「効率、品質、統制」の共通課題に着目した現場主導によるITS導入の効果検証
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年度 : 2014年  
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企業が使用する業務用ソフトウェアシステムの多くは、複数のIT統制、監査、
認証に対応しなければならない。経営管理者はシステム開発・運用に係る管理
記録を整備し、システムの管理品質と製品品質を長く維持しなければならない。
その一方で、開発・運用現場には多種多様な記録・管理方法の混用があり、記
憶に頼る属人的な習慣も根強い。従来の方法では、管理要求を達成するために
多くのコストが必要となり、また、対象システムの増加や規模拡大により、手
順の実現と定着は容易でない。

IT統制、監査、認証の要求実現の急所は「管理記録の網羅性・完全性・追跡可
能性の同時成立」にある。一方で、現場の要求は作業利便性と効率性の追求に
ある。2つの要求に通底する共通課題に着目し、統合情報基盤の構築による、
強制力のみに依らない要求の実現と、有効な定着を目指した。

本論文では、島津製作所グループの基幹業務を支える業務用システムの開発・
運用現場(100種、200名)において、IT統制水準とシステム品質の向上を目
的としたIssue Tracking System(ITS - Redmine)の全面導入事例を紹介する。
5年間のITS運用結果(12万チケット)の定量・定性分析に基づいて「効率・
品質・統制」の観点で導入効果を検証した。その結果、各種要求の実現、管理
手順の有効な定着、低負荷の工数管理、多重管理の無駄をなくす、という効果
が確認できた。
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