JUSE-エグゼクティブセミナー

開催レポート

日程:2019年8月23日(金)~24日(土)
会場:日本科学技術連盟・本部

1.「JUSE-エグゼクティブセミナー」2月目実施される!
  -「サービスを提供するビジネスへの転換」が主題-

今年度新設した「JUSE-エグゼクティブセミナー」の第2月目が8月23日(金)、24日(土)の両日、日本科学技術連盟・西新宿本部にて開催された。

2月目は、製品の生産・販売を通じた顧客の満足度向上活動だけにこだわらず、新たな顧客価値の創造をめざし、顧客の懐に入り込み、顧客と同じ視点で顧客の問題解決(ソリューション)をより積極的に提供することによる付加価値提供を目指す、いわば「サービスを提供するビジネスへの転換」が主題として、講義と自社研究が実施された。

日本科学技術連盟・西新宿本部
(小田急第一生命ビル)

2.今までの『レンズ』を外して、顧客価値創造を考える

藤川氏

1日目は、一橋大学 副学長補佐、准教授、MBAプログラムディレクターである藤川佳則氏が登壇し、「サービス・マネジメント:「価値づくり」の「レンズ」」と題し、講義、演習がテンポよく進行していった。

このテーマは、本セミナーの基本コンセプト「これからの日本はビジネスモデルで先行し、現場力勝負に持ち込めば負けることはない」の前段の部分において、中核となるべき考え方とある。

「SHIFT 」 「 MELT 」 「 TILT 」といったグローバル規模での急激な変化の中で、企業にとっての「価値づくり」も従来のモノを中心とする考え方から大きく変わってきている。
「サービス・マネジメント」というコンセプトの中で、「価値づくり」の以下の 3 つの レンズをつけたり、外したりすることでどのような世界と未来がみえるのかを豊富な具体事例を交え、わかりやすく説明いただいた。

  • レンズ1:グッズ・ドミナント・ロジック(GDL)
    ※経済活動をモノかサービスかで捉え、価値は企業が創るものであり、交換価値の最大化を目指すという、従来の価値づくりの考え方。
  • レンズ2:サービス・ドミナント・ロジック(SDL)
    ※経済活動の全てをサービスと捉え、「モノを伴うサービス」と「モノを伴わないサービス」に整理する価値づくりの考え方。
  • レンズ3:マルチ・サイド・プラットフォーム(MSP)
    ※企業と顧客の 2 サイドではなく、価値共創の相手を複数の異なる顧客サイドに広げていき、価値創造を実現する考え方。

『サービス・マネジメント』は、「第〇次産業」などの事業分野にとどまらず、製造業のサービス化や、企業内業務のアウトソース化など、様々な分野に拡大しており、これからのポスト・デジタル時代、企業・事業の未来を複眼的にとらえ、未来を切り拓くために不可欠なものであることが認識された。

また、午後の演習では、2人一組となり、自社におけるGD-ロジックからSD-ロジックへの転換等の検討と発表、講評が行われ、転換のための思考方法、実践へのヒントを学ぶことが出来た。
講義・演習を通して、参加者からの質問や意見に対して丁寧に回答していただき、極めて満足度の高い一日になったものと確信する。

藤川氏 講義内に実施した演習の風景

3.顧客のDoニーズを展開し、自社ニーズに置き換え、収益化を企てる!(自社研究)

2日目は、終日、グループに分かれたモデル企業をベースとした「品質経営推進フレームワークの検討」ワークを行った。具体的に以下の内容を実施した。

  1. 未来の社会的課題(振り返り)
  2. Do展開表を使用したジョブ展開(顧客Doから自社Doへ)、ハード・ソフトの検討
  3. 収益獲得のシナリオづくり

(1)未来の社会的課題(振り返り)

1月目(7月)は、「未来の社会的課題を起点としたバックキャッスティングによって、だれが、何をできるようになれば喜ぶか」を検討したわけだが、まずは、前回の内容の振り返りにより、各グループで「誰が、何をできれば喜ぶのか」を確認した上で、2月目のワークに入っていった。

(2)Do展開表を使用したジョブ展開(顧客Doから自社Doへ)、ハード・ソフトの検討

ポイントは、「価値づくりから見た製品づくり」という視点であり、製品機能を価値化することではない。そのポイントを踏まえ、Do展開表の左側から右側へ展開していくことであった。
具体的には以下のような展開である。

①顧客Do:第1段階「〇〇(名詞)を△△したい(動詞)」(素表現)
   ↓
②顧客Do:第2段階「<〇〇+形容詞>を<△△+副詞>したい」
   ↓
③自社Doの検討

また、グループによっては、自社Doを検討する際に、QFD(品質機能展開)の考え方を応用し、保証項目の検討を行ったところも見受けられた。保証項目は、顧客Doを倒置表現の「□□の◇◇性」といった形で示していった。自社Doを検討する際には、自社だけで完結することを考えるのではなく、昨日の藤川講師から指導のあった「マルチ・サイド・プラットフォーム(レンズ3)」の視点も含めて検討すると有効であるとの講師からのコメントも出されていた。

引き続き、自社Doニーズを検討した後、新たなハード(製品)、ソフト(仕組み、ITツール)を検討を行った。

(3)収益獲得のシナリオづくり(マネタイズシナリオ)

顧客の何を実現するのか、そのために顧客Doの展開を行い、自社Doの検討を行った。それをいかに収益化していくのか。そのための収益獲得のシナリオとなる“マネタイズシナリオ”の検討を行った。 マネタイズシナリオ作成のポイントは、
  • 各コマがマネタイズ要素となっていること。
  • 後のコマは、前のコマを前提に成立すること。
  • コマが進むにつれて価値獲得が膨らんでいく様子を描くこと。
という説明を踏まえ、各グループで検討を行った。
自社研究 実施風景

4.2月目のまとめと次月に向けて

品質経営推進フレームワークの検討ワークは、各グループによって進行のばらつきはあるものの、おおむねマネタイズシナリオの検討まで進んだ。
1日目の藤川氏の講義にあった、『レンズ』、『マルチ・サイド・プラットフォーム』という顧客価値創造を実現する共通言語を得たことで、マネタイズシナリオの作成が、よりスムーズに進んでいったと感じた。

自社研究 発表風景

次回(第3月目)は、籠屋邦夫氏(ディシジョンマインド 代表)による「不確実性を価値創造に変える「衆知錬成の意思決定」」という講義と演習が予定されている。今回検討したマネタイズシナリオの実現可能性を高めることも含めた、不確実性を含んだ事柄への意思決定の考え方を学ぶ。言うなれば、“発散”から“収束”への検討を進めるわけである。
そして、品質経営推進フレームワークの検討においては、マネタイズシナリオを実現するために必要となる活動を洗い出し、それらの前後関係を考え、ストーリーとしてつなぎ合わせる「活動システム」の検討に進んでいく。

まとめ:池田 晃、菅田 未優