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JUSE-エグゼクティブセミナー

2021年度 開催レポート

日程:2021年12月17日(金)~18日(土)
会場:セミナーハウス・フォーリッジ

1.第3期“これからの品質経営のかたちを学ぶエグゼクティブ教育”4月目開催!
  事業構想から実装へ向け、いかに不確実性を価値創造に変えるか!

9月に開講した第3期「JUSE-エグゼクティブセミナー」の第4月目が、『不確実性を価値創造に変える「衆知錬成の意思決定」』をメインテーマに、12月17日(金)、18日(土)の両日、世田谷区のセミナーハウス フォーリッジにて、集合形式で開催された。

前月までは、各社における顧客価値を創造した「事業構想」を検討してきたが、これからは徐々に、価値創造事業を実現するために必要な「組織能力の獲得」と「TQM推進計画・実行」の検討にフェーズを移行していく重要な段階に差し掛かかる。

籠屋氏
籠屋氏

2.不確実性を価値創造に変える 衆知錬成の意思決定(1日目)

1日目(12/17)は、戦略意思決定分野の第一人者であるディシジョンマインド社代表 ディシジョンアドバイザーの籠屋 邦夫 氏が登壇した。
メインテーマである「不確実性を価値創造に変える衆知錬成の意思決定」の講義導入として、あるプロジェクトマネージャーの悩みを例に役員会における役員のあるある発言集をロールプレイ的に紹介。役員の「衆知雲散」あるある発言を具体的にイメージ出来たところで、「衆知雲散から衆知錬成へ」のテーマに入り、不確実性が増大している企業環境下において、新たな価値創造を実現するために、経営者・リーダーに求められている意思決定を行うための考え方、方法論は含めた講義が行われた。

リーダーシップの核心は、事業環境の変化を敏感に察知し、「当事者意識を持って取り組み作り上げていく」こと。そして、多くの「不確実性」に対してディシジョンマネジメントで対応していくことである。キーワードである「不確実性」と「衆知錬成」。大きな不確実性とリスクを持つ事業戦略課題に、関係者・組織全員のチームとしての知恵とスキルと意欲を結集して、納得解を一緒に作り上げ・意思決定し・一丸となって実行に取り組むことが求められる。

意思決定思考に必要な7つのキーワード解説に加え、意思決定に有効な方法論として、「ディシジョンマネジメント」という思考体系と籠屋氏独特の絶妙なネーミングをつけた「衆知雲散から衆知錬成へ」のポイントについてわかりやすい事例もとに紹介された。

衆知雲散の4レベル

  • 「弱い個」病
  • 「衆知破壊」病
  • 「意味不明」病
  • 「積み上がらない/噛み合わない」病

「衆知雲散の4レベル」を「衆知錬成の4ステップ」へ!

ステップ1:「独力・力強化」⇒まず、意思決定リテラシー向上で個を磨こう!
ステップ2:「衆知活性化」⇒人として共感と覚悟を持って、ちゃんとしよう!
ステップ3:「衆知実体化」⇒明確に、具体的に語ろう!
ステップ4:「衆知構造化」⇒紡ぎ合わせて、有機的(=付加価値のあるつながり合い
              連動性をもった)集合脳を目指そう!

意思決定思考-未来を切り開くための7つのキーワード

Key Word 1:困難な状況でのありたい取り組み姿勢
Key Word 2:意思決定への覚悟
Key Word 3:意思決定への攻め込み方
Key Word 4:不確実要因のとらえ方
Key Word 5:価値判断基準-儲けることは後ろめたいことか?
Key Word 6:意思決定において過去の投資をどう位置づけるか?
Key Word 7:戦略構想の確かさ

意思決定(衆知構造化)の7つのプロセス

プロセス1:検討課題の明確化、共有化
プロセス2:論点洗い出しと意味合い抽出
プロセス3:意思決定基本3要素の階層化
プロセス4:選択肢の設定と定性比較
プロセス5:収益層的方法の明確化と不確実性の読み
プロセス6:定量分析
プロセス7:収益以外の価値判断尺度を含めた全体判断

特に印象深かったのは、「こんな私に誰がした」と被害者意識で嘆いている症候群と「真面目だが真剣ではない」症候群からの脱却には、「It’s up to me/us!(自分が自分の未来を決める)」&「Have fun!(楽しむ)」の精神で取り組まなければならないこと。不確実性のもとでの意思決定(やり直しのきかない経営資源の配分へのコミットメント)には、良い意思決定(Good Decision)をしたとしても、必ず良い結果(Good Outcome)になるとは限らないこともあることを想定し、「失敗」ではなく「不成功」として前向きにとらえることの重要性を認識できた。

3.講義時間内ケーススタディ(グループ演習)の実施

カリキュラム終盤に、ある中堅の電気・電子機器メーカーを題材にした「事業戦略立案における戦略レベルの意思決定」についてのケーススタディをグループ演習形式で実施した。演習題材と準備課題の設問は事前送付され、当日は題材企業のフレーミング(課題の枠組設定)の演習として、当日配付の設問に対して検討した。時間的制約もあるため、今回の演習(設問)は、意思決定(衆知構造化)の7つのプロセス(ツール)のうち、「プロセス1:検討課題の明確化、共有化(ビジョン・ステートメント)」「プロセス2:論点洗い出しと意味合い抽出(フォース・フィールド・ダイアグラム)」「プロセス3:意思決定基本3要素の階層化(ディシジョン・ファクター・ヒエラルキー)」「プロセス4:選択肢の設定と定性比較(ストラテジー・テーブル)」をもとに整理・検討し、代表グループからの発表・質疑を行った。籠屋氏からは、グループでの検討過程と発表・質疑時にアドバイスがあり、まだ慣れない意思決定プロセス(ツール)の考え方・目的や使い方について理解を深めた。

また、今回の演習を通して学んだディシジョン・テーブル(ボード)の目的について、下記の確認・共有をした。

  • PJとしての選択テーマ・方向性は絞ったが、今後さらに詰めた検討をして良いかを「合意形成」する。
  • 戦略テーマの漏れや新たな視点・テーマについての確認の場に上司に参画してもらう。

今回の籠屋氏の講義ならびに演習を通して学んだ『不確実性を価値創造に変える「衆知錬成の意思決定」』の考え方・方法論・ツールは、今後のグループ研究・個人研究の検討にあたって、非常に有益な内容になったと考える。

講義内グループ演習風景
講義内グループ演習風景
講義内グループ演習発表風景
講義内グループ演習発表風景

4.個人研究の中間発表

前回に引き続き、個人研究として各人が実施している内容の「中間報告」が行われた。
参加者全員が発表を行い、その内容について参加メンバー中心に質問・確認事項に加えて、新たな視点・提案も寄せられ、今後、個人研究を進めるあたって、良い研鑽の場となったと考える。

個人研究
個人研究

5.グループ研究:
品質経営推進フレームワーク「事業構想基本フレームワーク」の作成
「活動システム(WS19)」「イシュー・方策(WS20)」「事業構想基本フレーム(W21)」「事業計画(WS22)」の検討

1)「活動システム(WS19)」活動システムの作成

ここでは、マネタイズ・シナリオを実現するために、組織が実行すべき打ち手を検討する。
「活動システム(WS19)」を作成するにあたり、先ずは、「マネタイズ・シナリオ(WS17)」のブラッシュアップに取り組んだ。

「活動システム(WS19)」の作成手順:

①「マネタイズ・シナリオ(WS17)」の4つのコマ上に、各コマを実現(確実化)させるのための「自社Do」を配置。次のコマに遷移(確実化)するための「自社Do」をコマの間に、それぞれ配置。
「マネタイズ・シナリオ」
「マネタイズ・シナリオ」
②各コマの「自社Do」に実施の順序を付与。
「マネタイズ・シナリオ」
「マネタイズ・シナリオ」
ブラッシュアップした「マネタイズ・シナリオ」をもとに、「活動システム(WS19)」を検討・作成。
③因果の矢印をつなげて、一通り打ち手をつなげる。
「活動システム」
「活動システム」
④阻害要因への対策をするための打ち手を追加する。
「活動システム」
「活動システム」
⑤模倣困難性を高めるために学習強化ループ※を仕掛ける。
   ※フィードバックすることで学習する仕掛け。
「活動システム」
「活動システム」

2)「イシュー・方策(WS20)」の作成

ここでは、活動システムの検討を通じて列挙したイシュー(強化しなければならない事柄)に対して、目標値と目標値達成のために組織が重点的に実施すべき方策を取りまとめる。
 「イシュー・方策」
「イシュー・方策」

3)「事業構想基本フレーム(W21)」の作成

ここでは、これまで検討してきた内容を、1枚のシートにまとめることで、事業構想の一連の流れを理解する。
 「事業構想基本フレーム」
「事業構想基本フレーム」

4)「事業計画(WS22)」の作成

ここでは、収益計画とイシューから抽出した方策を時系列を揃えて整理することで全体を俯瞰し、矛盾なきことを確認する。すなわち各時期の収益計画を実現するために必要な方策が期日までに実施されていることを確認する。
また、後日作成するTQM推進計画との間にも矛盾なきことを確認する。すなわち事業に必要な活動システムとそのための組織能力が、各商品・サービスの提供時期までに整備・獲得されていることを確認する。
「事業計画」
「事業計画」
グループ研究風景
グループ研究風景

6.次月に向けて

品質経営推進フレームワークのグループ研究は、各グループによって進行のばらつきはあるものの、おおむねイシューの検討まで進んだ。

1日目の籠屋氏の講義・演習を通して学んだ「ディシジョンマネジメント」という思考体系により「いかに不確実性を価値創造に変えるか」という共通言語を得たことで、ワークの検討が、よりスムーズに進んでいったと感じた。

これまで、約4か月をかけて、「顧客の何を実現して儲け続けるか?」に関する事業構想(構想)について検討してきたが、次回(1月)から「どのように事業構想を実現するのか?」事業構想から実装にシフトしていく。

中條武志氏(中央大学 教授)による「価値創造によるTQMの役割とその活用」「方針管理と日常管理」、「新製品・新サービス開発管理、プロセス保証」、細谷克也氏(品質管理研究所 代表取締役 所長)による「改善活動/小集団改善活動」、光藤義郎氏((一財)日本科学技術連盟 嘱託)による「人材育成」についての講義が予定されている。

本セミナー学長である坂根 正弘 氏のキーメッセージ「これからの日本は、ビジネスモデルで先行し、その上で現場力の勝負に持ち込めば、負けることはない」のように、顧客価値創造活動とTQMの連携を目指し、引き続き、全員参加型経営を模索していく。

策定した「事業構想基本フレームワーク」を、中條氏、細谷氏、光藤氏の講義を踏まえ、TQM推進計画書へ具体的に落とし込んでいき、いかに実現をするか、を考える重要なプログラムである。

レポートまとめ:茂田 宏和