ブックタイトル品質管理シンポジウム第100回記念史

ページ
7/76

このページは 品質管理シンポジウム第100回記念史 の電子ブックに掲載されている7ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

品質管理シンポジウム第100回記念史

第1章|品質管理シンポジウム第100回(50周年)を迎えて品質管理シンポジウムの歴史一般財団法人日本科学技術連盟専務理事小大塚一郎日科技連は、1946年の創立以来、我が国の産業界に経営管理技術、とりわけ、品質管理を普及・推進することを目的として、種々の事業に取り組んでまいりましたが、特にその中でも、我が国の産業界に広く品質管理に関する今後の方向性を示す事業の1つが「品質管理シンポジウム(QCS)」であります。文字通り、このシンポジウムは、我が国の品質管理の発展の歴史を物語っているといえましょう。第1回開催以来、今日まで箱根で開催されてきたことから、「箱根のQCS」と呼ばれて、先人から現在ご参加いただいている方々まで長年親しまれて、今回で100回目という記念すべき開催を迎えることとなりました。偏に、本シンポジウムを支えていただいてきた賛助会員会社の皆様、毎回の開催ごとに企画をしてきていただいた産・学の担当組織委員の皆様、招待討論者の皆様方のたゆまないご支援の賜物と感謝申し上げる次第であります。この、シンポジウムは1965年6月に第1回が開催されましたが、シンポジウム開催初日に開催された第1回の組織委員会で、このシンポジウムの開催企画の趣旨が述べられ、シンポジウム開催後に発行された記録(報告書)にその開催の目的ともいうべき内容が掲載されております。シンポジウムの組織委員は、戦後の日本の品質管理指導者として活躍された3人の先生、水野滋氏(東京工業大学教授)※、朝香鐵一氏(東京大学教授)※、石川馨氏(東京大学教授)※でありました。その一部をご紹介いたします。「わが国に品質管理が導入されてからすでに20年になろうとしている。この間多くの人々の努力によって目覚しい効果が挙げられて、今日の企業では品質管理なくしては1日も存続できないような状態となっている。また、品質管理はいわゆる、TQCとして、各階層の人々に受け入れられるに至って品質管理の山の裾野はますます広がりつつある。ところが、裾野が広がる一方、山を高くする努力、すなわち品質管理の当面の問題点を実施面、手法面から掘り下げて、新しい方向に発展させるための努力は、残念ながら十分とはいえない。われわれがこのことに気づいて、品質管理の勉強を改めて行いたいと考えたとき、日科技連が多額の経費を支出して、「品質管理シンポジウム」が開催されることになったことは、日本の品質管理界に1つの強力な動力を与えるものとしてわれわれに大きな勇気を与えてくれた。(以下略)」このように、本シンポジウムは、「品質管理の山を高くする」「常に上流指向」「品質管理界の動力」という3つの役割を担いながら、今日もその役割を継承して開催されています。第1回は「品質管理の導入・推進・定着」をテーマとし、品質管理の導入・推進のための計画を立て、その実施状況を監査し問題点を見つけ解決し、不良発生の予防のための標準化を行い、品質管理を定着させるにはどうすればよいかについて活発な報告・討論が行われました。特に、当時としては、他の国に類を見ない合宿形式や“ノミニケーション”という言葉が生まれ、我が国の品質管理の歴史が着々と築き上げられていきました。第1回の開催が成功裏に終わったことを受け、以後、組織委員を中心として、本シンポジウムは時代の流れに沿ったテーマを掲げ、品質管理に関する産学の討論、コミュニケーションの場として年2回、継続して開催しています。開催当時から比較したら、経営環境も厳しくなり、2泊3日という開催は、企業の経営者、マネージャーにとってはなかなか難しい面もあるでしょう。しかし、同業、異業種の方々と普段とは違った環境の中で意見交換することは、人脈を形成し、新たな発見、気づきを生むことにつながるのではないでしょうか。そのような絶好の機会として、本シンポジウムを多くの方々にご利用いただければと思っております。この度、100回目という大きな節目を迎えますが、今後も、さらに内容の充実を図り、産学界のご協力をいただき、本事業の使命を全うするべく努力を続けてまいりますので、一層のご支援の程お願い申し上げます。(※所属、役職は当時のもの)5