属人化状態を可視化するチームバランスシートの提案~あなたのチームは大丈夫?チーム健全化に向けて~
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発表場所 : SQiP研究会
紹介文 :
製品知識や開発情報・技術のノウハウは特定の担当者によって異なるが、偏りが進み過ぎると、伝達すべき情報や技術が継承されず,製品を改造・流用する際に製品仕様や設計、実装時の検討漏れや誤りなどの原因となって問題を引き起こす場合が多い。
 本テーマは、この“いわゆる属人化状態”の分析に焦点を当て、プロジェクトチーム内の担当者同士による技術面での個人依存度の主観的な相互評価の値と、レビュー実施時の各担当者別の発言時間という客観的な測定値とを組み合わせ、担当者を「職人領域」,「属人領域」,「教育領域」,「点検領域」,「適正領域」の五つに分類し、チーム内の担当者の相対的な属人化の進行の不均衡さ(チームバランス)を可視化することによって、
管理者が各領域のバランス状態を確認し、必要な育成リソースに対する過不足を把握して、
問題発生前の事前対応計画作成に役立てられるよう、属人化状態の測定・可視化を通して改善する仕組みを構築しようとする研究である。
概要 :
ソフトウェア開発では製品知識や開発情報・技術が開発チームにて必要な人員に偏りなく共有されることが望ましい.しかしながら,実態は特定の人間しか理解できない仕様や工期・コスト制約により人員が固定化され,伝達すべき情報が担当者に留まり技術が継承されないことがある.継承されない情報は,製品を改造・流用する際に製品仕様の検討漏れや誤りの原因となるため,特定の担当者に頼らざるを得ない状態となる.この状態は更なる人員の固定化を増長させ,チームの柔軟性や可能性を阻害する.いわゆる属人化の弊害である.
 そこで我々は,属人化対策の糸口として状態を可視化することに焦点を当て,担当者への依存度とレビュー発言割合を図式化し,チーム状態として5つの領域に分類するチームバランスシートを考案した.チームバランスシートは担当者への依存度合とその特性を可視化し,チーム状態を表す有効な手段となり得ることを確認した.
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