ブックタイトル品質管理シンポジウム第100回記念史

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概要

品質管理シンポジウム第100回記念史

第5章|歴代組織委員が語るQCSの思い出ニングがあった。当時トヨタの代表取締役会長であった豊田章一郎さんが「日本を創生するTQM」と題した、基調講演をシンポジウム2日目の4日に行い、講演終了後に会社に戻られ、アルゼンチン大統領と会合が予定されていたとのことであった。ところが、前日の3日に雪となり、夜遅くに箱根に到着されたものの次の日の4日の移動が危ぶまれたため、そのまま名古屋に戻られた。そのため4日の講演は急遽、当時副社長であった髙橋朗さんが豊田会長の代役を務められた。その講演は非常に素晴らしいものであり、私もトヨタのリスク管理の素晴らしさに感銘を覚えたことを記憶している。(4)結び将来への期待品質管理シンポジウムを通じて、企業の枠を超えた品質経営の交流の場の重要性はさらに高まるであろう。また、品質という言葉の多様化というものを企業の枠を超えて話し合う場を今後とも作っていくことが求められるであろう。品質は材料、部品、ユニット、サブシステム、システムという軸と、仕様化、設計、製造、評価という2つの軸の交点において「どういうものを品質として着目すべきか」が重要な課題となる。また「故障」というものに加え、動作に対する擾乱への耐久力(レジリエント)がある。そういうものがますます重要になるであろう。今年は石川馨先生の生誕100年にあたる。実は私の妻の叔母が石川先生に嫁いでいることもあり、石川先生が品質管理シンポジウムで進めた、裾野を広げる努力、山を高くする努力に敬意を表すると共に、後輩である我々がその文化を引き継ぐ責任の重さを痛感している。私もデミング賞本賞を受賞した一つの理由にこの箱根での活動が評価されており、この場を借りて皆様に感謝申し上げると共に本シンポジウムの活動が、日本の国際競合力の源泉になると信じている。41