基調講演・特別講演

基調講演

日本の危機的状況を救えるか?

統計エキスパート人材育成

千野 雅人 氏
統計数理研究所 大学統計教員育成センター センター長・特任教授

ききどころ


千野 雅人 氏 データサイエンスから統計学が欠けると「危険な領域」に陥ると言われるように、統計学は、データサイエンスに不可欠な学問です。現に、米国では、「統計家」(Statisticians)が地位の高い職業として確立されています。統計家は、米国で成長が期待される職業の第4位(米国政府推計)、Best Business Jobs ランキングの第3位(U.S.News)なのです。一方、日本は、統計科学を専攻する人材が極めて少なく、危機的な状況にあると言われてきました。最近に至り、全国の大学にデータサイエンス系学部学科が次々と新設されるようになりましたが、ここで大きな問題が顕在化します。
本講演では、統計学をめぐる最近の世界の進化と日本の課題、統計エキスパート人材育成の取り組みなどについて、お話しします。

講演者紹介

東京大学理学部数学科卒業後、総理府(現総務省)に入省。総務省 統計局長・統計研究研修所長、国際連合統計委員会 日本国政府代表、(独)統計センター理事などとして、公的統計の体系的整備や人材育成などの統計行政を推進。2021年度から、統計数理研究所 大学統計教員育成センター長・特任教授として、全国の大学等と連携して「統計エキスパート人材育成プロジェクト」を推進。
特別講演①

データサイエンスで拓く新たな社会への道程

―科学的方法としてのデータサイエンス―

松嶋 敏泰 氏
早稲田大学
理工学術院 応用数理学科 教授
データ科学センター 所長

ききどころ


松嶋 敏泰 氏データサイエンスによる社会変革が話題となって久しいですが、生成AIが身近にも利用されるようになったことも一因となり、データサイエンスによって引き起こされる社会の変化に関して、より多様な議論がなされています。
この社会の変化はデータサイエンスにより創られる革新的なシステムやプロダクツによってもたらされると思われがちですが、果たしてそれだけでしょうか。
データサイエンスとは何か、その本質を科学的方法という視点から捉えてみると、社会の変化が起こるまた別の道程が見えてきます。 データサイエンスが社会を変える源泉となる力はどのようなものなのか。また、その推進を担う大学と企業の役割についてもふれていきたいと思います。

講演者紹介

1980年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。博士(工学)。日本電気(株)、横浜商科大学専任講師、助教授を経て、1993年より早稲田大学理工学部工業経営(現経営システム工)学科助教授、教授を経て、2007年4月より現職。2017年12月より早稲田大学データ科学センター所長。ハワイ州立大学電気工学科客員研究員。カリフォルニア州立大学バークレイ校統計学科客員研究員。電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ会長。同情報理論研究専門委員会委員長。情報理論とその応用学会副会長。人工知能学会、電子情報通信学会、品質管理学会論文誌編集委員等。主な専門は情報理論、符号理論、データサイエンス、情報セキュリティ。
特別講演②

デジタル社会で価値を創出できる人材のスキルと
データサイエンティスト育成教育の動向

伊地知 晋平 氏
DataRobot Japan株式会社
リージョナルバイスプレジデント、データサイエンス

ききどころ


伊地知 晋平 氏DataRobot社は国内外延べ1000社を超える企業/団体にAI分析プラットフォームを提供するとともに、独自カリキュラムによるデータサイエンティスト育成プログラムを日本国内で展開し、ビジネス現場で価値を創出できるデータ分析リーダー人材の育成にも取り組んでいます。本講演では、多くの顧客支援経験や教育経験を通してDataRobot社が学んだことを基に、デジタル社会で真の価値創出ができる人材に必須のスキルや人材育成のあり方について考え、提言を行います。

講演者紹介

DataRobot Japanのデータサイエンスチーム責任者。2018年にDataRobot入社後、主にヘルスケア業界及び製造業界のお客様の100を超えるAIユースケースを支援し成功に導く。前職の医療用画像診断装置メーカー在籍時には合計14年ほど、所属部門で統計解析・機械学習を使った業務課題解決と指導・アドバイスに従事。
特にアカデミックリサーチャーによる研究プロジェクトの支援実績が豊富で、データサイエンティストとして国内医療機関・研究機関のリサーチャーを支援し、学術論文の共同執筆者にもなっている。

【代表的なAIプロジェクト支援実績】
 ・機械学習を利用したリード化合物の薬物動態予測テーマ支援(製薬企業様)
 ・大規模健診データに機械学習を適用した将来の疾患予測(国内研究機関様との共同研究)
 ・画像診断装置の消耗部品故障予測モデル構築と実運用(国内医療機器メーカー様)
 ・機械学習を利用した製造工程品質不良要因分析テーマ支援(国内電機メーカー様)