鈴木 和幸 氏
国立大学法人電気通信大学 名誉教授
「企業の品質経営度調査」企画委員会委員長
「企業の品質経営度調査」企画委員会委員長
東京工業大で工学博士の学位取得。その後、東海大学理学部・助教授、電気通信大学・助教授などを経て、同大学・教授に。現在は同大学院・情報学専攻の特任教授も務める。2014年度、デミング賞本賞受賞。日本品質管理学会会長、日本信頼性学会会長などを歴任し、現在はデミング賞委員会委員等も担当。『信頼性・安全性の確保と未然防止』『未然防止の原理とそのシステム』などの他、著書・共著の書籍は多数。
――まずは、2004年から始まった「企業の品質経営度調査」について、概要を教えてください。
鈴木:これは企業における品質経営の推進をはかるだけでなく、産業界に対して「品質」の重要性の再認識をうながすことなどを目的として、日科技連と日本経済新聞社が共同で始めたものです。ご回答をいただく企業を増やすため、日本経済新聞社、日本商工会議所、東京商工会議所のご協力により、後援していただいています。今回は国内の製造業、情報システム、建設企業など約650社に向けて、TQMや品質経営の取り組みに関する質問票を送らせていただきました。
――かなり大掛かりな調査ですね。
鈴木:この調査の一番の特長は何かと言えば、自己評価をできることです。そこをぜひとも強調したい、と考えています。あえていえば何も問題のない企業や組織はあり得ないと思います。まずはそこを認識することが大前提。そして問題があること自体を悪いことであると捉えるのではなく、問題に気づかないこと、気づいても放っておくことが問題なのだと意識してもらいたいわけです。そういう考え方のもとで、この調査によって自社の問題点や課題を見つけ出していただき、自らPDCAを回してもらう。また、ご報告する他者の調査結果も参考にしていただき、品質経営の向上を目指していただきたい。それが日本全体に広がって欲しい、という思いでこれまで取り組んで参りました。
――企業の経営環境も年々厳しさを増しており、経営の舵取りも難しくなっているようですが。
鈴木:たしかにコロナ禍があったり、ロシアのウクライナ侵攻などを背景として原油価格が急上昇し、そこからさまざまな資材が高騰するといった問題などもあって、大変と思います。しかし、例えば上昇したコストを価格転嫁によって対応するといった短期的な経営政策だけでは、企業の競争力が向上することはありません、たとえ高価格でも顧客が喜んで購入してくださるような、ハイグレードな価値を提供していく。そのような製品やサービスを継続的に創出する組織能力の獲得が、やはり大切なのではないでしょうか。さらにはこれに基づく顧客価値の創造こそが、企業の長期成長の決め手となっていくはずです。
今回の「企業の品質経営度調査」では各企業の品質経営のレベルを、自己評価が可能な体系的調査項目とベンチマーク・データの提供によって、自社の課題と問題点を見つけ出していただくことができます。そのうえで我々としては、各社の品質経営がうまく行われているかを総点検し、他者の調査結果も参考にして自らPDCAを回していただきたい。そういう取り組みが広がることによって、日本企業全体の品質経営の向上につながっていくと確信しているわけです。
今回の「企業の品質経営度調査」では各企業の品質経営のレベルを、自己評価が可能な体系的調査項目とベンチマーク・データの提供によって、自社の課題と問題点を見つけ出していただくことができます。そのうえで我々としては、各社の品質経営がうまく行われているかを総点検し、他者の調査結果も参考にして自らPDCAを回していただきたい。そういう取り組みが広がることによって、日本企業全体の品質経営の向上につながっていくと確信しているわけです。






