インタビュー

コニカミノルタにおけるIoT時代のものづくり

コニカミノルタ 常務執行役生産本部長の浅井真吾氏に聞く(3)

(聞き手:ジャーナリスト 伊藤 公一氏)

■約45%減った金型のメンテナンス時間

――直接部門で取り組まれたIoTの活用事例を何かご紹介ください。
浅井:ご存知のように、金型は製造業になくてはならない生産財です。そのメンテナンスの最適化に取り組みました。金型では製品面汚れや詰まり、バリ、水漏れ、かじり(摺動面の異常摩耗)などさまざまな不具合が起こります。それらを未然に防ぐには定期的なメンテナンスが欠かせません。しかし、これまでは人手に頼っていました。そこで、エッジPCやクラウドを通じて不具合の起こる箇所や頻度の情報を集めて、分析し、メンテナンスの最適化を検討しました。
――データの収集を分析・活用するというセオリー通りですね。
浅井:結論を先に言えば、メンテナンス時間を約45%削減することができました。回数ベースでは、月平均約42%削減することができました。その分、ダウンタイムも削減できたということです。その秘密は突発的な故障がなくなったことにあります。
 カラクリは簡単です。情報を収集し、分析・活用した効果として、これまでの事後メンテナンスを事前メンテナンスに切り替えたのです。結果が出てしまえば、コロンブスの卵のようなものですが、こうした積み重ねが業務全体の効率化につながるわけですね。

■少子高齢化はまたとないチャンス

――IoT時代のものづくりが開く未来をどのように展望なさいますか。
浅井:繰り返しになりますが、時代認識として、ますます進むであろう、わが国の少子高齢化をネガティブに捉える人が多いけれども、私は大いなるチャンスだと思っています。環境として、デジタルデータはすべて取れるようになっています。そのための自動化設備も驚くほど安く入手できるようになってきました。それをどう使うかだけを決めれば、データのつながりはますます広がる。
 ですから、基本的な技能や技術やノウハウを持っているところが一番強くなることは決まっています。IoTの時代とはそういうことです。それは、少子高齢化をチャンスと考える裏付けでもあります。そうすると、今まで海外に出て行ったものが日本に戻ってくる。だから、日本が強くなる。そんな姿を描いています。
――改めて御社の考えるIoTは他社のそれに対してどんな優位性があるのですか。
浅井:誤解を恐れずに言えば、先行者利益です。ロボットやシステムは相応の投資をすれば誰でも手に入れることができます。しかし、それを使ったデータの活用とか、それがつながった時の利用方法などについて、当社には一日の長があります。例えば、当社はこれまで、オフィスに複合機を置いて紙と粉(トナー)を売るということを生業(なりわい)としてきました。
 ところが、今はそれらを節約して少なくしようという時代です。当社の製品には通信機能が付いているので、ICTの力を使えば消耗品の状況や故障の具合をデータとしてつかむことができます。それを生かせば、お客様から電話をもらう前に、サービスマンを効率的に動かすことができます。欧米では、そのシステムを応用した新たなサービスが生まれているほどです。

■IoTが復権させる日本の製造力

――これまでの取り組みを振り返って、最も自信をもって言えることはなんですか。
浅井:簡単に言えば、IoTは千載一遇のチャンスであるということです。日本の製造力が復権するための本当のチャンスが来たと思っています。製造業各社はそれを難しく捉えるのではなく、小さなことからコツコツと取り組まれればよいと思います。
 その取り組みを成功に導くための方法や手段はたくさんあるはずです。それを理解し、実践することが大切です。IoTの基本は、データを取り、取ったデータを活用することです。方向が定まってさえいれば、そのやり方は各社各様で良いと思います。まずは行動すること。でないと何も始まりません。