2021年度 開催レポート
会場:日本科学技術連盟 東高円寺ビル またはオンライン(Zoom)
「JUSE-エグゼクティブセミナー」の第7月目が、「まん延防止等重点措置」発令下の3月19日(土)に、日本科学技術連盟 東高円寺ビルにて、集合とオンラインとのハイブリッド形式で開催された。
本セミナー最終月の今回は、昨年9月の開講から前月までの講義・グループ研究を通じて学んだことの集大成である「品質経営推進フレームワーク」について、全参加者による発表が行われたが、最終月ということもあり、全体の約8割を超える参加者、随行者が現地にて参加されていたことがとても印象的であった。
1.自社(個人)研究発表会
今回の発表会は、細谷克也委員長(品質管理総合研究所)の開催挨拶の後、本セミナー企画委員・講師の鈴木浩佳委員(トヨタ自動車株式会社)の進行で各社の発表が行われた。 各社のプロフィールに始まり、7ヶ月間に渡り検討してきた「事業構想基本フレーム」、「TQM推進計画・実行書」を中心とした研究成果について、戦略のストーリー性、事業構想からそれを実現するための組織能力向上・獲得までの一貫性を重視して発表いただいた。また、発表最後には、エグゼクティブスピーチとして、新年度スタート時に経営トップ(事業責任者)が、全従業員の前で所信表明を行うシチュエーションをイメージして、自社を変革していくという強い思いを自身の言葉として発表して頂いた。
発表内容は秘匿事項も含んでいるため記載を控えるが、質疑・講評の一部を下記に紹介する。これらは参加者が終了後、各組織で事業構想を実践する際の金言になったものと考える。
- 管理項目の設定に甘さがある。達成率は、分母をいくらでも変えられるので、実際の数字を設定・表記した方が良い。
- 貴社のビジネスとして、具体的に実現していくという意気込みを感じた。他の部門等にも働きかけていく必要性があるが、そこが活動システムのイシューになるので、挑戦してほしい。
- 新規事業はトップがリードするが、全員参加のしかけが必要であり、組織能力の確保が重要である。
- モノの提供から、コトの提供の会社に変わろうという意気込みを感じる。そのうえで、組織能力・TQM活動要素の不足項目が多いことに気づいたことが良かった。
- モノづくりと営業を一体化したマーケティングを達成するための項目がTQM計画推進・実行書にかかれているが、達成のためには、部門、組織体制を変えることを盛り込むとリアリティがでてくる。
- 事業を立ち上げるための活動システムではなく、マネタイズを実現するための活動システムに見直すともっと良いものになる。
- TQM推進計画・実行書は、単なる手順を書いた推進計画ではなく、設定している収益計画を達成するため、どう成果を出していくか、そのための活動計画を書くとよい。


2.すべての発表を終えての総評
全員の自社研究発表終了後に、細谷委員長から、7カ月間、顧客価値創造、組織能力の向上について、しっかり勉強して、それぞれの個人研究に取り組んでくれたことに敬意を表したい。各社のこれからの品質経営の道筋ができたと感じた。各社の課題実現に向けて、頑張ってほしい、との総評が述べられた。
また、グローバル化の進展と産業変革の中で、企業は成長し、事業課題を達成しなければならない。変化に対応した事業構想と組織能力の確保を進化させていってほしい、そのために本セミナーで学んだ、花火マップから始まる事業構想、その構想をベースに事業計画を作成、TQMの活動要素であるトップのリーダーシップから人材育成まで落とし込み、実現するまでの課題の洗い出し、計画の作成といった一連のストーリー性をもった活動を推し進めて欲しい、といった激励と期待の言葉も贈られた。

3.学長最終講義
坂根正弘学長(小松製作所 顧問、当財団 前会長)から、学長最終講義が行われた。ポイントは以下の通りだが、経営者として、また変革者としての心構えを中心に今後の期待を自身の言葉で明瞭に語られた。聴講する参加者の引き締まった表情がとても印象的であった。
- 今回の個人研究の報告書では、課題に対する施策が多く設定されているが、DOが伴わないと実現しない。一点突破いいから、どこから取り組むか絞って行動してほしい。
- 顧客価値創造を検討して、新たな顧客をターゲットに設定してきたが、お客様の信頼度はそれぞれであり、そのお客様の信頼度をあげていくことが大事である。新事業だけではなく、現事業でもお客様の信頼度をあげていくことも必要である。
- 理論と実践の両輪のバランスが大事である。本セミナーでは、内部組織能力の向上を学んできたが、どこを切り口にしてDOをしていくか。実践したらまた理論にもどる。かつてのTQMにもどっていかないと復活はない。
- 各社のトップに本セミナーの意義・意図を伝えて、一つでも多く事例を作ってほしい。

4.はなむけの言葉
佐々木眞一副学長(当財団 理事長、トヨタ自動車 元副社長)から、はなむけの言葉が贈られ、参加生への労いと期待の言葉が述べられた。
「最終報告資料は、それぞれ力作で大変感心している。研修が終わったことに安心せず、必ず現場に展開してほしい。研修後の皆さんの活躍が期待されている。学んだ通りに行かないこともあるかもしれないが、意思を持ったチャレンジが大事であり、次に必ず生かされる。研修で学んだことを実務で生かし、大きなビジネスチャンスに挑戦してほしい」

5.修了証書授与
最終月は、多くの参加者に会場へお集まりいただけたので、直接坂根会長から修了書が渡された。自社研究発表会とは打って変わり、修了生の皆さんの晴れ晴れした顔が印象的だった。
OB会での再会を約束し、7か月に及ぶ本セミナーは幕を閉じた。


6.最後に
「JUSE-エグゼクティブセミナー」は、「事業ドメインの価値定義(構想)」と「組織オペレーション(実装)」という顧客価値創造活動の両輪を一気通貫として学ぶ他に類を見ないコースである。今回の修了生の皆様は上記を徹底的に考え抜き、血肉化して頂いた。その努力に敬意を評するとともに、一緒に学んだ同期と切磋琢磨しながら、品質経営を実践していただけるものと確信した。一日も早い実現を切望いたします。
2022年度も9月から「第4回 JUSE-エグゼクティブセミナー」を開講予定です。本セミナーは「経営の中核を担うトップ人材の育成」という企業の普遍的な命題にしっかりお応えできる内容となっています。御社からのご参画をお待ちしています。

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