基調講演・特別講演

基調講演

用・保全部門からの情報に基づくサステナビリティの実現

田中 健次 氏
電気通信大学 産学官連携センター・特任教授
RMSシンポジウム組織委員会委員長

ききどころ


サステナビリティの実現には、信頼性設計と運用・保全活動との連携が極めて重要です。昨年は、設計者の立場から運用を考慮した高信頼性確保のための工夫などを紹介しました。本年は、運用活動側から、設計時には予測が難しい事象や適応的対応に関する運用時情報を設計部門にフィードバックすることで未然防止につなげる仕組み、それらを有効に利用するための仕掛けなどについて考えます。そこでは、システム視点からの取り組みや、関連する人の間でのコミュニケーション、運用担当者の心理的安全性の確保など、多様な観点から検討を進める必要があることも紹介いたします。

講演者紹介

田中 健次 氏

京都大学 理学部数学科 卒業
東京工業大学 大学院総合理工学研究科システム科学専攻 博士課程修了、理学博士

1995年 電気通信大学 大学院情報システム学研究科 助教授
1999年 University of Manchester(UK) (Prof.J.Reason) 在外研究員
2004年 電気通信大学 大学院情報システム学研究科 教授
2023年 電気通信大学 名誉教授/産学官連携センター 副センター長・特任教授

この間、米国ニューヨーク州立大学G. Klir 教授の下でシステム論を、英国マンチェスター大学
J. Reason教授の下で組織のリスクマネジメント論を研究。信頼性へのシステム論的アプローチや、行動心理を取り入れたリスクマネジメントなど、融合的な研究を推進し、プラント制御、医療安全、自動運転などの分野で人間-機械系の設計・運用に展開している。

研究論文や著書(代表的なもの)


  • 『入門信頼性-技術者がはじめて学ぶ-』(日科技連出版, 2008年)
  • 『システムの信頼性と安全性』(朝倉書店, 2014年)
  • Systemic Approach to Reliability and Safety Management Incorporating Uncertainty, Systems ResearchⅡ, pp.241-259(Springer, 2022)

その他


学会活動:

  • 日本品質管理学会(理事、監事)、医療の質・安全学会(理事)
  • IEEE (Reliability Society, Japan Chapter-Vice Chair 2003~2005)

表  彰:

  • 1993年 日本プラントメンテナンス協会PM優秀論文賞( 「創造活動による自律的適応保全の体系化」)
  • 2002年 日本設備管理学会論文賞( 「重複型システム分割による設備管理」)
  • 2012年 第41回「信頼性・保全性シンポジウム」特別賞(「安全保証と危険回避の使い分けに関する一考察」)
  • 2013年 日本信頼性学会2012年度優秀記事コラム賞(「新聞報道は事故をどう報じているか」)
  • 2015年 日経品質管理文献賞(「システムの信頼性と安全性」)
特別講演

クルマの多様性と品質について

山本 圭司 氏
トヨタ自動車株式会社
Senior Fellow

ききどころ


山本 圭司 氏 より早く、より遠くに、より快適に、そしてより環境にやさしく、より安全に。クルマに求められる性能は時代と共に変わり、近年のCASEの進展でクルマは工業製品から社会システムの一つに位置づけられるようになった。クルマの構造は大きく変化しそれを支えてきたのがエレクトロニクス、半導体、ソフトウェア、そして通信技術。一方では、カーボンニュートラルが喫緊の課題となる今日、マルチパスウェイの考え方によりクルマは益々多様化し、クルマに求められる品質の守備範囲も広がっている。本稿では、クルマの品質を「モノの品質」、「コトの品質」、「安心の品質」の3つに区分し、今後取り組むべきことを技術のトレンドと合わせて整理して行く。

講演者紹介

1987年トヨタ自動車株式会社に入社。一貫してカーエレクトロニクスの研究開発、商品開発に従事。
2016年常務理事就任後、2017年常務役員、2019年執行役員・コネクティッドカンパニー Presidentとして、G-BOOK、T-Connectを代表とするつながるサービス、マルチメディア車載機及びセンターの開発と事業運営やITSなどの交通社会システムの企画、渉外、開発を統括。
2023年より現職。Chief Information & Security Officerとして、情報・通信領域を統括。

その他


1993年7月 第22回信頼性・保全性シンポジウムにおいて推奨報文賞受賞