圓川先生 特別インタビュー

「IoT時代の品質力 顧客価値の創造が鍵となる!」

〜圓川 隆夫 先生(職業能力開発総合大学校長、東京工業大学名誉教授)に聞く〜

2018/7/30
一般財団法人日本科学技術連盟(以下、日科技連)は、「ソフトウェア品質シンポジウム2018」を9月12日(水)~14日(金)、東洋大学・白山キャンパス(東京都文京区)にて開催いたします。

シンポジウムの開催に先立ち、基調講演にご登壇いただく圓川先生の特別インタビュー記事をお届けします。
(聞き手:日科技連・田中貢、茂田宏和)
―― この度は、ソフトウェア品質シンポジウム「基調講演」をお引き受けいただき、ありがとうございます。今回の基調講演で、先生にお話しいただくテーマは「IoT時代の品質・生産性向上とは;“共創”に基づく-顧客価値創造」ですが、講演に先立ちまして、一部をご紹介いただけますか。
圓川:
品質には、裏の品質力(適合品質、設計品質)と表の品質力(顧客価値、顧客ニーズ(顕在、潜在))があります。品質からみた日本企業の現状は、裏の品質力は依然強いはずなのに・・・。と感じています。
ここで言う表の品質力を強くするには、顧客価値をどう創造していくかが鍵になりますが、その価値創造も「実用的価値(モノ:製品品質)」から「情緒的価値(コト:感性価値・体験)」へと、“コトづくり”発想による共創がキーワードになってきています。
―― “コトづくり”とソフトウェアの関係性についても、少しご紹介いただけますでしょうか。
圓川:
ハードウェア(製品)に組み込まれたソフトウェアは、まさに“コト”をつくっています。これはサービスの提供とも言えます。
有形物である財もサービス提供の一手段と考える「Service Dominant Logic」や 顧客が体験・経験することを価値ととらえる「UX(User Experience)」なども、関連しています。
一方、Systemの世界でも、IoT環境下で、次の3つのシステム形態が展開されています。記録のためのシステムとその保守・拡張:SoR(System of Record)、サービス提供と連携した人との関係を構築するためのシステム:SoE(System of Engagement)、SoRやSoEの両方から新たな知見や洞察を得るためのシステム:SoI(System of Insight)です。  
―― 第4次産業革命は起きているのでしょうか。
圓川:
今、起こりつつある革命と言えば、皆さんも良く耳にされている「INDUSTRIE4.0」があります。これは、垂直統合とネットワーク化された製造システムで、ドイツのものづくり戦略です。また、米国のインダストリアル・インターネットも同じ狙いです。
モノとモノをつなぐインターネットであるIoT(Internet of Things)とサービスとサービスをつなぐインターネットIoS(Internet of Services)がありますが、“繋がる”ことによる膨大なデータからコトづくり、サービスを中心とした顧客価値創造モデルへと移行しつつあります。その時、ソフトウェアはあらゆる価値創造の手段になります。
―― IoT時代によって何が変わりますか。
圓川:
「ビックデータを活用したイノベーティブ製品・サービス創造」や「シェアリング・エコノミーの活用」「オムニチャネル化とIoT活用ロジスティクス」など、他にも色々な変化が生まれます。
圧倒的コスト低減や、価格に反映できるような一味違う“コト”提供が、生産性向上と価値創造につながっていくことは間違いないでしょう。
―― 先生が、校長をつとめられている「職業能力開発総合大学校」での、新たなご研究はどのようなものですか。
圓川:
「技能科学:ものづくりの技能を科学する」です。
職業能力開発総合大学校(POLYTECHNIC UNIVERSITY (PTU))では、PTU技能科学研究会というものを設置しています。
ここまで、お話をしてきた世界の大きな変化の中で、日本が勝つためには、強みであるものづくり技能をどう科学するかが、大きな鍵と考えています。今回の講演でも、ご紹介をしたいと思っていますので、ご期待ください。
―― 先生、本日は、貴重なお話、ありがとうございます。シンポジウム当日のご講演を楽しみにしております。

ソフトウェア品質シンポジウムとは?


昨年のシンポジウム会場の風景
ソフトウェアの品質に関する国内最大級の参加者を誇るシンポジウムで、36年にわたる歴史があり、日科技連がソフトウェア品質向上と発展を希求し、立場の壁を超えてフラットに意見交換、情報交換ができる場、自己成長、人材育成の場としても定評があり、毎年9月に開催しています。

コンセプトは「聴く、考える、話す」。
ソフトウェアの品質向上を目指して、実際に企業で取り組んだ実践的事例や最新のレビュー・テストの技術方法論などの一般発表の他、基調講演、特別講演、企画セッション、情報交流会などで構成しております。