企業価値向上経営懇話会(旧:品質経営懇話会)

開催実績

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第22回会合

~三菱電機の「品質経営行動」のかたちを講演!
第二次報告書作成に向けた議論が本格化!~

1.第22回開催概要


第22回会合は、2025年12月18日(木)に経団連会館(東京都千代田区)とオンラインでの同時開催として実施した。

今回も、第109回品質管理シンポジウム(2020年12月)にて発出した「大磯令和宣言」、第116回品質管理シンポジウム(2023年12月)での「令和大磯宣言2023」(右図)を受け、その後の日科技連での取り組みや、現状の議論の内容に加え、品質経営(顧客価値創造+組織能力の獲得・向上)に取り組んでいる企業での実践事例を通じて、今後の日本企業が生き残っていくための検討を行った。

継続して本会で議論を進めている「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」について、三菱電機における事例発表と質疑が行われた。また、その後今年3月に発行予定の「第二次報告書」についての議論も実施された。

2.経団連会員からのオブザーブ参加

今年度も本会は経団連とのタイアップを進めていることもあり、経団連会員企業からのオブザーブ出席を募ったところ、以下の2社からの参加があり、自己紹介が行われた。
  • (1) BNPパリバ銀行 東京支店シニアアドバイザー 伊藤 邦明 氏
  • (2) 住友ベークライト㈱ 品質保証推進部長 関 秀俊 氏
メンバー一覧はこちら

3.「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」

佐々木委員長から、「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」の説明を行った。この品質経営行動はサブタイトルとして「価値変化に追従できる品質経営行動の研究」とある通り、本会でも複数回議論して考え方には賛同を得てきたものだが、今後具体化に向け以下の検討が不可欠と位置づけている。(以下、図2点を参照)

1) 実際の企業活動としてどんな組織で何をアウトプットとして経営判断に結び付けているか、を示す

2) それを一般解に落とし込み、どのような手順で行動するか、を提示したい

4.「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」ご発表および討論
事例発表:三菱電機における「企業の存在価値最大化を目指す品質経営行動」

三菱電機株式会社 常務執行役CPO(ものづくり担当)、
CQO(品質改革推進本部長)中井 良和 氏

「品質経営行動プロセス」に照らし合わせた企業の事例として、三菱電機株式会社 常務執行役CPO(ものづくり担当)、CQO(品質改革推進本部長)中井 良和から発表があった。メンバーからの質疑応答、意見交換が行われた。発表の概要とポイントは次の通り。

【発表の概要】
不正問題発覚の経緯と再発防止に向けた品質経営の取り組みが紹介された。発端は内部通報であり、当時は声を上げにくい風土が存在していたことから、段階的な調査で新たな事案が判明したという。多くのケースで製品自体の品質は問題なかったものの、説明困難さなどから数値の不適切な修正が行われていた。中井氏は、不正の背景には個人の意図ではなく「説明できない環境・ルール」があり、動機を生じさせない仕組みづくりが重要だと説明。現場に足を運び、課題を聞き、改善につなげる姿勢が信頼形成の鍵と強調された。拠点間の取り組み差は可視化によって明らかになり、比較は叱責ではなく支援につなげている。また、関係会社にも診断・支援を段階的に展開し、短期的成果を求めず自走を促す方針を取っている。意見交換では、納期プレッシャーへの対応や、現場から声が上がらない原因としてのマネジメント・評価制度の課題が議論され、オープンで支援的な風土づくりの重要性が共有された。

【主なポイント】
  1. 不正発覚の背景と組織風土
    内部通報が発端だが、声を上げにくい風土が存在し、調査のたびに新たな事案が発覚した。
  2. 不正の主因は「動機」を生む環境にある
    数値説明の困難さや曖昧なルールが不適切行為につながり、個人ではなく環境整備が重要と強調。
  3. 現場との対話と信頼関係構築
    経営層が現場に足を運び、困り事を聞き実行につなげることで声が上がりやすくなる。
  4. 拠点間の見える化による課題共有
    デジタル化率などを可視化し、比較は叱責でなく本社支援の材料とする文化へ転換。
  5. 関係会社・サプライヤーへの段階的支援
    診断シートによる自己評価、現地確認、点数化支援を実施し、短期成果を強制せず自走を促す。

5.「企業価値向上経営懇話会 第二次報告書」について

佐々木委員長より、第二次報告書のまとめ(案)について以下のような説明があった。
  • 第一次報告書の考え方を踏まえつつ、5年間にわたり蓄積してきた知見を整理し、日本企業が競争力を再生するための実践的な指針として取りまとめる趣旨である。
  • 報告書では、顧客価値と社会的価値の両立を軸に、「令和大磯宣言2023」で示している「事業戦略策定」、「機能間連携」、具体的業務指示」という三つのプロセスを明確化する。加えて、DX等を活用したプロセス重視の経営と、「企業価値向上経営」という概念への転換を提言する内容としたい。

その後、意見交換が行われたが、構成案とねらいについて賛同いただき、引き続き準備を進めていく。

6.第22回のまとめ

最後に、今回の議論を踏まえて今後の品質経営のあり方について佐々木委員長からまとめがあった。

◆三菱電機㈱中井氏の発表について
本日の発表事例は、三菱電機の改革への取り組みがよく示されていて、組織全体の考えを掌握する難しさ、その後の効果、そして本当に良い会社になれる道筋がよく理解できた。この様な取り組みも今後の活動に活かしていきたい。

◆「企業価値向上経営懇話会 第二次報告書」作成について
皆さんの厳しいチェックや素晴らしい提案がさらに重要になる。今日はそのキックオフとして、完成(発行)まで、まだ期間があるので、会議後も、是非皆さんのご意見・ご提案をお寄せいただきたい。
(報告・まとめ:品質経営創造センター 安隨 正巳)