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クオリティフォーラム2017 登壇者インタビュー

ながら美容で「忙しいひとを美しいひとへ」
 ~Panasonic Beautyのブランドマネジメント~

パナソニック コミュニケーション部 クリエイティブ課主幹の齊藤美和子さんに聞く(前編)

(聞き手:ジャーナリスト 伊藤 公一氏)
(写真:栗原 克己氏)

齊藤 美和子(さいとう みわこ)
パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 コミュニケーション部 クリエイティブ課 主幹。
2000年に松下電器産業(現、パナソニック)入社、宣伝事業部に配属後、マーケティング本部発足と同時にコミュニケーション部に所属。以降、生活家電の広告・宣伝の制作、商品のネーミングやマーケティング戦略に携わる。2008年パナソニックビューティの立ち上げから美容商品を担当し、美容家電のカテゴリーブランドのマーケティング、クリエイティブディレクション、及び商品宣伝を担当、推進している。
コピーライターとしてTCC(東京コピーライターズクラブ)新人賞受賞(2003年)クリエイティブディレクターとしてACC CMフェスティバルグランプリ、カンヌ広告祭ラジオ部門ブロンズ、他受賞多数。
――やはり、ご自身もパナソニックビューティー(PB)の商品をお使いなのでしょうか。
齊藤:もちろんです。ちゃんと使って商品の良さを実感できなきゃいけませんから。PBのコンセプトは「忙しいひとを、美しいひとへ。」です。わずかな時間で最大の効果を引き出すことを謳った商品ですから、私自身も一人の女性として美しさについて考えたり、それを磨いたりするように心がけています。

 PBの商品の良さは隙間の時間でできることです。だから、美容のために特別な時間が割けず、余裕もない方にはぜひ使っていただきたい。肌や髪の調子が良ければ、それも仕事のパフォーマンスに響いたりするものです。仕事を頑張っているのにボロボロの肌や髪よりも、イキイキと暮らしたい。関係者としてはそういうことに役立つブランドでありたいですね。
――そもそも、なぜ、パナソニックに?
齊藤:もともと宣伝広告の制作に興味があったからです。広告の役目は商品のメッセージをちゃんと伝えることです。しかし、自社商品を持ち、自前で広告も作れるメーカーは限られていました。メーカーの中に広告のクリエイティブ部門があるのは当時、前身の松下電器産業と資生堂とサントリーくらいでした。

 生活に密着し、その時代を生きる人に対して役立つ商品の良さを伝える仕事に携わりたいと思っていたので、松下電器に入社したいと思いました。

■未だ色あせぬブランドフィロソフィー

――現在の部署では、どんなお仕事をなさっているのですか。
齊藤:新聞や雑誌向けの広告のコピーライティングやクリエイティブディレクションなどがメインですが、キャンペーンのフレームを考えたり、商品の訴求ポイントを検討したり、市場動向を商品開発にフィードバックすることもあります。

 クリエイティブ部門が社内にある利点は広告を通じてお客様にメッセージを伝え、お客様と会話できることです。広告宣伝を通じて、パナソニックのカテゴリーブランドであるPBをどう育てていくか、どう見せていくかといったブランディングを継続的に考えていくことができるので、その意味では、ブランドディレクターでもありますね。
――ブランディングという観点から見て、PBにとって大切な言葉とは?
齊藤:やはり「忙しいひとを、美しいひとへ。」ですね。PBのブランドフィロソフィーをうまく伝えていると感じるからです。今年で展開8年目になりますが、時代が変わっても、女性はどんどん忙しくなっているので共感してもらえるのだと思います。

 ターゲットを忙しい人に置いているので、世代が変わってメインターゲットが上になっても下になっても、その周辺の忙しい人に、ちゃんと波及する。計らずも、美容家電が幅広い層に受け入れられることを示しています。

■きれいなおねえさんから忙しいひとへ

――ブランディングを進めていく上でいつも心がけていることはなんですか。
齊藤:簡単に言えば、ターゲットと常に向き合うだけではなく、その人たちが見ている風景を一緒に見ることです。そのためには同じ方向に向かって寄り添うことが大切。語りかけるよりも代弁者になる形で共感するという心構えが問われると思います。

 実は「忙しいひとを、~」の前のコピーは「きれいなおねえさんは、好きですか。」でした。松下電工時代のキャンペーンです。おかげさまでコピーも商品もヒットしましたが、誰にそれを伝えるかを突き詰めると、明らかに男性を意識したメッセージであることが分かります。美しさの基準を女性が男性からどう見られているかに置いているというか。
――事の善し悪しはひとまず置いて、そういう時代だったということですね。
齊藤:だと思います。で、沿革的に2008年からPBに衣替えするのですが、最初から「忙しいひとを、~」ではなく、2年間は技術訴求にフォーカスした「美しさをつくるテクノロジー」でした。
 女性ばかりでなく男性向けの商品にも網をかけたいという事情があるのですが、訴える対象が広すぎて伝わりづらい面もある。そこで、2010年にこれまでの方向を抜本的に見直し、現在のコピーに変えました。

■世界よりも半径数メートルに訴えたい

――PBのコンセプトを鮮明に打ち出したことで、何がどう変わりましたか。
齊藤:「忙しいひとを、美しいひとへ。」には読んで字のごとく「忙しい人を効果的に美しくする商品です」というメッセージを込めました。個人的には、2008年にPBを始めたときよりも、明確にターゲットを絞ってコミュニケーションに乗り出した2010年のほうがインパクトは大きかったですね。

 PBを始めた2008年当時の主担当は男性だったので、世界初とか世界最小とかいった技術オリエンテッドなものに対する男性受けは非常に良かったですね。でも、コピーが発するテクノロジー訴求には個人的に違和感を覚えていました。
――往々にして男性は雰囲気よりもスペックで商品価値を決める傾向がありますからね。
齊藤:そこなんです。すべての、とは言えないけれども多くの女性にとっては世界で一番だろうが最小だろうが関係ありません。それよりも、毎日顔を合わせる半径数メートルの身近な人たちに『今日は元気そうね』とか『肌がきれいだね』とか言われたほうが明らかにテンションが上がります。

 そこで、大上段に構えるのではなくて、身近で共感できるところに次元を定めてブランドを作ったらどうかと思ったのです。PBの打ち出しの前後では、その点が大きく変わりました。重ねて言えば、男性も引き込んだ「きれいなおねえさん」というポジションと「忙しい人」とでは、美しさの価値が違うのです。その決め手は時代の大きな流れというか、移り変わりによるものだと思います。

■最大の強みはパナソニックのブランド

――貴社の最大の強みはなんだと思いますか。
齊藤:ブランド力です。美容家電以外の商品の競争は熾烈を極めています。その点、PBは商品カテゴリーとして美容家電の中でちゃんとブランディングされています。

 誤解を恐れずに言えば、美容の市場はやり方次第で網の目をうまくかいくぐることができます。しかし、薬事的なことを含め、守らなきゃいけないことも多い。企業としての社会的信用に関わるので、法務的にクリアする関門も少なくありません。
――そんな中で、魅力ある商品を連打できる強みこそが、おっしゃるブランド力ですね。
齊藤:そう思います。自社都合の暴走を防ぐため、業界団体による表現の制約という安全装置も働いています。だから根拠のない、事実と異なる数字にも影響されず、安定的にシェアを守っていける。それは確固としたブランドがあるからに他なりません。