設計者自身による設計品質作り込み―テストエンジニア視点の活かし方―
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発表場所 : SQiP研究会
紹介文 :
仕様書のレビューをする際のレビューの観点を何にするかは,しばしば議論されている.本論文では,結論として,たとえそれを書いた設計者であっても,機能仕様書を作った後に思考をリセットしてテストエンジニアの視点(懐疑的な観点)を持ってレビューを行えば,効果的な結果を得られたことを示している.逆に,テストエンジニアが機能仕様書を書いても,設計者が書いたものと同様な欠陥を出していることを実験で示しているのが面白い.レビューの観点について考えさせられる論文である
概要 :
本研究の目的は、設計者自身が自分の作成した機能仕様書の品質を向上させる方策を見出すことである。
ソフトウェア開発の現場では、多くの不具合をテスト工程で検出している。検出された不具合は設計工程で作り込まれたものも多く、その対策にかかる時間やコストがビジネスチャンス喪失の原因になっている。設計工程で品質を作りこむ施策としてはレビューが代表的である。最近はテスト組織が設計工程のレビューに参画して、テストエンジニア視点を活かした品質作り込みを行う取組みが多々報告されている。しかし、独立したテスト組織がなかったり、組織を超えた取組みに対する壁が潜んでいたりして、実践は容易ではない。そこで我々は、設計者が設計品質を自らの手で向上させることを志し、機能仕様書品質向上の研究を進めた。狙いは、テストエンジニアの視点を活用した機能仕様書の記述漏れ防止である。本報告では、テストエンジニアが設計者になり機能仕様書を作成する実験、および設計者がテストエンジニアになり自分あるいは仲間が作成した機能仕様書を入力としてテスト設計する実験を通して、設計者に不足しがちな観点を抽出したのでこれを報告する。また、機能仕様とテスト仕様を同時に設計するというアクティビティが、テストエンジニアの視点の理解、すなわち設計者に不足しがちな観点を理解する上で有効であることを報告する。
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