2021年度 開催レポート
会場:日科技連・東高円寺ビル、オンライン(Zoom)
1.「JUSE-エグゼクティブセミナー」6月目実施される!
-事業構想からいかに組織能力の獲得・向上につなげるか、
未来に選ばれる会社は「現場力」が鍵!-
「JUSE-エグゼクティブセミナー」の第6月目が2月18日(金)、19日(土)の日程にて、日本科学技術連盟・東高円寺ビル並びにオンライン(Zoom)にて開催された。
東京都へのまん延防止等重点処置期間中ということで、多数がオンラインでの参加となった。

前月から、完成した「事業構想基本フレーム」を“絵に描いた餅”にしないため、必要な組織能力を明確にし、それを改善していくためにTQMをどう活用していくのか、の検討に入り、今月は、必要な組織能力を獲得するために何をどう改善していくのかを、具体的にTQM推進計画・実行書に落とし込んでいくための検討を行った。
2.個人研究:ワークシート31~34の発表
個人研究として実施している内容について、ワークシート31~34の発表をおこなった。
発表では、参加者各々がこれまで検討を進めてきた内容について十分に理解が深めていうことが伺え知れ、企画委員からも高く評価された。そのうえで、更に完成度を高めるための新たな視点でのアドバイス、提案が企画委員から寄せられた。

3.前回までの振り返りと事業構想基本フレームからTQMへのつながり
光藤 義郎 委員(元文化学園大学 特任教授、日本科学技術連盟 嘱託)から、前回までの振り返りと、今回の進め方についてのオリエンテーションを行った。
(1)前回までの振り返りと事業構想基本フレームからTQMへのつながり


※前月(1月)の開催レポートはこちら
(2)今回の進め方
顧客価値創造事業を推進するために必要な組織能力の獲得とどのような経営環境の変化にも耐えうる組織能力の獲得を同時に達成するために「TQM推進計画・実行書」を作成していく道筋を明らかにしていく。
4.事業構想のTQM推進計画への落とし込み・ブラッシュアップを図る!
各グループに分かれ、前月まで検討してきた現状の組織能力の評価とステージアップに向けた取り組みをもとに、ワークシート34で上げた「TQM活動要素について改善すべき重点事項」を抽出し、それぞれの「現状の問題点」、「具体的実施事項」、管理項目を軸とした「得られる成果」とその成果物、更に「実施スケジュール」などをTQM推進計画・実行書へ落とし込み、理解を深めていった。


5.グループ研究:品質経営推進フレームワーク「TQM推進計画・実行書」の発表
2日目は、前日に検討した「TQM推進計画・実行書(W35)」について、グループごとに発表を行なった。
その内容について、参加者からのコメントや質問、企画委員より、的確な指導が行われ、個人研究での取り組みに落とし込むための視点を得られた。


次月は、最終月となるため、今回までに行なったことを自社版に落とし込み、これまでの取組みを1社ずつ発表していただく。
6.実践研究での困りごと相談、事前質問への質疑応答
次月の最終発表に向けて、改めて確認をしておきたい点・発表に向けて不安な点について、参加者と企画委員の間で質疑を行なった。
活動システムにおける模倣困難性の確保の観点、マネタイズシナリオの検討する際のポイント、TQMパートでの検討にあたっての組織の考え方、ワークシートの進め方、自社に持ち帰り実現する際の具体的な疑問まで、様々な議論が行われた。
それぞれが問題解決のためのヒントや気付きを得ることができ、最終月を前に少々曇っていた表情に明るさが見られた。
7.ブランドマネジメント活動
加藤 雄一郎 委員(名古屋工業大学 プロジェクト教授)から、「ブランドマネジメント活動」と題し、ご講義いただいた。
前半は、これまで学んできた内容についての振り返りとまとめを行ない、後半は、ブランドマネジメント活動(以下、BM活動)について、コマツの例を挙げご説明いただいた。
また、それによって育成される事業創造人財についても、お話しいただいた。
これからの時代、事業構想は限られた経営層のみで考えるのではなく、現場の各部門一人ひとりが考えることが必要である。経営層の最大の仕事は、決断することであり、その決断をするために必要な選択肢を出すのはむしろ、お客様と直接関わっている現場の人間こそ相応しい、というのがBM活動の考え方である。

そして、このBM活動の継続によって育つ人材の最高峰こそが、事業創造人財である。 経産省でも言われている通り、企業は、事業全体の価値を持続的に革新してくことが出来る人材を社内で育成しないとならない。
しかし、これまで通りの「教育」(セミナーを受講させるだけ、資格を取るだけ)を続けていても、事業創造人財は育成することが出来ない。 未来の経営者となる、事業創造人財を見出す活動として、BM活動があるのである。
内発的動機を支える二大要素として、「自己決定感」と「自己有能感」がある。これは、ある物事を進めるにあたって、それをやると自分で決めたという意識と、成功したとき、自分が役に立ったという意識のことである。その2つが満たされることが内発的動機付けになるのである。
この2つを元に、BM活動とは、「事業が生きる道を、自らの意思で描く取組み」であると、加藤委員は述べられた。

8.グローバル競争を勝ち抜く 現場力と日本品質
今月最後の講義は、株式会社シナ・コーポレーション 代表取締役である遠藤 功 氏から、「グローバル競争を勝ち抜く 現場力と日本品質」と題して、お話いただいた。

これからの日本企業必要なことは、「生まれ変わる。Re bone」である。生まれ変わるとは、「未来に選ばれる会社」になるということであるとお話をいただいた。そのために、「両利きの経営」が重要であるということ、そして、「死んでいる会社」にならないために経営において大事なことを、これまでのご経験、知見も交えて、ご講義いただいた。
まず、「両利きの経営」とは、大きく言うと“既存事業の深化”と“新規事業の探索”の2軸で考えるということである。
これは、本セミナー学長である坂根氏の、「ビジネスモデルで先行し、現場力勝負に持ち込めば、日本は負けることはない。」という言葉を裏付けている。
遠藤氏いわく、良いビジネスモデルはすぐに他社に真似される。差をつけるのはそのビジネスモデルを実行する現場力であるということだ。
現場力の2つの意味として、
- 組織能力(Capability)としての「現場力」
- 組織風土(Culture)としての「現場力」
の紹介があった。
そして、現場力の強い企業というのはどういった企業なのか、また、現場力を強くするためにはどうしたらよいのか、ということを教えていただいた。
「生きている会社」というのは、現場を見れば分かるともおっしゃっていた。
生きている会社は、実践→創造→代謝→挑戦という循環をしており、その根底にあるのが「言える化」である。
特に、実践・創造・挑戦は、なんでも自由に「言える」雰囲気が無いと、なかなか機能しない。その「言える化」こそ強い現場力の土台となっているのである。 逆に死んでいる会社は、管理→抑制→停滞→閉塞のサイクルになっているとのことである。
今回の講義は、これまでの6ヵ月間を総括したような内容となっていた。
また、最後の質疑応答でも丁寧かつ的確に回答していただき、大変満足度の高いものとなった。

9.次月に向けて
次月は、いよいよ本セミナーの最終月となる。
最後は、1日かけて各社から最終発表を行なっていただく。
発表内容は、
- ①自社プロフィール
- ②事業構想基本フレーム
- ③TQM推進計画書
- ④エグゼクティブスピーチ
である。
これは、セミナー内で行なっていたグループワークではなく、各月の間に宿題として行なっていた、自社版の発表となる。
これまで6ヵ月間行なってきたワークの内容と、最後に、自社でこの内容を発表した際、全従業員が「お!なるほど!よーし、やるぞ!」という思いになり、変革の第一歩を踏み出すことが出来るような、エグゼクティブスピーチをしていただく。
COVID-19の感染状況等は気になるが、最後に参加者全員が集合で開催できることを切に願う。