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ヒヤリハットの要因抽出と対策立案フレームワーク ~不適切な行動と周辺要素を整理するための要因抽出マトリクスと、対策立案シートの考案~

ソフトウェア品質シンポジウム2024(2024年)

ヒヤリハットのきっかけとなる不適切な行動の多くは複数要素によって引き起こされるため、様々な視点で要因を検討しないと対策が不十分なものとなってしまう。また、その検討が属人的に行われると、どのように再発防止策を導き出したかがブラックボックス化してしまい、適切な未然防止に繋がっているかの妥当性が判断できなくなる。
これらの問題を解消するために、発生したヒヤリハットの要因分析に必要な観点をまとめ、対策を立案するまでの思考のプロセスを可視化することを目指した。

発生したヒヤリハットの要因を抽出するためには、きっかけとなった個人行動とそれを引き起こした周辺要素の2つの視点から分析する必要があると考えた。個人行動は、その組織・チームにおける「ルール・標準・規則を知っていたか否か」を起点として4つのタイプに分類し、周辺要素の分析観点にはm-SHELLモデルを採用、この2つの視点を「要因抽出マトリクス」として整理した。そして、「要因抽出マトリクス」で得た情報をもとに再発防止策を立案するまでの流れは、「対策立案シート」として思考のプロセスの可視化を試みた。以上を現場の方々にも活用頂けるようまとめたのが今回考案した「ヒヤリハットの分析フレームワーク」である。
今回はその紹介と共に、社内での実践結果を共有する。