基調講演

基調講演
失敗を防ぐマネジメントから成功を続けるマネジメントへ
芳賀 繁 氏   立教大学 現代心理学部心理学科 教授、博士(文学、京都大学)

【概要】

いま、ヒューマンファクターズの領域ではレジリエンス・エンジニアリング(RE)が注目されている。従来の安全マネジメントでは事故やインシデント、すなわち悪いことが起きないようにすることを目標にしてきた。人間のエラーを防ぐにはどうしても、マニュアルを決めて守らせることに注力しがちであるが、それでは、しなやかな現場力は減退し、成功の芽を摘み、却って事故リスクを増やすことにもなりかねない。REでは安全を事故のない状態ではなく成功が続く状態と定義し、現場のレジリエンス(弾力性)を高める新しいマネジメントや教育訓練を提唱する。REの考え方はソフトウェアの品質管理に資するものと考えられるので、本講演ではREの基本的アイディアと品質管理への応用可能性について概説する。
芳賀 繁 氏

芳賀 繁 氏


【経歴】

1953年生まれ。1977年に京都大学大学院修士課程(心理学専攻)を修了して、国鉄に就職し、鉄道労働科学研究所、JR鉄道総合技術研究所で鉄道の安全に関わる心理学、人間工学の研究に携わる。1995年、東和大学工学部経営工学科に移り、1998年、立教大学文学部心理学科を経て2006年4月から現職。大学での教育・研究、学会活動のほか、運輸安全委員会業務改善有識者会議委員、北近畿タンゴ鉄道外部安全評価委員、JR西日本「安全研究推進委員会」委員、日本航空「安全アドバイザリーグループ」メンバー、京王電鉄安全アドバイザー、朝日航洋安全アドバイザーなどを兼任。

専門分野は産業心理学、交通心理学、人間工学。


【研究論文や著書】

『事故がなくならない理由(わけ)』(PHP新書)
『絵でみる失敗のしくみ』(日本能率協会マネジメントセンター)
『失敗のメカニズム』(角川ソフィア文庫)
『失敗の心理学』(日経ビジネス人文庫)
『注意と安全』(共著)(北大路書房)
『事故と安全の心理学』(共著)(東京大学出版会)
『交通事故はなぜなくならないか リスク行動の心理学』(翻訳、G.ワイルド著)(新曜社)
『ヒューマンエラーは裁けるか 安全で公正な文化を築くには』(監訳、S.デッカー著)(東京大学出版会)
ほか