状3Dプリンタで作製した部品の機械特性についての情報は少ない。そこで、3Dプリンタで作製した部品の引張強度を調査する研究を立ち上げて、最初に、試験片を作製する条件を検討した。具体的には、3DCADで設計した通りの試験片を作製するための最適条件を決定する方法を説明する。作製方向の異なる(誤差因子)三つの引張試験片の形状が同一形状に作製できるための最適条件を、設計値(入力)と作製値(出力)との関係から求めた標準SN比で評価して決定した。最適条件の確認実験では、L18直交表実験の最大値と同程度のSN比η=44.59を得た。その結果、設計値通りの試験片を作製できるようになった。
7-3

品質保証のための信頼性試験の進め方

松岡 敏成 氏
三菱電機㈱
半導体デバイスでは、要素開発段階のTEGを使った信頼性試験結果から、その要素を集積した後の完成品の信頼性を推定して、信頼性設計の妥当性を検証している。いくつかの要素が複雑に混在している場合に、最善設計条件を決めるうえで、品質工学が適用する機能の安定性評価(ロバスト性評価)を適用することで、比較的短時間にロバスト性を相対比較することができる。最終的に品質保証するうえでは、加速モデルに従う加速寿命試験の適用が必要になる。この時に、市場品質に影響を与える市場故障率は小サンプルサイズの長期信頼性試験で検証することはできず、製造工程のスクリーニング工程における不良率の収束性を調べることが有効になる。