TSPの俊敏性向上に関する取り組みと評価
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年度 : 2017年  
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ソフトウェア開発では、大規模かつ短納期という非常に厳しい状況が続いており、さらに、顧客満足度を高めるため、要求変更への柔軟な対応と品質の確保が望まれている。著者らは、このような状況に対応できるソフトウェア開発手法としてWatts Humphrey氏の提唱するパーソナルソフトウェアプロセス(PSP)とチームソフトウェアプロセス(TSP)に着目している。PSPは、高品質なソフトウェアを開発するための自己改善プロセスであり、TSPは、チームの構築とマネジメントのための枠組みである。また、TSPは、ソフトウェアプロセスに基づく循環的な開発プロセスを用いており、高品質なソフトウェアを計画通りに実現するための多くのベストプラクティスを組み込んでいる。しかし、Capers JonesによるとPSP/TSPは、中規模以上のソフトウェア開発において最も優れた成果をあげているが、小規模開発においてはアジャイル手法が優れているとされている。九州工業大学では大学院科目として、PSP/TSPを導入しているが、プロジェクトの立ち上げや計画立案に多くの時間がかかり、短い期間に多くのサイクルを回すことは困難である。そこで、TSPの俊敏性を向上させるために、開発戦略やアーキテクチャ設計等に関する新たな指針を導入した。 本稿では、これらの施策を学生プロジェクトに適用した結果について報告する。また、プロジェクトサイクルを短くした際の品質への影響や、教育的な観点からの効果について議論する。
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